「自然に遊ぶ」河合雅雄さんの追悼記念誌 思想や提言、世界的霊長類学者の足跡ふんだんに 丹波篠山市

「自然に遊ぶ」河合雅雄さんの追悼記念誌 思想や提言、世界的霊長類学者の足跡ふんだんに 丹波篠山市

  • 神戸新聞NEXT
  • 更新日:2022/05/14

世界的霊長類学者で、児童文学者としても活躍した河合雅雄さん(1924~2021年)が昨年5月に亡くなって、14日で1年。出身地の兵庫県丹波篠山市が、追悼記念誌「自然に遊ぶ」を刊行した。偉大な足跡とともに、「里山」「水辺」「まちづくり」などをキーワードに、生物との共生や自然保護について、晩年の河合さんが地元丹波や兵庫へ寄せた提言を中心に編集。市担当者は「故郷や自然を愛する先生の思いを未来へ受け継いでいきたい」と話している。(堀井正純)

No image

河合雅雄さんの追悼記念誌と記念DVD

河合さんは少年時代、丹波篠山の野山を駆け巡り、自然に親しんだ。タイトルの「自然に遊ぶ」は故人が好んだ言葉で、市内の石碑に刻まれた本人自筆の文字を題字に用いた。

記念誌はA4判60ページ。「あゆみ」の章では、家族などから提供された貴重な写真も交え、97年の生涯を振り返った。アフリカなど国内外で霊長類学を探究し、京都大教授や日本モンキーセンター所長などを歴任。「故郷に戻ってナチュラリストとして生きたい」「自然と文化が調和した地域づくりに尽力したい」と、2002年に帰郷し、最晩年を丹波篠山で過ごした。

「ことば」の章では、講演録や寄稿文などを基に、本人の思想や提言にスポットを当てた。多様な動植物を育む、里山と雑木林の価値や活用についていち早く指摘。「水辺」については、自らの少年時代の「川遊び」の経験から、コンクリート張りではなく、多くの生物がすめる川に戻したいとの思いを語っている。

酒井隆明市長によると、「丹波篠山のあるべき姿は、日本の原風景としてのまちを維持していくことだ」といった河合さんの助言や提言を、市の多くの施策に反映しているという。

河合さんの少年時代が題材の小説「少年動物誌」を原作にした映画「森の学校」の監督西垣吉春さんや、児童文学「魔女の宅急便」の作者角野栄子さんら、ゆかりの人々による追悼文も収録。「ミト」と呼ばれた実弟河合迪雄さんは幼いころの2人の体験を記し、詩人工藤直子さんは「大きな河のように歩まれた人生」「日なたぼっこのような微笑み」と思い出を詩につづっている。

4千部発行。28日に市内で催す「偲ぶ会」の参列者に手渡すほか、千部は希望する市民に無料配布する。市は追悼DVD(約15分)も同時制作した。市秘書課TEL079・552・5109

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加