「過干渉な親に『裏切者!』と責められ...」“穏健派キッズ”の10代男女がそれでもトー横に通う「切実な理由」とは...

「過干渉な親に『裏切者!』と責められ...」“穏健派キッズ”の10代男女がそれでもトー横に通う「切実な理由」とは...

  • 文春オンライン
  • 更新日:2022/11/25

「カッターで自傷しろ」「慰謝料か切腹」“ハウル”が消えたトー横の治安が「北斗の拳」状態に 献花台には「次は地獄でカンパイ!」とも…から続く

11月のある日、11歳の少女は地元・岩手県から片道切符でトー横の広場にやってきた。荷物はほとんどなく、スマートフォンすら持っていなかった。両親から行方不明者届が出されたことで歌舞伎町で一夜を過ごすこともなく警察に保護されたが、こうした例は枚挙に暇がない。トー横の事情に詳しい男性はこう語る。

【写真】パパ活で稼いだ札束を見せびらかすキッズも

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かなり幼く見える少女たちがスーツケースにリュック姿で広場を訪れることも

「広場のすぐ近くには、フロントを通らず部屋にいけるビジネスホテルがあります。歌舞伎町に居ついたキッズは仲間を集めて、1泊5000円のホテルに5人くらいで宿泊することを繰り返しています。最近も家出した小学6年生の女の子が来て、泊めてもらおうとしたけれど部屋主の男性に『1000円払わないとダメ』と断られていました。そして部屋主は『じゃあ、今から案件(パパ活)探すから』と……。小6なんて本当にただの子供ですよ?」

家出して飛び込んだシェアハウスでトー横を知って

歌舞伎町・新宿東宝ビル横の広場などに集う少年少女たち、通称“トー横キッズ”。日本中から集まる彼らは、SNSなどでトー横の存在を知り、地雷系ファッションで踊る動画などを見て、歌舞伎町を目指す。

ただトー横キッズと言っても、その“生態”は多様だ。有名なのは歌舞伎町のビジネスホテルやラブホテルで大麻、煙草、酒、市販薬でのオーバードーズ(OD)を繰り返す荒れた生活を送るキッズたちだが、「場の雰囲気を楽しむだけ」という穏健派もいる。

東京圏の高校に在籍するA子さん(17)は、今年9月にトー横に通いはじめた。きっかけは家出して飛び込んだシェアハウスで知り合った友人にトー横の話を聞いたことだという。

「親が過干渉で、いわゆる毒親だったので家出しました。小学校時代は友達と遊ぶこと自体が禁止で、学校と塾と家を往復するだけ。寄り道をするだけで『裏切者!』と母親に責められていました。暴力も振るわれていたけど、1回児童相談所が入ってからは虐待がバレるので殴られなくなりました。何を言ってるのか意味不明なことも多いから夏に荷物をまとめて夜逃げして、今は社会人もいるシェアハウスに住んでます。衣食住で困ったことはないです」

A子さんは国立中学校に通っていた。しかし学校の成績で3段階評価のBを取ると、母親にBの数だけ『バーカ!』と罵られるような状況だった。高校には入学したものの現在は不登校だという。

トー横で会った友達のほとんどはパパ活をしているというが、A子さんはコンセプトカフェなどのバイトを3つ掛け持ちしたり、六本木でのギャラ飲みに参加するなどして生活費を稼いでいる。

「私は煙草もODもやらないです。だって親のもとにいて心が辛すぎてトー横へ来たのに、自分を大事にしなかったら意味がないから。なんていうか、理論が通ってないと気持ち悪くて」

「他にやることが増えて優先順位が下がれば来なくなると思う」

一時は毎晩広場に通っていたが、最近はバイトの前後に寄る程度。家出をしてから両親とは連絡はとっておらず、もちろん親はトー横にいることも一切知らない。児童相談所から連絡が来ることもあるが、現在の住所は伝えていないという。

「高校に行けてないから友達が欲しかったし、人生経験としてトー横の子たちと話すのもいいかなと思ってます。数学オリンピックに出るレベルの学力あるやつからただのやばいヤツまで色々いるし、つながりができれば楽しい。でも自分の中で他にやることが増えて優先順位が下がれば来なくなると思うし、楽しそうなら来るだろうし、そんだけですね」

A子さんは理系科目が得意だったが「高校は退学することになったら、高卒認定試験を取って進学して大学院まで行ってロボットの研究をしたいな」と夢を語る。

一方で、学校生活を順調に過ごしながらも「辛い境遇を打ち明けやすいから」と交流を求めてやってくるキッズもいる。高校2年生のBくんがトー横に通い始めた理由は、今年9月に自転車事故で腕を骨折したことだった。

「骨折して遊べず、暇になったんです。トー横自体はもともとニュースで知っていて、SNSで知り合った人と予定を合わせて来たのが最初でした。高校には普通に通ってますし、友達もいます。だからレポートがあったりテスト前とかは来ません、来るのは週末くらい。ただ俺は家庭のトラブルで両親の家を出ておばあちゃんの家に住んでいるので、そういった悩み話を打ち明けやすいのは学校よりトー横の友達かな」

「トー横いる?」「ホテルいきません?」

酒を飲んだら家に入れてもらえないからと、Bくんは広場で勧められても飲酒をすることはない。門限の夜11時を過ぎないように、10時には広場を後にするという。そんな“真面目”な過ごし方をしていても、怖い目にあったことは一度や二度ではないという。

「初めましてのおじさんに『稼げる仕事探してない?』と聞かれることはありますよ。あとは自分のツイッターのアイコンが女性っぽく見えるのか、知らない人から『トー横いる?』『ホテルいきません?』ってDM来たりとか。焼酎のビンを持ってフラフラやってきて女の子に一気飲みさせようとするおじさんもいて、『酔った後に触られた!』って騒ぎになったり。自分は家が厳しいから酒も極力やらないし、タバコとかの誘いも断ってます。でも衝動で家出しちゃったような性格なので、自分だけ断り続けられるのか、ちょっと自信ないですね」

トー横の“顔”がいなくなったことで始まった新たな混乱状態。それでも、被害に遭うのが力の無い若者であることは変わっていない。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

「文春オンライン」特集班

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