「山中に埋められた腐乱死体でも刺青だけはキレイに...」警察幹部が明かした“ヤクザと刺青”の本当の関係

「山中に埋められた腐乱死体でも刺青だけはキレイに...」警察幹部が明かした“ヤクザと刺青”の本当の関係

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/02/21

タトゥー大流行のいま「ヤクザはどんな刺青を入れているのか?」〈暴力団幹部が解説〉から続く

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「ヤクザになったばかりの頃に、兄貴分が刺青を見せてくれた。これが格好良かった。それで自分も刺青を入れた」

関西に拠点を構える指定暴力団の幹部が、刺青を入れた際のことを振り返る。

「ヤクザになるということは、この業界の不条理を受け入れて我慢を背負っていくこと。そのけじめという意味でも刺青を入れた。近ごろはファッションになっていて、タトゥーと呼ばれて若者の間で流行しているようだが……」

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警察当局は暴力団員の刺青をどう見ているのか?(写真はイメージ。本文とは関係ありません)©️iStock.com

「刑務所のお風呂ではすぐ目に留まる」

暴力団員とセットで語られることも多い刺青。暴力団犯罪捜査のベテラン刑事が、その関係について述べる。

「ヤクザの多くは、実際に刺青を入れている。背中全面から胸、両手首までと上半身ほぼ全てという者もいれば、腕だけなどいろいろだ。ただ、そんな中で、刺青を入れていない指定暴力団の大幹部もいた。ヤクザだろうが、サラリーマンだろうが、何か成果を上げるのに必要なのは、その人物の器量だ。ヤクザの社会でも刺青があるかないかで何かを判断されるわけではない」

実際に、刑務所でこんな体験をした指定暴力団の幹部もいた。

「刑務所内では風呂の際に全員が裸になるため、刺青はすぐに目に留まる。ある時、誰もが知るある組織の大幹部が入ってきたが、風呂の際にその幹部の背中には何もなくて意外に思ったことがある。それでも確かに、大物ヤクザとしての風格を感じたものだ」

腐乱した遺体でも刺青は残っていた

暴力団員と切っても切り離せない存在ともいえる刺青。この刺青が、警察の捜査において大きく貢献したケースがあった。かつて暴力団犯罪の捜査を指揮していた警察当局の幹部OBが振り返る。

「昔の話だが、ある山中で殺害された暴力団幹部の遺体が見つかった。ほぼ腐乱していたが、背中の刺青はかなりきれいに残っていた。

現在ならDNA型鑑定などで遺体の身元を間違いなく特定できる。だが、当時はそのような科学的な方法はなかったから、『背中の刺青で身元を特定できるのではないか』と彫師にあたった。すると、ある彫師が『自分がこの刺青を入れた』と話してくれて、被害者の身元を特定できた」

前出のベテラン刑事も、同じ体験をしていた。

「かつて暴力団同士のトラブルがあり、あるヤクザの所在が分からなくなった。別のヤクザの自白で『殺してある山中に埋めた』と分かり、供述通りに地中から遺体が出てきたのだが、その遺体はほぼ全身の腐乱が進んでいたのに、なぜか背中の刺青だけは柄が分かるほどそのままだった。刺青として入れられた色素だけが腐らず残ったのかもしれないが、不思議なものだと思った」

「身体捜検」で明らかになった町長の刺青

全国の警察本部には暴力団による犯罪を捜査する部署が整備されている。例えば警視庁には「組織犯罪対策部」が設置されており、内部では「組対(そたい)」と呼ばれている。暴力団による対立抗争事件や殺人、傷害、恐喝などの事件の担当は組対4課だ。

ただ、暴力団と縁遠そうな、政治家や公務員の汚職、詐欺事件など“知能犯”を担当する捜査2課の幹部から、刺青の話を聞いたことがある。

その体験を明かしてくれたのは、長年、知能犯捜査を担当してきた警察当局の捜査幹部OBだった。

「ある地方の町長について長期間、内偵捜査を続けて特定の業者に便宜を図った見返りに賄賂として現金を受け取っていたことが分かった。ある日、町長に任意同行を求め事情聴取の末、容疑が固まりこの町長を逮捕した。ところが、逮捕後の身体捜検で背中に立派な刺青が入っていたことが分かった。これには当時の捜査員みんなが驚いた。びっくり仰天だった」

「身体捜検」とは、逮捕後に容疑者の身体的な特徴を確認することを指す。容疑者に対して逮捕状を示して執行し手錠をかけて、留置関係の手続きに移るが、容疑者の顔写真撮影、指紋採取などが行われた後に、服を脱がせて体の手術痕、傷などの特徴について確認するのだ。長期間にわたって内偵捜査を続けていても、町長の背中の刺青までは気付けなかったというわけだ。

この事件は、元ヤクザが町長になったという結末だったが、捜査幹部OBはこのように述懐した。

「後にも先にも逮捕した首長の背中に刺青が入っていたのはこの事件だけだった」(敬称略)

「人差し指を根本から切断して…」不始末にけじめをつけるヤクザの“指詰め”のリアルへ続く

(尾島 正洋/Webオリジナル(特集班))

尾島 正洋

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