
"暴力団に対する提訴について説明する県東部街商協同組合側の宇都木寧弁護士(中央)ら=名古屋市中区"
みかじめ料の支払いを強いられたのは違法だとして露天商らでつくる「愛知県東部街商協同組合」(豊橋市)は21日、指定暴力団山口組傘下の組織トップに約2千万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴した。
原告側の弁護団は「一つひとつの屋台は弱い立場。暴力団を訴えるのは難しい」と指摘。露天商側がこうした訴えを起こすのは今回が全国で初めてだといい、「組合として提訴すれば闘うことができる。祭りなどに不当に介入する暴力団を排除するきっかけにしたい」としている。
訴えられたのは、山口組平井一家の薄葉暢洋総裁。弁護団によると、組合は長年、祭りなどの売り上げの一部をみかじめ料として山口組側に違法に収奪されてきた。訴訟では、裏付けが取れた2019年以降の支払い分について返還を求めた。今後、請求額を拡大することも検討している。
組合側は7月に暴力団との絶縁を宣言。同月にみかじめ料の返還を求めたが、山口組側が応じなかったため提訴に踏み切った。
組合は2月、県暴力団排除条例に基づく勧告に従わずに山口組側にみかじめ料を払ったとして、県公安委員会に名前を公表される処分を受けた。これを受け、自治体が主催する祭りなどへの出店ができない状態が続き、苦境に立たされている。