ずん飯尾 ただの「温厚脱力系おじさん」にあらず!若手押しのけランキング上位に食い込むワケ

ずん飯尾 ただの「温厚脱力系おじさん」にあらず!若手押しのけランキング上位に食い込むワケ

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  • 更新日:2022/01/15
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ずんの飯尾和樹

「2021年~2022年の年末年始TV番組出演者ランキング」(株式会社エム・データ「TVメタデータ」)が発表された。これは、2021年12月28日から2022年1月3日にEテレを除く地上波キー局で放送されたテレビ番組に出演した人物を、番組本数と番組放送回数の多い順に並べたものだ。

【ランキング】年末年始TV出演はチョコプラに次いで飯尾が!番組本数で1位に輝いたのは、チョコレートプラネットの長田庄平と松尾駿だった。3位以下には、ぺこぱ、霜降り明星、マヂカルラブリー、かまいたち、ヒコロヒーなど、いま売り出し中の人気若手芸人が名を連ねている。

そんな中で目を引くのは、3位に食い込んでいるずんの飯尾和樹である。上位にランクインしている芸人の中では圧倒的に芸歴が長く、年長者でもある。数字の上では、そんな彼が今をときめく若手たちに並んで、年末年始のテレビに引っ張りだこだったということになる。飯尾がそこまで求められる理由は何なのか?

結論から言うと、「温厚脱力系おじさん」と「腕利きの中堅芸人」という2つの顔を持っているからだ。それぞれの要素で必要とされる場面が多いからこそ、たびたび起用されているのだろう。

テレビで見る飯尾はいつもマイペースで、人の良さそうな笑顔を浮かべていて、無理に前に出ようとはしない。「忍法メガネ残し」「よろけたついでに由美かおる」「ぺっこり45°」など、彼の代表的なギャグもゆるい雰囲気のものばかりだ。

番組制作のセオリーとして、テレビに出る芸人やタレントの世代は偏りすぎない方がいい。若者ばかりがテレビに出ていると、中高年の視聴者はそこで出てくる話題に共感することができず、離れていってしまう。

そのため、中年男性タレントは常に必要とされているのだが、その椅子に座れる人材が不足している。一昔前なら「温厚脱力系おじさん」として蛭子能収が起用されることが多かったのだが、さすがに年齢や体力の面で厳しくなってきた。

そこで飯尾の出番となる。飯尾は決して無理をせず、若い世代の流行や話題に乗ろうともしない。ただ自分のペースを守り、淡々とロケやトークをこなしてみせる。好かれているだけでなく、多くの人に違和感を与えず、嫌悪感を持たれない。

さらに、飯尾には実力派芸人としての一面もある。若手芸人と並んで大喜利企画やネタ番組に臨んでも、自分の型を貫いてきっちり笑いを取ることができる。人畜無害のマスコット的な存在ではなく、芸人としての牙を隠し持っている。でも、それをむやみにひけらかすことはしない。その奥ゆかしさと品の良さも愛される理由である。

10年以上前、初期の『キングオブコント』の予選会場でずんのネタを見たことがある。『キングオブコント』はコント日本一を決める大会であり、若手芸人にとっては人生のかかった大舞台だ。誰もが緊張した面持ちで生きるか死ぬかの勝負に来ている。

でも、ずんのコントにそんな緊張は一切感じられなかった。ネタの中で飯尾は「ぱっくりピスターチオ」などと普段通りにギャグを連発して、相方のやすにツッコまれていた。最後は観客の方を向き直り「それでは皆さん、良い夜を」と言って頭を下げていた。血しぶきが舞う戦場に一瞬だけふわっと爽やかな春風が吹いたようだった。

テレビタレントが長く生き残るためのコツは、ほかに代わりがきかない唯一無二の存在になることだ。一見すると地味に思える脱力系おじさん芸人の飯尾和樹は、オンリーワンの椅子に鎮座する超一流のテレビ職人なのだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)

ラリー遠田

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