アフターコロナに「買い」な街/「買い」じゃない街。郊外志向が高まり、利便性の高い駅の人気凋落が鮮明に

アフターコロナに「買い」な街/「買い」じゃない街。郊外志向が高まり、利便性の高い駅の人気凋落が鮮明に

  • ハーバービジネスオンライン
  • 更新日:2020/10/18

我々の生活を一変させた新型コロナの感染拡大。その影響は住まい選びにも及んでいる。これまでの常識が通用しない時代における「不動産購入のニューノーマル」を占う。

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◆プロ直伝!アフターコロナに買っていい街/買ってはいけない街

住宅情報サイト「ライフルホームズ」が毎年発表している「借りて住みたい街ランキング」では、コロナ禍以前に集計した’20年版(集計は’19年に実施)と、今年4月以降に緊急集計した結果から住宅選びの変化が見て取れる。

4年連続1位を獲得していた池袋は9位にランクダウン。常連だった三軒茶屋と吉祥寺はそれぞれ15位、25位へと順位を落としている。入れ替わるようにランクインしているのが水戸、宇都宮といった北関東都市勢や人気タウンとして頭角を現す本厚木など。この結果に対して、不動産鑑定士の浅井佐知子氏は都心の優位性が大きく薄れたとの見解を示す。

「コロナ不況で今までの賃料や住宅ローンが払えなくなる人が増えます。必然的に都心の高価格帯マンションや、賃料が高い地域に住んでいる人たちが影響を受けやすく、生活を見直し安い物件に引っ越さざるを得ない。都心部では空洞化まではいかずとも歯抜け状態が進行しそうです。アフターコロナにおいては身の丈に合った住まいが好まれ、不動産価格が高い都心部の多くの地域が苦戦する可能性はあります」

不動産ブローカーのDJあかい氏も「顧客ニーズの変化が進んでいる」と明かす。

「コロナ禍以降、戸建て物件への追い風は顕著。リモートワークに移行した結果、現状の間取りに不満を覚え、書斎やワークスペースを希望する声も増えています。多数の人が行き交う大規模マンションを忌避する人や、エレベーターのボタンに触れることに抵抗を感じる人など、感染リスクの観点に立って物件を探すケースも出てきています」

コロナ禍の影響が特に深刻なエリアとして、あかい氏が挙げるのが都心の商業地域だ。

「店舗の割合が多い街はコロナで大きな影響を受けています。客層や業態によって影響の濃淡があって、接待・高齢・責任ある立場の利用が多かった銀座は壊滅的です。一方で常連が通う店や地元需要の飲食店はある程度影響を抑えられており、業態や顧客ターゲットで明暗が出ていますね。銀座のような客足への影響が顕著な商業地、そんな商業地への近さしかアピールポイントがない近隣エリアにも大きな影響が出そうです」

◆借りて住みたい街ランキング

▼2019年

1位 池袋

2位 葛西

3位 川崎

4位 本厚木

5位 大宮

▼2020年

1位 水戸

2位 本厚木

3位 宇都宮

4位 葛西

5位 大宮

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JR常磐線が通る水戸は東京や品川など都心の主要駅まで1時間強という好アクセスを誇る

◆コロナ収束後に選ばれる「身の丈に合った住まい」

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実際、同じくライフルホームズが発表した今年4月以降の「問い合わせ減少率」を見てみると都心の繁華街である秋葉原、さらには新宿へのアクセスに秀でる仙川や笹塚、大手町のオフィス街への通勤者に人気がある西日暮里など、利便性がこれまで喧伝されてきた地域が並んでいることがわかる。

さらにこれまで「手堅い」と考えられていた地域にも想定外のリスクが浮上しているという。

「生産調整や閉鎖が懸念されるので工場に依存している街、リモート講義が定着すると大学最寄りの街もヤバいかもしれません。これまで都心へのアクセスがよくなくても賃貸ニーズが底堅いため、不動産価格が安定していました。しかし、今後はそうしたエリアで魅力的な物件が出てきても、致命的な悪い情報を公式発表前に知った投資家や業者が売り逃げている可能性があるので要注意。購入後に工場閉鎖やキャンパス移転などを知っても後の祭り。買って自分が住むにしろ、投資用物件として持つにしろ、街の価値が毀損されてしまうと結果的に“高すぎる買い物”になってしまいます」

それではアフターコロナに選ばれる街はどこなのか。前出の浅井氏が注目するのが旧分譲地だ。

「郊外でかつて分譲されていた『旧分譲地』は狙い目です。たとえば、埼玉県比企郡にある『鳩ケ丘』。この地区は『鳩山ニュータウン』として’71年から日本新都市開発により分譲された地域。区画は整然としていて、学校やスーパーなど生活に必要な施設も揃っています。これまで都心まで遠い点が敬遠され、衰退地域と思われてきたため、不動産価格は安く、500万円前後の中古戸建てもあります。4LDKのように部屋数が多く、仕事部屋を確保するのも容易な点もメリットです。同じ理由で東京の『多摩ニュータウン』、千葉で住友不動産が手がけた『野田市三ツ堀』も再評価が進むはず」

あかい氏もアフターコロナ時代の住まい選びは「街力」の見極めが重要と強調する。

「中野や高円寺、荻窪といった中央線沿線は地元で生活が成り立つエリアでメシ屋も飲み屋も、ずっと地元の人で賑わっています。こういう街はコロナによる経済停滞の影響を受けにくい。人気路線の東横線の新丸子、武蔵小杉といった街も飲食店がしぶとく活況。これらのエリアは都心へのアクセスもいいですが、徒歩圏内で生活を完結することができる強みがある。飲みにいくのに電車に乗るのは億劫ですし、アフターコロナ時代は街の力そのものが試され、同じ都内近郊でもエリアごとの優勝劣敗が鮮明になっていくはずです」

コロナ収束を見据えた街選びは、確かなシナリオをいち早く描くことこそ肝要のようだ。

◆問い合わせ上昇率・減少率ランキング

▼問い合わせ上昇率ランキング(2020年)

1位 八街

2位 姉ヶ崎

3位 大網

4位 相模原

5位 小田原

▼問い合わせ減少率ランキング(2020年)

1位 秋葉原

2位 仙川

3位 西日暮里

4位 笹塚

5位 菊川

◆プロが教える買ってはいけない街

1位 銀座およびその周辺

出社率低下に伴いオフィス需要を当て込んでいた飲食店の撤退・休業が今後より深刻化していく見通し。オフィスワーカーの需要を見込んでいた飲食店や歓楽街は苦戦を強いられ、結果的に街全体が衰退していく可能性が高い。

2位 交通利便が唯一の売り

繁華街へのアクセスを売りにしてきた街の将来は暗い。「銀座への近さくらいしかアピールポイントがなく、ガイドブックに載るような地元の名店がないような湾岸エリアには深刻な影響が予想されます」とあかい氏は指摘する。

3位 工場、大学への依存度が高い

郊外の大学周辺や工場近辺は都心へのアクセスに難があっても賃貸需要が安定し、飲食店やスーパーなど生活環境が保たれてきたが、コロナにより事態は一変。人口の減少が進み、街自体が衰退し、住環境の悪化も予見される。

◆プロが教える買っていい街

1位 旧分譲地・ニュータウン

都心へのアクセスの悪さや住民の高齢化、施設の老朽化などネガティブな要素が多かったニュータウンに復権の兆し。今は不動産価格が下がっているものの、街の再整備が進み、結果的にコロナ禍のニーズを捉えることに。

2位 地域で生活が完結する街

住環境だけでなく、娯楽や息抜きの場が近隣に完備された街への信頼は強い。同じ新宿からほど近い場所にありながら中央線の人気駅は住環境の向上が望める一方で小田急線や京王線沿線にはポテンシャルの駅は多くない。

3位 東横線沿いのベッドタウン

タワーマンションの建築ラッシュにより、一時は周辺のインフラの整備が間に合わないなどの問題があったものの、最近では街としての成熟が進む。街単位での経済圏が成り立っており、今後もコロナの悪影響は受けづらい。

【浅井佐知子氏】

不動産鑑定士。浅井佐知子不動産鑑定事務所代表。不動産鑑定士業務以外に不動産投資にも精通する。著書に『世界一やさしい不動産投資の教科書 1年生』がある。

【DJあかい氏】

不動産ブローカーの傍ら、再販業や大家業も行う。不動産業界内部の立場から住まいに関するさまざまな情報を発信。Twitterアカウントは@DJakai2

<取材・文/栗林 篤>

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