穂村弘が“運命の本探し”の記録を綴った2冊『きっとあの人は眠っているんだよ』『これから泳ぎにいきませんか』発売

穂村弘が“運命の本探し”の記録を綴った2冊『きっとあの人は眠っているんだよ』『これから泳ぎにいきませんか』発売

  • ほんのひきだし
  • 更新日:2017/12/06

歌人であり、エッセイストとしても人気の穂村弘さん。その穂村さんの書評集『これから泳ぎにいきませんか』と、読書日記『きっとあの人は眠っているんだよ』の2冊が、11月30日(木)に発売されました。

穂村さんは、「読売新聞」「朝日新聞」の書評委員を務めるなど、魅力的な書評でも定評のある方。『これから泳ぎにいきませんか』では、ミステリ、SF、純文学をはじめ、ジャンルを問わず、穂村さんが“ときめき”を感じた本について紹介しています。

『きっとあの人は眠っているんだよ』は、本屋や古本屋をめぐり、本と漫画が常にともにある日常を日記形式で綴った、穂村さんのエッセイが好きな方にもたまらない1冊です。

「運命の本に出逢う」ことが真の望みだという穂村さん。“運命の本探しの記録”であるこの2冊と「本探し」にかける思いについて、エッセイを寄せていただきました。

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きっとあの人は眠っているんだよ

著者:穂村弘

発売日:2017年11月

発行所:河出書房新社

価格:1,728円(税込)

ISBNコード:9784309026275

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これから泳ぎにいきませんか

著者:穂村弘

発売日:2017年11月

発行所:河出書房新社

価格:1,728円(税込)

ISBNコード:9784309026282

運命の本

『きっとあの人は眠っているんだよ』と『これから泳ぎにいきませんか』は、それぞれ私の初めての読書日記と書評集である。改めて頁を捲ってみて、びっくりする。いつのまに、こんなにたくさんの本を読んだんだろう。いや、子どもの頃から今までのことを考えると、この何十倍何百倍もの量を読んできたはずだ。おまけに、口癖は「面白い本ない?」。まだ読み足りないのだろうか。

いや、と思う。そうではない。本当は、たくさんの本が読みたいわけでも、その時々の面白い本を知りたいわけでもないのだ。私の真の望みは、運命の本に出逢いたい、ということだ。そこには決定的な何かが書かれているにちがいない。それを読んだら世界が変わる。私は本当の私に生まれ変わるのだ。

でも、その一冊がなかなか見つからない。今度こそ、と思って手に取ってもいつもちがう。その繰り返しによって、結果的に読み終えた本の山を築いてしまっただけなのだ。わかっている。現実的には、一冊の本によって世界と自分が一変することなどありえない。超越的な運命の本など存在しない。でも、いくら頭でわかっていても、強迫観念めいた思い込みは消えない。この感覚は、いつどこで刷り込まれたものなのか。

先の読書日記と書評集は、そんな運命の本探しの記録である。結果は失敗につぐ失敗、でも、その中で運命の匂いを感じた本たちについて夢中で書いている。

考えてみると、私がずっと短歌を詠み続けてきたことも、同じことの裏返しなのかもしれない。別にたくさんの歌が書きたかったわけじゃない。決定的な一首を自分の手で生み出したい、という欲望があっただけだ。でも、こちらも必ず失敗する。長い年月の間に、不発に終わった歌の山ができていた。

この感覚は、けれども、私だけのものじゃないことを知っている。以前、選者をしている新聞の短歌欄に、こんな作品が送られてきた。

この広い五階建ての本屋の中のどこかに運命の一行がある     九螺ささら

わかる。でも、それをみつけるのは難しい。運命の一冊にだって出逢えないのに、さらに秘められた「運命の一行」だからなあ。

今までに読んだすべての本の中で、自分にとっての運命の本にもっとも近かったのはなんだろう。たぶん、大島弓子の作品のどれか、『綿の国星』か『ロングロングケーキ』かなあ。大島さんの世界に触れて十代の私の何かが変わった。それは鏡のない世界で初めて見つけた鏡。その中に映った姿を必死に見つめた。

きっとあの人は眠っているんだよ

著者:穂村弘

発売日:2017年11月

発行所:河出書房新社

価格:1,728円(税込)

ISBNコード:9784309026275

本屋をめぐり、古本屋をのぞき、何も読みたくない日は昭和の漫画に耽溺し、風邪の日には松本清張一気読み。頁をめくって異次元の世界へ。魅惑の読書日記。「はあ、この本、ときめくなあ」。

河出書房新社公式サイト『きっとあの人は眠っているんだよ』より

これから泳ぎにいきませんか

著者:穂村弘

発売日:2017年11月

発行所:河出書房新社

価格:1,728円(税込)

ISBNコード:9784309026282

ミステリ、SF、純文学から歌集、詩集、絵本、写真集まで、読売新聞・朝日新聞の書評委員をつとめた穂村弘がときめきを感じた本の数々を紹介します。「この本、可愛い。脳から液が出た」。

河出書房新社公式サイト『これから泳ぎにいきませんか』より

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穂村 弘 Hiroshi Homura

1962年、札幌市生まれ。歌人。『短歌の友人』で第19回伊藤整文学賞、『鳥肌が』で第33回講談社エッセイ賞を受賞。歌集に『シンジケート』他。エッセイ集に『世界音痴』『現実入門』他。絵本翻訳も多数。

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ぼくの宝物絵本

著者:穂村弘

発売日:2017年06月

発行所:河出書房新社

価格:799円(税込)

ISBNコード:9784309415352

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鳥肌が

著者:穂村弘

発売日:2016年07月

発行所:PHP研究所

価格:1,620円(税込)

ISBNコード:9784569830513

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蚊がいる

著者:穂村弘

発売日:2017年02月

発行所:KADOKAWA

価格:648円(税込)

ISBNコード:9784041026250

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