売り上げ100億円突破、ミツカン「カンタン酢」ヒットのワケ

売り上げ100億円突破、ミツカン「カンタン酢」ヒットのワケ

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  • 更新日:2018/07/13

「これ一本で味がきまる!」。女優の杏さんがそう言って笑顔をみせる商品CM、ご覧になった方もいるのではないでしょうか。

食酢大手ミツカンが6月に発表した2017年度決算では、売上高が3年連続で過去最高額を更新しました。牽引したのが、このCMで宣伝している「カンタン酢」。商品単体でも累計売り上げが100億円を突破した大ヒット商品です。

お酢の国内市場規模は横ばいといわれる中、カンタン酢が売れているのはなぜなのでしょうか。ミツカンに話を聞くと、そこには「カンタン」じゃない企業努力が見えてきました。

「かけるだけで味決まる」

カンタン酢はお酢をベースにダシや甘味料を加えた調味酢、いわゆる合わせ調味料です。人気の理由は、何といってもその使いやすさ。お酢メーカーならではの絶妙な配合により、他の調味料なしで味付けができる手軽さが、忙しい主婦層にヒットしています。

カンタン酢を使ったレシピで代表的なものが「フレッシュピクルス」です。ミツカンのホームページに掲載されている作り方を見ると、野菜を切ってカンタン酢に漬ける、以上。漬けてわずか30分で浅漬けピクルスができる、超カンタンレシピです。お酢の殺菌効果で日持ちするので、常備菜に良いと評判になっています。

ミツカンが発表した2017年度決算では、家庭用食酢セグメントにおける売り上げは前年比4.3%増を記録しました。商品別内訳は非公表ですが、ミツカンMD本部商品企画部の佃知彦氏によると「プレーンなお酢(生酢)の代表である『穀物酢』より、カンタン酢のほうが売れている」といいます。

今やミツカンの看板商品となったカンタン酢ですが、発売当初から大々的に売り出されたものではなかったようです。

新商品の地道な販売努力

開発のきっかけは、お寿司用に調味された合わせ酢「すし酢」の売り上げが少しずつ上がっていたことでした。ミツカンの基幹商品でもある生酢の売り上げが伸び悩む中、じわじわと売れていたすし酢に何かヒントがあるのでは、と考えたのです。

それまでミツカン社内では、調味酢はあくまで個別用途のための商品であり、一般家庭向けのお酢のメインは生酢という認識が主流でした。しかし、すし酢のユーザーにヒアリングしたところ、お寿司だけではなく、酢の物やドレッシングなど、さまざまな料理の味付けに活用していることがわかったのです。

ならばと2008年、用途を限定しない味付け用のお酢として「カンタンいろいろ使えま酢」を発売。大々的な広告を行わなかったにもかかわらず、その手軽さでお酢に馴染みのある50~60代主婦層の注目を集めました。店頭の試食販売や商品パッケージの微調整など、地道なプロモーションの継続が口コミを呼び、着実に売り上げが伸びていきました。

そして発売から6年目の2013年、前出の人気レシピ「フレッシュピクルス」を使ったテレビCMを放映します。これが手間ひまかけない“時短レシピ”が世間のニーズとマッチし、商品の人気に火をつけました。

翌2014年には、名前を現在の「カンタン酢」に変更。短くわかりやすい名前に変えたことで、さらに認知が拡大しました。そこから年々売り上げを伸ばし続け、発売から10年目にあたる2017年度、ついにシリーズ累計売上額が100億円を突破するに至りました。

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人気となった「フレッシュピクルス」(提供:ミツカン)

継続して使ってもらうために

「フレッシュピクルス」に代表されるように、カンタン酢のプロモーションでは多数のレシピが使われています。

確かに、興味をもって使い始めたはいいものの、似たような料理ばかりでは飽きてしまい、使い切ることができません。かといって、自ら新しいレシピに挑戦するのも手間のかかるもの。新規ユーザー獲得にも、既存ユーザーのリピート獲得にも、「作ってみよう」と思わせるレシピをいかに発信し続けられるかがキモとなります。

特にテレビCMのような大規模プロモーションを実施するときには、その中心となるレシピ開発には並々ならぬ力を注ぐといいます。レシピ開発の専門部署が数10種類の候補を作り、役員から若手社員まで総出で試食を繰り返し、味や見た目、使う素材の細部に至るまで検討を重ねるそうです。

フレッシュピクルスのレシピ提案で人気に火がついたカンタン酢は、まさにこうした努力の賜物。その後も、うずら玉子のピクルスやイワシの甘露煮、無限ピーマンなどの人気レシピを提案していく中で、カンタン酢の売り上げも伸びていった格好です。

酢のトップメーカーとして

そんなミツカンですが、実は2015年から具体的な商品名を出さない「酢の力」というCMシリーズを放映しています。科学的な研究データをもとに、血圧や内臓脂肪などの数値改善事例を紹介するものです。

この取り組み理由について、佃氏は「酢のトップメーカーとして、きちんとしたデータで情報を伝えていくことが大切だと考えています」と話します。

確かに、お酢は体にいいという漠然とした認知はあるものの、“体が柔らかくなる”といったような迷信に近い話も聞かれます。ミツカンとしては、科学的根拠に基づいた健康効果を広めることにより、健康を意識した層の需要を喚起し、国内お酢市場の活性化を図りたい狙いです。

反響は大きく、CM放映以降、これまで少なかった男性からの問い合わせが増えたといいます。「いただくお問い合わせとして、『いつ摂ればいい?』と聞かれることがあります。薬ではないのでどういう摂り方でもいいですが、継続することが大事ですとお伝えしています」と佃氏。健康も「カンタン」に――とはいきませんが、暑い夏にはさっぱりとしたお酢で元気に過ごしたいものです。

(文:編集部 瀧六花子)

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