吉沢亮の泣きたくなるほどの純粋さ、草なぎ剛の貫録...「青天を衝け」が楽しみでたまらない

吉沢亮の泣きたくなるほどの純粋さ、草なぎ剛の貫録...「青天を衝け」が楽しみでたまらない

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/02/22
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20%超えも納得の「新鮮さ」

NHK大河ドラマ『青天を衝け』(日曜午後8時)の初回が2月14日に放送された。その世帯視聴率が20.0%だったのは知られている通り。20%台での始動は2013年の『八重の桜』以来、8年ぶりだ(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。

描かれる時代は主人公・渋沢栄一(吉沢亮、27)が生まれた幕末直前の1940(天保11)年から、91歳で他界した1931(昭和6)年まで。幕末・維新、明治期モノに該当する。

「幕末・維新、明治期モノは当たらない」という俗説が未だ一部で信じ込まれているせいか、20%超えに驚いた人もいたようだが、このジンクスが生きていたのは1960年代のこと。その後は当たるも当たらないも作品次第。時代は関係ない。

今回の20%超えも作品が良かったからだろう。第一に新鮮だった。3年後には1万円札の肖像になることで注目される渋沢栄一が初めて主人公となり、人気と実力を兼ね備えた吉沢亮(27)の大河での初主演作なのだから。

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吉沢はファンたちの間で「令和の和製アラン・ドロン」と呼ばれ、おそらく歴代の大河主演者で指折りの二枚目。吉沢目当てで初回を観た人も少なくないのではないか。演技力も定評があり、日本アカデミー賞の新人俳優賞(2019年)と最優秀助演男優賞(2020年)を得ている。

栄一が魅力的な人物であることも大きい。日本経済の父と呼ばれる栄一は王子製紙、IHI(石川島造船所)、帝国ホテルなど500を超える会社を誕生させながら、蓄財には関心がなかった。だから所有した会社はほとんどない。

では、何のために会社を次々と興したかというと、国力を高めるため。近代化が進んでいた欧米諸国に飲み込まれることのない国家づくりと、人々の暮らしを豊かにすることを目指していた。

綺麗事のようだが、幕末という極めて難しい時代の舵を取った15代将軍・徳川慶喜(草なぎ剛、46)に仕えたことなどから、栄一にとって国のために尽くすというのは当たり前のことだったようだ。会社を興したのみならず、一橋大や日本女子大など大学の援助にも力を注いだ。

栄一と慶喜、それぞれの目線

物語の構成も斬新だった。幕末直前という時代が、武蔵国榛沢郡血洗島村(現埼玉県深谷市)の藍農家に生まれた栄一(子供時代=小林優仁、9)の目線と、水戸藩に生まれた慶喜(同=笠松基生、11)の視点で、別々に描かれたからだ。これも高視聴率に結びついたのではないか。

地方と中央の武士同士という視点ならば過去にも『八重の桜』などが採用しているが、農家と徳川家というのは新しい。2人の歩みが交互に描かれたので、物語に厚みが生まれ、飽きさせなかった。

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NHK大河ドラマ『青天を衝け』より

このスタイルは今後もしばらく続く。同じ時代を生きた2人ではあるものの、目に映る景色は全く違っていたはずなので、幕末の実像がより鮮明に浮かび上がるだろう。

2人が出会い、同じ景色を見始めるのは1864(文久4)年のこと。栄一24歳、慶喜27歳の時だった。初回の冒頭シーンである。簡単に振り返りたい。

当時、一橋家当主だった慶喜がお供を連れて馬で街道を駆っていたところ、栄一が走り寄り、とんでもないことを口にした。

「既に徳川のお命は尽きてございます!いかに取り繕うとも」

もう徳川家の世は終わりだと直言したわけで、慶喜の側近・平岡円四郎(堤真一、56)に根回しをしてあったとはいえ、あまりにも大胆不敵な行動だ。慶喜の逆鱗に触れれば何をされても仕方がなかっただろう。

続けて栄一は懇願した。

「もし天下に事のあった時、あなた様がその大事なお役目を尽くされたいとお思いならば、どうか、どうか、この渋沢をお取り立てくださいませ」

この2年後の1866(慶応2)年に、慶喜が将軍になるとは栄一も思っていなかったはずだが、頭脳明晰で知られた慶喜が混迷する幕末のキーパーソンだと睨んでいた。栄一は慶喜の下で国のために尽くすことを決意していたのだ。

名シーンだった。吉沢が演じた栄一は無鉄砲だが、国の役に立ちたいという純粋な思いを強く感じさせた。言動は荒っぽかったものの、清涼感を残した。

名優の誉れ高い草なぎの演技

一方、草なぎによる慶喜はというと、圧巻の一語。栄一の懇願に対し、しばし沈黙した後、「表を上げよ」と冷めた口調で言い放つ。慶喜の人間性を短い時間で全て表現したように見えた。

慶喜は切れ者だったが、空気が読めず、我も強かったとされる。孤高だった。草なぎはそんな慶喜の人柄を、相手を刺すような目と凍り付いたような表情で観る側に伝えたようとしたのだろう。名優の誉れ高い草なぎの演技が毎週観られるのも見どころの1つに違いない。

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栄一への教育も見どころ。偉人への教育をテレビで知るには大河が一番だ。まず、父・渋沢市郎右衛門(小林薫、69)は栄一にノブレス・オブリージュ(権力や社会的地位には義務が伴う)を説いた。

「上に立つ者は下の者への責任がある。大事なものを守る務めだ」(市郎右衛門)

市郎右衛門は大規模な藍農家である一方、藍玉の製造販売もしていた。勤勉で藍玉作りの名人だったと言い伝えられている。人望があり、地域のまとめ役も担っていた。子供への教育もしっかりしていたようだ。

母のゑい(和久井映見、50)は初回で栄一に公共心を言い含めた。

「あんたがうれしいだけじゃのうて、みんながうれしいのが一番なんだで」(ゑい)

ゑいはこの言葉を栄一に繰り返し言い聞かせた。500を超える会社を誕生させながら、蓄財に関心がなかった背景には「みんながうれしいのが一番」という教えもあるに違いない。

ほかに水戸学と論語。栄一は慶喜と出会う前から水戸学に傾倒した。水戸学は儒学思想に国学や史学、神道を織り込んだもので、幕末の尊王攘夷運動に強い影響を与えたが、一言で言ってしまえば国のために身を粉にしろということである。

論語にものめり込んだ。1916(大正5)年には著書『論語と算盤』を刊行している。論語とは孔子が語った道徳観を弟子たちがまとめたものなのは知られている通りで、これを栄一は事業を行う上での規範と考えた。資本主義には倫理が欠かせないというのが持論だったのだ。ますます蓄財に無関心だったのもうなずける。

栄一の受けた教育歴を辿ると、なぜ日本経済の父と呼ばれる生涯を送ったのかが見えてくる。

出演陣が期待大!

今後の見どころの1つは新たな出演陣。上白石萌音(23)は篤姫(天璋院)を演じる。吉幾三(68)扮する12代将軍・家慶の実子で13代将軍・家定(渡辺大和、30)の正室である。

萌音のこれまでに演じてきた役柄は天真爛漫で心優しい女性が多いが、篤姫は慶喜と大奥改革問題で対立するなど気丈で頑固な一面を持っていた。萌音がどう演じるのか興味深い。

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14代将軍・家茂を演じるのは磯村勇斗(28)。この人も注目株だ。独特のクールな雰囲気を持つイケメンで、ヒット中の映画『ヤクザと家族The family』では半グレ集団の幹部を演じている。

昨年のドラマ『恋する母たち』(TBS)では吉田羊(47)の恋人「赤坂君」を演じた。大河は初出演。登場後は視聴者の熱い視線を浴びそうだ。

ほかにもベテランから若手まで実力派や話題の人がズラリ。大河の醍醐味をたっぷりと味合わせてくれそうな作品である。

初回の20%超えはフロックではない。

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