アニメ『ちいかわ』、障子直登プロデューサーが語る「可愛さ」の追求

アニメ『ちいかわ』、障子直登プロデューサーが語る「可愛さ」の追求

  • FutabaNetPortal:ふねぽ
  • 更新日:2022/09/23
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イラストレーターで漫画家のナガノがTwitterで発信し、SNSを中心に人気を博している漫画『ちいかわ』。本作のアニメーションが、今年4月よりフジテレビの『めざましテレビ』内で放送中だ。
あどけなくてがんばり屋のちいかわが、ハチワレやうさぎといった仲間たちとともに、楽しくも過酷でもある日々を描くこのショートアニメは、どのように作られているのか。本作でプロデュースを務める、障子直登氏にお話を聞き、作品の魅力と制作の裏側に迫った。

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「ちいかわの可愛さは、本当に絶妙なんです」

――毎週金曜に『めざましテレビ』で放送され、最新話がYouTubeでも配信中のアニメ『ちいかわ』を毎週楽しみにしています。このアニメ化の企画は、どのように動き出したのでしょう。
最初はフジテレビのアニメ制作部にアニメ化のお話をいただきました。僕たちアニメ制作部は、深夜の“ノイタミナ”(毎週木曜日、24時55分~フジテレビ他にて放送)や「+Ultra」(毎週水曜24時55分フジテレビ他にて放送)という枠を中心に制作をしておりますが、部署の中でも注目の作品であったため、『めざましテレビ』と協議し、番組内でのアニメ化が決定しました。

――原作のどのような部分に魅力を感じてらっしゃいますか。
大前提は、とにかく可愛いということですよね。しかし可愛いだけではないというのも深いところ。怖いやつが出てきたり、欲しいもののために労働しないといけなかったり、人間社会と変わらない世界が描かれているところが共感を生んでいるんじゃないかと思います。

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――しかも、幅広い世代に愛されていますよね。障子プロデューサーがとくにお好きなエピソードは?
草むしり検定のお話が好きですね(笑)。あの話は、僕自身が小学生だったときのことを思い出します。当時、通っていた塾で進級テストがあって、受かった人だけが塾内でレベルの高いクラスへ行けたんです。僕はそのテストを友達と一緒に受けたのですが、僕だけそのクラスに上がれなかった(笑)。そういうことを、原作を読んだ際に思い出したんですよね。なので、新しい作品であると同時に、読んだ人にとってはどこか懐かしくも思えるようなお話なんじゃないかなと思います。

――確かに、そういうポイントがありますね。原作者のナガノ先生とは、どんな会話を重ねてアニメ化されているのでしょう。
たくさんのファンの方がいらっしゃる中で、アニメ化すれば、“思っていたのと違う!”という声も上がると思うんです。とはいえ、キャラクターの動き一つとっても、アニメにすると原作とは違うものを考えないといけない。そこで、どのようにキャラクターを動かせばより可愛くなるのか、ナガノ先生からアドバイスをいただいています。

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――どんなアドバイスを?
アニメーターの方々がおっしゃるのが、ちいかわの絵を描く難しさなんです。制作スタジオの動画工房さんもキャラクターを可愛く描くにあたって、かなり苦労されたようです。そこで、顔のバランスや形、輪郭線の太さなど、ナガノ先生に“こうすれば可愛くなる”ということを細かく教えていただきました。そうしたアドバイスを大事にしています。

――ナガノ先生直伝なんですね。本作がなぜ原作をこれほどまでに再現しているのかがよくわかりました。
先生のお描きになるちいかわの可愛さは、本当に絶妙なんですよね。描くうえで、先生にしかわからないツボがある。なので、キャラクターに対しての先生のご意見を、いつも参考にさせていただいています。

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名曲「ひとりごつ」の制作秘話

――ほかに本作の制作で、ご苦労されているのは、どのような点でしょうか。
やはり動きの部分ですね。とくにうさぎは、はちゃめちゃに動いているキャラクターなので、すごく大変。しかも、その動きに正解がないんです(笑)。それから、反響が大きかったのは「ひとりごつ」の11話ですね。「ひとりごつ」はハチワレが歌う本作のエンディングテーマでもあり、原作には歌詞があっても、メロディがないわけで、他の話と比べて大変でした。歌っているハチワレが尻尾でリズムをとって動いているのですが、そうした細かい動作も含めて、可愛さの追求を大切にしています。

――「ひとりごつ」の音楽は、どのようなこだわりで作られていったのでしょう。
ミュージシャンのトクマルシューゴさんに、作品世界に合う素晴らしい曲を作っていただきました。この作品には、可愛いだけじゃなく不穏な回もあるので、それに合わせた劇伴も作っていただいていまして、そこも怖い感じだけでない柔らかさも入れてもらっていますね。

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――作中ではかなり独特な音の使い方をされているようにも思いますが、こうした部分はどんな狙いが?
『ちいかわ』は『めざましテレビ』で放送しているので、そこをベースに考えています。報道やエンタメ、トレンドなどいろんな情報を扱う番組の中で、いきなり『ちいかわ』が始まると視聴者の方も切り替えができないんじゃないかという危惧がありました。それを考えて、音楽とともにタイトルコールをつけ、明確に始まったということを示しています。
あとは効果音でしょうか。本作は1分アニメなので、その中で緩急が生まれるように、あえて大きめに音をつけているところがあります。

――うさぎの笛ラムネの音など、インパクト大でした(笑)。
そうですよね(笑)。キメラの回(16話)もそうですね。ちいかわがキメラと出会ったときの、ドキドキしている心臓の音はあえて大きめにつけていて、現場でも意識的にやっているところでもあります。

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――例えば『蒸気船ウィリー』の汽笛の音や、『鉄腕アトム』のアトムの足音など、古典的なアニメーションの音の使い方に通じるのがあり、すごく感動しますね。
ありがとうございます。例えば、漫画だと擬音がありますよね。「バクバク」や「ドキドキ」という擬音が、ナガノ先生の原作では、文字によって見事な表現になっているのですが、実はアニメではそれを減らしているんです。その分、わかりやすく強い音を付けて、ちいかわ、ハチワレたちの感情がわかるような音作りを心がけています。

――スタッフのみなさんが、原作を何度も参照され、ディテールを追求されているのがわかります。
ファンの方も、そうした細部に注目してコメントしてくださったりするんです。それらを見ると、私たち制作側も本当に嬉しいんですよね。

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後編に続く。

プロフィール
障子直登 しょうじ なおと
1993年生まれ、京都府出身。アニメプロデューサー。本作が初プロデュース作品。

INFORMATION
アニメ 『ちいかわ』
原作:ナガノ「ちいかわ」
シリーズディレクター:三原武憲
セットアップデザイン:朝倉夕貴
色彩設計:石黒けい
撮影監督:金子直広(三晃プロダクション)
音響監督:土屋雅紀
音楽:トクマルシューゴ
編集:茶谷真悟
アニメーション制作:動画工房

《声の出演》
ちいかわ:青木 遥
ハチワレ:田中誠人
うさぎ:小澤亜李
モモンガ:井口裕香
ポシェットの鎧さん:杉田智和
労働の鎧さん:東地宏樹
ラーメンの鎧さん:松岡禎丞
ラッコ:内田雄馬
くりまんじゅう:淺井孝行 他

《TV》
フジテレビ系列『めざましテレビ』(5時25分~8時放送)内にて、
毎週金曜7時40分ごろ放送
《無料配信》
放送後(8:00~)に1 週間限定見逃し配信
YouTube、TVer、GYAO!、FOD

公式Twitter:https://twitter.com/anime_chiikawa
公式 HP:https://www.anime-chiikawa.jp/

©ナガノ/ちいかわ製作委員会

『メイドインアビス』小島正幸監督インタビュー前編

河内文博

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