大一番裁いた女性審判「3つ目の指導出せなかった」

大一番裁いた女性審判「3つ目の指導出せなかった」

  • 日刊スポーツ
  • 更新日:2021/01/13
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男子66キロ級代表決定戦を振り返る天野安喜子さん(撮影・峯岸佑樹)

“令和の巌流島決戦”と称された、阿部一二三(23=パーク24)と丸山城志郎(27=ミキハウス)の東京オリンピック(五輪)柔道男子66キロ級代表決定戦から、13日で1カ月となる。

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主審は、08年北京オリンピック(五輪)など国際大会の経験も豊富な天野安喜子さん(50)が務めた。24分間にも及ぶ死闘を冷静に裁き、試合後は関係者らから賛辞の声が上がった。女性審判の第一人者は「私自身もやりきったが、それ以上に両選手が本当に素晴らしかった。体力、精神力、責任感と全てを背負い、その逃げない姿勢が胸に響いた」と思い返した。

全柔連に主審を打診され、即答で快諾した。それ以降、阿部と丸山の先入観を持たないために情報を遮断。都内の自宅では基本ルールを確認し、何度も練習して世紀の一戦を迎えた。両者が自然体で臨めるように「普段通りの空気を出すこと」を心掛けた。講道館大道場の張り詰めた緊張感の中、試合前に行われた大学生の模擬試合で、自身のリズムと流れを入念に確認した。「副審とジュリーとも信頼関係があり、ワンチームで臨めた」。最後は審判団で気持ちを整えて、「ほぼ無心」で畳に上がった。

2人の気力は尽きず、異例の24分間の勝負に。両者「指導3」の反則負けとなった場合は、10分間の休憩後に再試合だったが「死力を尽くしているのが近くで伝わり、3つ目の指導を出さないのではなく、出せなかった」。長期戦となり非難されても「受けて立つ」と覚悟を決め、「2人には思う存分戦ってもらいたい」と、その気持ち一心だった。天野さんは、江戸時代から続く宗家花火鍵屋の15代目当主の顔も持つ。審判と花火師の共通点は「覚悟」の2文字を挙げ、自身も勝負師としての誇りを持っている。

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