中田敦彦より、藤森慎吾のほうが「生き残る」と思うワケ......オリエンタルラジオの「地味なほう」を考える

  • サイゾーウーマン
  • 更新日:2021/04/09

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「今年一、笑ってます」オリエンタルラジオ・藤森慎吾
「藤森慎吾のYouTubeチャンネル」4月5日

タレント・松嶋尚美のインタビューが、「オリコンニュース」に掲載されていた。「松嶋尚美、今振り返る『ボキャ天』時代と20年続いたコンビ相方への思いと『運命と感謝』」というタイトル通り、ここまでの来し方を振り返っている。特にお笑い志望でなかった松嶋が、中島知子とコンビを組んで、オセロとなる。お笑いブームの中の“女子枠”に入り込み、人気番組『ボキャブラ天国』(フジテレビ系)に出演できたが、ネタを100個も考えなくてはいけないこともあり、大変だったそうだ。

その後、オセロは順調に売れていくが、中島の“洗脳騒動”がきっかけで2013年にコンビを解散する。「もしも相方が中島さんじゃなかったら東京にも出てきていないやろうし、仕事もなかったと思う。運命的なものを感じるし、感謝していますよ」と、“相方がいたから、今の自分がある”と振り返った。

すごく“いい話”なのだろうが、松嶋というと、どうしても思い出してしまう発言がある。たしか『さんまのまんま』(関西テレビ)だったと思うが、中島の洗脳騒動のはるか前に、同番組に出演した松嶋は「オンナのコンビはモテないほうが幸せになる」と言っていた。モテるのがどういう状態を指すのか(多くの人にアプローチされることなのか、それとも恋人が常にいることなのか)、また、幸せとは何かを具体的に発言していなかったので判断は難しいが、有名俳優と熱愛報道もあった中島は、あの騒動の後、テレビで見かけない。一方の松嶋は、今も天然キャラとして、『バイキングMORE』(フジテレビ系)に出演している。

これまた古い話だが、何かの番組でビートたけしが「おネエちゃんのいる店」に行く理由を、「自分が売れているかどうかがはっきりわかるから」「モテてるうちは、売れてるってこと」と言っていたことがある。つまり、男性は売れたらモテるというように、「仕事ができると、恋人など、そのほかのものも一気に手に入る」システムになっているということだろう。しかし、松嶋は「女のコンビはモテないほうが幸せになる」と言っている。松嶋は、何が幸せかとは明言していないが、この言葉を現在に置き換えると、松嶋は中島よりモテていなかったものの、中島より売れているから幸せだと捉えることもできる。つまり、社会的評価と女性としての評価はイコールにならないという、“女性の生きづらさ”を示しているとも受け取れるが、最近になって、また別の考えを抱くようになった。

「男女問わず、コンビは地味なほうが寿命も長い」のではないだろうか。

コンビやトリオなど、人が2人以上いれば、「目立つほう」と「目立たないほう」に分かれてしまう。目立たないほうは、「じゃないほう芸人」といわれてしまったりする。人気商売で「じゃないほう」と呼ばれるのは名誉ではないだろうが、実は「じゃないほう」「地味なほう」芸人は、ながーく活動ができるという意味で、トクなのかもしれない。

例えば、博多華丸・大吉。博多華丸が児玉清さんのモノマネで、06年の『R-1グランプリ』に輝いたことから、華丸の知名度が上がっていく。優秀な「じゃないほう芸人」は、こんな時に「あいつばっかり売れる」と腐らずに、静かにチャンスを待つことができる。

相方の大吉もそのタイプで、彼は08年に『アメトーーク!』(テレビ朝日系)に出演した際、イケてない中学時代を振り返り、大ウケ。文化祭の後、焼却炉でなんでも焼いてしまう自分自身を「焼却炉の魔術師」と表現して、同年の「アメトーーク大賞」の「流行語大賞」を受賞している。続いて、大吉は10年に『年齢学序説』(幻冬舎よしもと文庫)を発表。同書では、成功者を客観的に分析し、「年齢に隠された成功の秘密」を解き明かしているのだが、つまり彼は「主役じゃない」視点を生かして仕事につなげ、ファンを増やしているのだ。

雨上がり決死隊の蛍原徹も「じゃないほう」といえるのではないだろうか。相方である宮迫博之が、バラエティ以外にもドラマなどで活躍し、有名俳優との華やかな交流をテレビで話しているのに対し、蛍原がするのは競馬の話くらい。そういう意味で、蛍原は「地味なほう」だろう。

しかし一昨年、宮迫は闇営業問題で吉本興業から契約を解除され、『アメトーーク!』をはじめ、コンビとして活動していた番組を蛍原が1人で引き継ぐことになった。当初はネット上で、それを不安視する声もあったが、ニュースサイト「デイリー新潮」19年10月18日掲載の記事によると、宮迫が降板してからのほうが番組の視聴率は伸びているという。「じゃないほう」と思われていたかもしれない蛍原だが、今まで前に出ないだけであって、実力はあったということだろう。

今後、活躍すると予想される「じゃないほう」は、オリエンタルラジオの藤森慎吾だと思う。オリエンタルラジオといえば、中田敦彦のキャラの濃さと成功が際立っている。その昔、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)に出演した中田は「お笑いを作りたいんじゃない、時代を作りたい」と発言していたが、中田はその後、教育系YouTuberとなり、「中田敦彦のYouTube大学 NAKATA UNIVERSITY」チャンネルを立ち上げる。登録者数は367万人(21年4月8日現在)、テレビに出なくても生計を立てられるようになった中田は、吉本興業を退所し(ただし、オリエンタルラジオは解散しない)、シンガポールに移住する。

中田がお笑いの仕事をしていない以上、吉本興業に所属する意味はないわけだから、彼の退所は理解できる。しかし、なぜか相方である「じゃないほう」の藤森も、吉本興業を退所してしまった。中田の場合、退所してシンガポールに移住することで、YouTubeの新たなネタを増やすことができるだろう。しかし、藤森の場合、行き当たりばったりな気がしないでもない。中田はともかく、藤森は吉本にいたほうがよかったのではないかと考える人は多かっただろう。しかし、単なるカンにすぎないが、「芸能界に生き残るのは、藤森だ」と私は思っている。なぜなら、中田には“死角”が多すぎるから。

中田のYouTube大学は登録者数は多いものの、たびたび内容に誤りがあることが指摘されている。中田といえば、慶応義塾大学出身の高学歴芸人として売っていた時期があるが、「受験勉強ができる」ことと、「人に教えるくらいの知識がある」ことは別次元の問題である。また、中田が仕入れた知識が、「正しい」とは言い切れない。そういう意味で、ミスするのは致し方ないのかもしれないが、あまりに間違いを連発すると、中田個人の信用が低下してしまうだろう。また、登録者は移り気だから、いつまでも今の人気が続くとは言い切れない。

移り気といえば、中田も気が変わるのが早い。彼は世界のセレブを真似て、ヴィーガン宣言をしているが、「家族がいると、すごい妻が困った顔をする」と撤回している。また4月からはプライバシー保護のため、動画で顔出しをやめ、アバターとなって声だけの出演とすると発表していたものの、これも撤回。一度口に出したことは絶対にやり遂げろというつもりはないが、よくいえばスピード感がある、悪くいえば見切り発車な決断は評価が分かれるところで、行き当たりばったりだと感じる人もいるだろう。

この決断に対し、藤森は「藤森慎吾のYouTubeチャンネル」で「今年一、笑ってます」「だから、中田敦彦やめられない」とコメントしている。藤森は中田をバカにしているわけではなく、緻密なようで、結構ヌケてるところが「中田らしさ」だと愛情をもって表現したのだろう。

アイデア力にすぐれているかもしれないが、仕事が粗かったり、浅い決断を連発して人に迷惑をかけることもある中田タイプと、爆発的な業績はないかもしれないが、芸人としての実績があって、人格が円満な藤森タイプ。どちらの人と「仕事をしたい」と思うかといえば、一般的には、後者の藤森タイプではないだろうか。どんな仕事をするかはわからないが、藤森は厳しい芸能界を、なんとなーく、らくーに渡っていくような気がしてならない。

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