米津玄師、ケンドリック・ラマー、Ado......“一人の人間力で魅せる”ことがポップスターのライブの主流に?

米津玄師、ケンドリック・ラマー、Ado......“一人の人間力で魅せる”ことがポップスターのライブの主流に?

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  • 更新日:2022/11/25
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米津玄師「KICK BACK」

ライブの日からもうすぐ1カ月が経とうとしているが、10月27日に開催された米津玄師のさいたまスーパーアリーナ公演の記憶が今も鮮明に残っている。2年半ぶりに実現した全国ツアー『米津玄師 2022 TOUR / 変身』の最終日。同ツアーは米津にとってコロナ禍に入ってから初めての有観客ライブでもあり、TVアニメ『チェンソーマン』オープニングテーマとして話題になっており、常田大希(King Gnu / millennium parade)のサプライズ登場もあった最新曲「KICK BACK」や、同じく今年リリースの「M八七」「POP SONG」のみならず、「Pale Blue」も、「感電」も、生で披露されたのはこのツアーが初めてだった。

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新型コロナウイルスによる感染症拡大の影響で中断となり、開催できたのは8公演のみだった『米津玄師 2020 TOUR / HYPE』(2020年2月)は観ていないため、その1つ前のツアー『米津玄師 2019 TOUR / 脊椎がオパールになる頃』(2019年1~3月)との比較になるが、今年のツアーでは大きな変化があった。それは、伴奏を同期に任せ、米津の歌唱のみで楽曲を成立させるシーンが目立ったこと。初ライブから二人三脚で歩む中島宏士(Gt)、須藤優(Ba)、堀正輝(Dr)によるサポートバンドが演奏をする曲ももちろんあったものの、オープニングの「POP SONG」を筆頭にバンドレスの曲がいくつかあり、そしてそれらがライブのハイライトを担っていた。1stアルバム『diorama』から現在に至るまでの音楽性の変遷については以前別の記事でも書いたが(※1)、スタンダードなギターロックサウンドから出発し、エレクトロやヒップホップ、R&Bへと接近していった道程を鑑みれば、それに伴い、ライブでの見せ方が変わったのもごく自然な流れに思える。

そういった米津のライブパフォーマンスは、海外の音楽シーンとも共鳴している。例えば、米津が「M八七」をリリースした頃、時を同じくして「N95」をリリースしたケンドリック・ラマー(曲の内容もタイトルの背景にあるものも異なるが、同じ時代を生きているからこその何らかのリンクを感じてしまう)。全世界に配信されたワールドツアー『The Big Steppers Tour』のパリ公演は、大がかりな舞台装置があったり、曲によってはパフォーマーが登場したりしていたものの、シンプルな演出の中、その身一つでマイクに向かいラップするシーンもインパクトがあった。他にも『Coachella Valley Music and Arts Festival』(通称:コーチェラ)におけるリッチ・ブライアンなど、昨今のライブシーンを見る限り、ケンドリックの例は世界的に見ても珍しいものではないように感じられる。演者一人の人間力で以って大勢の観客を熱狂させられるかどうかが、新時代のポップスターの条件となりつつあるのではないだろうか。

国内シーンに視線を戻すと、“演者一人の人間力で魅せる”という意味では、8月11日に行われたAdoのさいたまスーパーアリーナ公演『Ado 2nd ライブ「カムパネルラ」 』にもかなりの鮮烈さがあった。最初の4曲は生バンドによる演奏がなく、Adoの歌唱や立ち振る舞いのみ(しかも本人は紗幕の内側にいるため、客席からはシルエットしか見えない)で2万人の観客を魅了したのだ。ただし、Adoはもともと歌い手文化から出てきたシンガーであり、このようなパフォーマンスに至った文脈は、米津やケンドリック・ラマーらとは異なるが。

また、こういったパフォーマンスを取り入れているのはソロアーティストのみとは限らない。THE ORAL CIGARETTESのライブはメンバー4人が鳴らす熱量高いバンドサウンドが主役だが、2022年2~4月に開催した全国ツアー『Hall Tour 2022「SUCK MY WORLD」』では、アルバム『SUCK MY WORLD』の中でも特に現代的なサウンドメイキングが施された楽曲「From Dusk Till Dawn」を山中拓也(Vo/Gt)の歌+同期形式で披露。バンドレスの楽曲をアクセント的にライブに取り入れることで、印象的なシーンを作ることに成功した。

国内でも国外でも、こういったアプローチは今後さらに増えていくかもしれない。(蜂須賀ちなみ)

※1 https://realsound.jp/2022/06/post-1042247.html

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