【まるごと記者会見】大坂なおみ 全豪OP決勝後(後編)

【まるごと記者会見】大坂なおみ 全豪OP決勝後(後編)

  • TENNIS DAILY
  • 更新日:2021/02/22
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「全豪オープン」決勝で第22シードのジェニファー・ブレイディ(アメリカ)を6-4、6-3のストレートで下し、自身4度目のグランドスラム優勝を飾った大坂なおみ(日本/日清食品)。彼女の試合後の記者会見の内容は以下の通り。

Q:EUROSPORTのチャンネルで、怪我などをしなければあなたはグランドスラムで10回優勝できると(グランドスラム7回優勝者の)マッツ・ビランデルが発言しました。これは可能だと思いますか?また、これに挑戦することはあなたにとってモチベーションとなりますか?

「私はこういうことは分割して考えるの。目下の目標は、5回優勝すること。5回を達成したら、たぶん10回までの過程を分割して考えると思うから、7回か8回が目標になるんじゃないかな。

私は物事を長い目で見ないタイプなの。その瞬間を生きていたいのよ。もちろん彼がそう言ってくれたのは光栄だけど、プレッシャーや期待で自分を重圧にさらしたくはない。私が対戦している人たちは世界最高の選手たちだとわかっているし、もし私がもう一度グランドスラムで優勝する時が来るのだとしたら、それはいずれやってくるわ。でも今は自分がコントロールできることしかコントロールできない。それはつまり、努力して自分に機会を与えるということよ」

Q:他のテニス選手と話していると、テニスで成功するには自己中心的でなければいけないという話をよく聞きます。あなたは先日、自分が頑張ることができているのは周りにいる人たちの努力の賜物だと言っており、先程も自分を最も鼓舞するものは他者に刺激を与えたいという思いだと仰っていました。テニスはある意味で自己中心的であることを要求されるスポーツですが、ご自身のテニスに対する自己中心的でない姿勢をどのように説明されますか?

「ああ、なるほど。そうね…。私としては、テニスを個人競技であるかのように考えるのは本当に難しいわ。誰もがテニスは個人競技だと言うのはわかっているけど、私はいつだって、私のために長い時間を割いてくれる人たちに囲まれてきたし、何だって一緒にやっている。

だから、自己中心的かそうでないかという言い方はしないかな。私の姿勢に表れているのは、何でも一緒にやりたい、私と何でも一緒にやってくれる人たちとあらゆる経験を共有したい、という私の考え方なんじゃないかしら」

Q:あなたにはとても多くの若いファンがいて、ご存知の通り、あなたは彼らにとって大変重要な存在です。このことを責任と捉えていますか、それとも良い機会だと捉えていますか?そしておそらくお手本となる人物として見られている間中、こうしたことをどれくらい意識していますか?また、このことは日常生活にどのように影響していますか?

「そうね、以前はすごく大きな責任だと感じていた気がするわ。それについてとても恐ろしく、不安にも思っていた。みんな、コート上での私しか見ていないような気がするから。メディアに注目されるのはだいたいいつもコートにいる時だもの。

例えば試合に出て、ラケットを叩きつけたとしたら、それについてすごく不安に思うの。模範的な行動ではないことでメディアに叩かれるかもしれない、ラケットを叩きつけたのはまずかったか、とかそんなことを考えてしまうから。

でも、ここ何年かで気づいたのは、ありのままの自分でいることしかできないってこと。そりゃそうよね。お手本になる人を選びたければ、他に500人もテニス選手がいる。だから、私が昔そうだったように、私の試合に来て応援してくれる小さな子どもたちがいることは本当に大きな栄誉だと思うわ。でもそれと同時に、そのことで自分に負荷をかけすぎることはない。私は常に、というか今もまだ人として成長中だから。子どもたちも私と一緒に成長してくれたらいいな、なんて思うの(笑顔)」

Q:今回の優勝と「全米オープン」で2度目の優勝を達成した時の気分に違いはありますか?また、2年前にその席で優勝会見をしていた時の気分とは違いがありますか?

「そうね、以前より確実に…優勝するためにはどれほどのたゆまぬ努力が必要かがわかったように思う。2つの大会で初めて優勝した時は、ある意味ただの子どもだった。自分が何をしているかがちゃんとわかっていなかったの。試合には勝っていたけど、その瞬間や大会の有難さ、それに私が今いる立場にたどり着くのがどれほど大変なことなのかさえ、きちんと理解していなかった。

だから、選手生活での浮き沈みが、多くの面で私の目を開いてくれたのは間違いないわ」

Q:先程、期待について話されましたね。期待をどのくらい重荷に感じますか?また、期待はどのくらい有難い存在だと思いますか?

「面白いことに、期待を重荷だとはもう思わなくなった。今は、期待というのは私が努力してきた結果であるように感じているの。なんというか、私がこれまでに何も成し遂げていなかったら、みんなが期待することもないわけでしょう。私の言いたいこと、わかるかしら。

昔は誰も私に期待していなかったと思う。今はランキング上位に上がってきたから、もちろんプレッシャーは増えるけど、それはモチベーションでもあると思う。自分のためにもいい結果を出したいって思うから」

Q:そのような期待にはどんな利点がありますか?

「利点は、単にモチベーションになるというか、より良い結果を出すように私の背中を押してくれることよ。例えば、誰かが私に何かを期待したら、私はその人が期待するよりもいい結果を出したいという期待を抱くわ。なんだか“期待”だらけの文ね(笑)。言うなれば、私にとっては挑戦に近いもの、かな」

Q:その日の試合で何を達成したいかをチームと話すようにしていると仰いましたね。今日の試合では今隣にあるトロフィーが最大の目標だったろうと思いますが、他に特に目標にしていたことはありますか?

「ええ、うまくリターンしたいと思っていた。前回彼女と対戦した時の私のリターンはいまいちだったって、(コーチの)ウィム(・フィテッセ)が言っていたと思う。だから、この大会ではずっとそれを目標にしてきた。

実際けっこううまくいったように思っているの。今日はサーブがあんまり良くなかったから、リターンに助けられた場面がたくさんあった。リターンに助けられたなんて、きっと去年でさえも言えなかったことよ」

Q:最後に試合で負けてから1年以上が経ちますが、どんな敗戦だったか覚えていますか?この先、試合に負けた場合、どうなると思いますか?大変な苦痛に感じるでしょうか、それともある意味予期していることでしょうか?

「今年の全ての試合で勝てるとは思っていないわ。正直、それができたらメダルがもらえるでしょうね。もし今年出場する試合に全部勝てたら、誰かメダルをくれていいのよ。でもそれは無理だと思う。わかってくれているだろうけど、テニス選手には誰しも浮き沈みがある。私としては、今年はそういう浮き沈みの振れ幅を小さく抑えられたらいいなと願うだけよ。

試合に負けるのがどんな気持ちかはもちろん覚えているわ。とても鮮明にね。ここで負けたことを覚えているし、その時どんな気持ちだったか、どんな考え方をしていたかも覚えている。正直、そのことを思い出すと今でも悲しくなるの。かなり消えづらい記憶なのよね」

Q:オープン化以降、グランドスラム決勝で初進出から4連勝を達成したのは3人だけです。あなたとモニカ・セレス、そしてロジャー・フェデラーです。この統計を聞いた時、初めに頭をよぎるのはどんなことですか?この統計についてどう思いますか?

「どう思うかというと、とても素晴らしい仲間だわ。その2人が選手として達成したことのほんの一粒でも達成できたらいいなと思う。でもそれは願望に過ぎなくて、自分は自分の道を進み続けることしかできない。とはいえ、それを聞くのは間違いなく最高の気分よ」

Q:あなたはダニール・メドベージェフのファンですが、彼もあなたと同じように現在20連勝中で、今週末の決勝に進んでいます。彼のどんなところに注目していますか?また、明日彼が勝つ見込みについてはどう思いますか?

「ええと、私は割とチチ(チチパス)を応援していたから、彼が勝ち残れなくてちょっと悲しいわ。

メドベージェフの試合を全部最初から最後まで見ているわけではないのよ。正直、ただ彼が観客を盛り上げるのを見ているの。そういうところが好きなのよね。でも彼が素晴らしい選手なのは確かで、格上の選手を破るのを見てきた。明日の試合は本当に楽しみで、どうなるか気になるわ。ジョコビッチはここのコートで素晴らしい成績を残していて、“全豪オープン”で9回目の優勝を狙っているなんて、とんでもないもの。だからとにかく、とても楽しい試合になるはずよ」

Q:今日優勝した時、今までのグランドスラムの優勝に比べて一番素直に喜んでいるように見えました。2年前にここで優勝した時にはほっとしたとお話しされていたように思いますが、過去のグランドスラム優勝と今回とでは何か気持ちが違いましたか?

「ええ、気持ちには違いがあると思う。前回ここで優勝した時は、実はある意味怒りを原動力にしてプレーしていたの。ツアーの中で自分の存在を示したかったからだと思う。だから“全米オープン”と“全豪オープン”で連続優勝したい気持ちが強かったの。

今回は、今の自分の立ち位置に対して前よりも心穏やかだと言えると思う。正直、パンデミックの最中にグランドスラムでプレーできるだけで幸せなの。だからそうね、今の方が穏やかな気持ちよ」

Q:過去にITFの大会に出場していた頃は、決勝でずっと負けていていつも準優勝だった時代が長くありました。2018年にインディアンウェルズで優勝してからはほとんど決勝で負けていませんが、何か考え方などで変わったことがあるのでしょうか?

「昔は決勝に進めただけで嬉しく思っていたような気がする。それだけで満足感があったの。決勝に進出して、それで満足。その頃は何もわかっていなかったのね。全身全霊を傾けていなかったんだと思うわ。でもインディアンウェルズの後は、決勝で起きる全てのことに全力で臨んできたように思う。それが結果に表れているのは間違いないわ」

Q:ブレイディにあなたのことをいつ頃から知っているかを聞いたところ、フロリダで大坂姉妹と一緒に育ったようなものだということや、ITFで最初に対戦した時に素晴らしい選手になると思ったと仰っていました。あなたが昔のブレイディについて一番覚えているのはどんなことですか?

「フロリダにいた頃の彼女のことは覚えているわ。いつだっていい選手で、当時から全てを持っていた。あらゆるショットをね。ITFの大会に出場するようになるまでは、彼女は私よりも年長のグループでプレーしていたの。ある大会で彼女と対戦したのを覚えている。こてんぱんにやられたの。(笑顔)でも私はただ、彼女は間違いなくプロテニス選手になるだろう、なんて考えていた。ランキング上位の選手にね。彼女が私に対して何か思っていたなんて知らなかったけど、彼女に注目している選手がたくさんいたのは事実よ。彼女は、この人はいつか本当に大きなことを成し遂げるだろうって確信できるタイプの人だった。

フォアハンドとサーブは当時から強力だったしね」

Q:先程、あなたが子どもの頃に憧れていたセレナと実際に対戦して感動したように、自分も将来は自分に憧れた人とプレーしてみたいと仰っていましたね。今あなたに憧れている子どもたちにどんな選手だと思われたいですか?また、昨晩は和食でしたか?

「(笑)昨日は和食を食べなかったの。ここでの最後の夜だから、レストランに行ったのよ。食べたのは海鮮料理だったけど、(ゲン担ぎの日本食なしでも)最終的にうまくいって良かった。

小さな子どもたちについて、私にできる一番大きなことは、人々や子どもたちに刺激を与えることだと思う。子どもたちが私に声援を送ってくれるのを見ると本当に幸せな気持ちになるわ。プレースタイルとかそういうものについては特に考えていないわ」

Q:フィセッテコーチと一緒に勝ち取った2つ目のグランドスラムタイトルです。あなたとチームの結びつきは強いですが、フィセッテコーチたちと優勝した意味はどういったものでしょう?

「私とチームのみんなはたくさんのことを一緒に経験してきたわ。理論上は彼らとはまだ1年しか一緒に過ごしていないけどね。ああ、でもナナ(茂木アスレティックトレーナー)は別よ。ナナはずっと私と一緒にいてくれているから。隔離期間中やシーズン前にLAで彼らと一緒にトレーニングをしたこととか、そういうあれこれのおかげで、本当にチームと親密になることができた。私はある意味、自分自身のことを考えていない時の方がいい結果を出せる気がするの。例えば、何て言えばいいかな。自分のことを考えている時より、チームのことを考えている時の方がモチベーションが湧くの。言いたいことがわかってもらえるかしら」

Q:ロッド・レーバー・アリーナに歩いていく選手用通路に、過去の優勝選手の名前が記されたウィナーズボードが並んでいますが、あなたはいつも左手で自分の名前のところに触れます。あれは幸運のお守りのようなものなのでしょうか?

「そうね、確実に幸運のお守りだと思うわ。あのトンネルを歩いていってボードに自分の名前があるのを見ると、なんだかすごく元気づけられるの。なんだろう、このボードにもう1つ優勝年度を足したいなって思う。そこに触れるだけで力をもらえるような気がするの。ゲン担ぎみたいなものと言った方がいいかもね」

Q:今日、自分の名前を触って特別に感じたことはありますか?

「うーん、正直言うと、特にないわ。今は全部の感情が同じように感じられるから」

Q:チームの中でも特に一緒に過ごしている時間が長い茂木アスレティックトレーナーへの感謝の気持ちはどんなものですか?

「彼女にはとても感謝しているわ。彼女はちょっとした反逆者なんだけど、あなたたちは知らないわよね。でもすごく心を落ち着かせてくれる存在で、いつもすぐ泣くの。ショッピングに行ける場所にいる時は、彼女は私のショッピングのパートナーでもある。すごく感謝しているの。本当に素晴らしい人よ。お互いと巡り会えたこと、そして彼女が私のチームに長くいてくれていることを本当に嬉しく思っている。チームのみんなが仲良くやれていると思うし、それは私が望み得る最高のことだわ」

Q:彼女と中村豊トレーナーがいるので、チーム内で日本語のやりとりが増えているのでしょうか?

「そうね、みんな日本語で話すから。本当に面白いのよ、たぶんウィムも日本語を覚え始めているんじゃないかな。チーム内で日本語で話すことが多いから。だからもしかしたらウィムも少し話せるかも(笑)」

Q:リターンにたくさん救われたと仰っていましたが、どんな効果がありましたか?サーブと同じように自分の強みになりましたか?

「うーん、リターンにはあまり力を入れようとはしていなくて、返球の位置が本当に重要だと思っているの。あと、相手コート内に安定して返せることも大事ね。前はリターンで強打しようとしていたせいで今ほど相手コート内に返せていなかった。今は返球の位置と入る確率のことだけ考えているわ」

Q:リターンは気持ちの助けにもなりましたか?

「そうね、助けになったと思うわ。サーブの時に感じるプレッシャーを減らしてくれたから、気持ちの面でもいい方向に働いたと思う」

(テニスデイリー編集部)

※写真は「全豪オープン」での大坂なおみ
(Photo by TPN/Getty Images)

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