
一日の新規感染者数が6万人を突破したイギリスでは、ジョンソン首相が、日本メーカーが開発した医薬品が治療に有効だと発表しました。
■「関節リウマチ」の治療薬が新型コロナに?
イギリス政府は7日、新型コロナの重症患者の治療に、日本のメーカーが開発した医薬品が有効だと発表しました。
ジョンソン首相は「トシ…トシリズマブ。すみません、もう一度言います。『トシリズマブ』と『サリルマブ』。この2つの薬がまもなく、皆さんに投与されます」と話しました。
思わずジョンソン首相が言い淀んだ「トシリズマブ」とは、日本の中外製薬などが開発した「関節リウマチ」の治療薬です。
「サリルマブ」も同じ仕組みの薬になります。
しかし、なぜ新型コロナの治療に関節リウマチの薬なのでしょうか。
関節で炎症が起きる関節リウマチは、免疫に異常が生じることが原因と考えられています。
実は、新型コロナで重症化した場合にも、免疫が正常な細胞を攻撃する動きが報告されていて、そのため、トシリズマブの免疫の暴走を抑える作用が効果があるのではと考えられたのです。
実際、ロンドンの大学の発表によりますと、約800人の患者に対し、ステロイド系治療薬のみを投与した場合の死亡率は35.8%でしたが、トシリズマブも併用した場合は28%に、サリルマブの場合は22.2%に下がったということです。
■日本でも?「今年中には」と専門家は予測
今後、日本でもトシリズマブが、新型コロナ治療の現場で使われるようになるのでしょうか。
昭和大学・感染症学の二木芳人客員教授は「日本でも臨床試験はされていて、結果も報告されているが、明確に新型コロナに感染した患者に使っていいという結果が得られなかった。今年中には政府の方に出されるのではないかと予測されている」と話します。