封神演義×スチームパンクな中国アニメ『ナタ転生』緊急上陸! 日本のゲーム・アニメ~ハリウッド大作までエンタメ要素てんこ盛り

封神演義×スチームパンクな中国アニメ『ナタ転生』緊急上陸! 日本のゲーム・アニメ~ハリウッド大作までエンタメ要素てんこ盛り

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  • 更新日:2021/02/21
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『ナタ転生』©Light Chaser Animation Studios

中国発! 旧正月の大作アニメが日本で緊急公開

中国のお正月注目大作(2021年2月12日[金]からの中国の春節)として公開され、日本でも急遽2月26日(金)から公開が決まった『ナタ転生』は、色々な意味で見所満載の注目作品である。

まず、いきなり『AKIRA』(1988年)かと思えるバイクが登場、ファイナル・ファンタジーに通じる画面構成などアニメとゲームへのオマージュが次々と繰り広げられ、そこにさらに香港映画でお馴染みのカンフーが飛び交う。『マッドマックス』(2015年ほか)や『アイアンマン』(2008年ほか)などのノンストップ・ハリウッドアクション映画にも通じる本作は、2019年に『白蛇:縁起』でデビューを果たした趙霽(チャオ・ジー)監督が4年の月日を掛けて完成させた野心作である。

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『ナタ転生』©Light Chaser Animation Studios

中国ファンタジーの源泉「封神演義」

時代劇がほとんどの中国のアニメーションにおいて、ほぼ初めてと言える現代的な舞台設定がなされている本作のテーマは「封神演義(ほうしんえんぎ)」。中国の明代(1368~1644年)に書かれたとされるこの伝奇小説は、現代においても多くのファンタジー創作の源泉となってきた。それは中国においてはもちろん、日本においても多くの作家が「封神演義」をテーマとした小説やマンガを発表しており、ゲームの世界でもしばしばその名が登場している。しかし、その小説を現代を舞台にしたアニメ映画に翻案してみせたのが『ナタ転生』だ。

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『ナタ転生』©Light Chaser Animation Studios

前世の因縁を断ち切るためのナタの新たな使命とは

物語の舞台は「封神演義」から3000年後の世界。1920~1930年代に大いに栄え、最新のジャズ・ミュージックが聴けた上海の外灘(バンド)がモデルの東海市。そこに住む李雲祥(リ・ウンショウ)は非合法の運び屋だが、そのバイクに目を付けたのが、東海市四大氏族のトップ<徳興グループ>の三男坊、三公子。実は、この二人は「封神演義」における宿敵であり、その因縁を現世に持ち越して来たのだった。

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『ナタ転生』©Light Chaser Animation Studios

その争いは遙か昔、ナタに倒された三公子の父親をはじめとする竜族たちを目覚めさせ、東海市の市民も巻き込んでの抗争に発展する。そして、雲祥もその争いの中で次第にナタの生まれ変わりであることに気付きはじめ、過去の因縁を断ち切る新たな使命を自覚するようになる。

キラリと光る若手映画監督

深夜アニメがない中国ではキッズ・ファミリー向け作品が主流だが、ここ数年は比較的表現規制が緩いネットメディアがオトナアニメの需要を広げていた。ところが、ネットで人気があるのは日本のテレビアニメであり(ほぼリアルタイムで配信)、正直、中国産のネットアニメに対する評価は低いものがある。原作となるコミックやオタク文化の層が浅いといった理由もあるが、なかなかハイクオリティのアニメが出てこない状況にある。しかし、ここにきて劇場アニメの領域でキラリと光る作家性の高い若手監督の作品が現れはじめている。

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『ナタ転生』©Light Chaser Animation Studios

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成長著しい中国の劇場アニメ

2015年の劇場アニメ『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』を観て、中国人はアッと驚いた。田暁鵬(ティアン・シャオパン)監督によるこのCGアニメは、その迫力に満ちた映像で中国アニメ史上1位となる9.57億元(約153億円)という興行収入を打ち立てる。翌2016年には梁施(リャン・シュエン)監督の『紅き大魚の伝説』(『時をかける少女』[2006年]の吉田潔が音楽を担当)が公開され、日本的なセル表現で中国のアニメファンにアピールし、5.65億元(92.6億円)のヒットとなった(日本語版監修は宮崎吾郎監督)。

そして度肝を抜かれたのが、2019年の『ナタ~魔童降臨~』(原題『哪吒之魔童降世』)。自主アニメの経験しかなかった餃子監督(本名:楊宇/ヤン・ユー)が初めて商業作品に挑戦した作品が、なんと50億元(800億円)というメガヒットを記録し、『インクレディブル・ファミリー』(2018年)の北米記録も抜いて世界のトップ(単独国)に輝いたのである。さらに、同じ年には本作の趙霽監督と『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』(2019年)のMTJJ監督が劇場デビューを果たし、中国の若き才能が一気に浮上してきたのである。

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世界に繋がる「改革開放時代」の申し子

次々とデビューを果たしている中国の劇場アニメ監督だが、その特徴は何と言っても若さにある。先行した田暁鵬だけは1975年生まれの45歳であるが、残りの4人は全て1980年代生まれのいわゆる「80后(80後)」世代である。彼らは海外の文化から遮断されていた文化大革命(1966~1976年)の後にドッと押し寄せた日本文化(アニメ、マンガ、ゲーム)の波に直撃された「改革開放時代」の申し子。次から次へとやってくる日本のポップカルチャーに夢中になりながら、いきなりマイケル・ジャクソンから世界文化と繋がった80后世代が、ようやく表現の場に躍り出てきたのである(文化大革命時代と年代的に重なっているザ・ビートルズやザ・ローリング・ストーンズを知らない中国人は多い)。

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『ナタ転生』©Light Chaser Animation Studios

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80后のアイドル!? 彼らの可能性とは――

彼ら80后世代の「アイドル」は、餃子監督の自主制作アニメ『打、打個大西瓜』(原題:2008年)のエンディングにあるように、ウォルト・ディズニーやピクサーであり、手塚治虫、宮崎駿、押井守、大友克洋、鳥山明、小島秀夫なのである。餃子監督のアイドルには、さらにハリウッド映画監督の李安(アン・リー)、金庸(武侠小説)、余秋雨(作家)、成龍(ジャッキー・チェン)、バラク・オバマのような政治家や李嘉誠(長江実業グループ)といった実業家まで加わるのだが、おそらく映画監督のキャリアをスタートさせたばかりの80后世代から、日本で言えば宮﨑駿、庵野秀明、細田守、新海誠に相当する作家性に富んだ監督が現れるはずである。

趙霽監督は、中国の名門・伝媒(メディア)大学を出てUCLAに留学。『ナタ転生』が中国と日本、さらに西洋のビジュアル要素を融合させ、スチームパンク的な世界観に仕上がったのは、その国際的な感覚の賜物だ。そんな『ナタ転生』だけに、中国のみならず日本のアニメ・映画ファンにも支持される可能性は大きいだろう。

文:増田弘道

『ナタ転生』は2021年2月26日(金)よりTOHOシネマズ池袋・上野ほか順次公開

増田弘道

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