
静岡・熱海市の土石流災害で、盛り土に関する行政の対応を検証する県の第三者委員会は「県と市の対応は失敗だった」と厳しく指摘する「最終報告」をまとめた。熱海市の金井副市長は「納得しかねるとし」、県の難波副知事は17日に会見し見解を示すという。
静岡・熱海市の土石流災害で、盛り土に関する行政の対応を検証する県の第三者委員会は「県と市の対応は失敗だった」と厳しく指摘する「最終報告」をまとめた。
災害関連死を含め27人が亡くなった熱海市の土石流災害では、被害を甚大化させた盛り土に関する行政の対応が適切だったのかについて、県の第三者委員会が検証していた。
委員会では、県や熱海市の当時の担当職員からヒアリングした結果などをもとに、13日「最終報告」をまとめ、県と熱海市に対し「行政対応は失敗だった」と厳しく指摘した。
まず、熱海市については、2007年、前の土地所有者が提出した盛り土の計画書が一部記入されていないにも関わらず受理したことについて、「審査は甘く緩かった」と指摘した。
また、2011年、前の土地所有者が度重なる行政指導に従わなかったにも関わらず、“防災工事を始めた”という理由で市は「一定の安定性が確保された」と判断。「措置命令」を見送った。
この判断について第三者委員会は…。
(行政対応第三者委員会 青島 伸雄 委員長)
「ちゃんと措置命令を発出して、専門家などを入れて、安全性が保たれるかどうかまで行くべきだった。もう少しきっちりやった方が良かったという感じはしている」
一方、県についても、「措置命令」を見送ったことを把握しておらず、「積極的な関与を行わなかったことには疑問が残る」と指摘した。
最終報告では“県と熱海市の連携不足”を厳しく指摘する記載が多く見られた。
(行政対応第三者委員会 青島 伸雄 委員長)
「初動の届け出の受付の段階が一番の原因かな。もう少し厳密に市や県が連携をとっていれば、業者の悪質な行為はある程度止められ
たのかなと考えております」
一方で、県が熱海市から相談を受けたにも関わらず「森林法」を適用しなかったことについては。「より踏み込んだ判断」として考えられたものの、「県と市の連携が取れていなかったこと」が問題だったとの認識を示した。
「最終報告」を受け、熱海市の斉藤市長は「反省すべき点は
真摯に受け止める」としながらも不満を示した。
(熱海市 斉藤 栄 市長)
「報告書は納得しかねるもの、と言わざるを得ない」「記述の根拠となる証拠や資料に偏りがあるのではないかと感じている」
一方、県の難波副知事は「不十分な点はあった」とした上で、最終報告を検証し、17日に会見を開いて県の見解を示すと話した。
県の第三者委員会は、約半年をかけて検証を進め、13日「最終報告」を発表した。
最終報告では「行政対応は失敗であった」として、特に熱海市に対して厳しい指摘が並んだ。
また最終報告では「早い段階で県や市が共同して対処すべきだった」「行政対応の足並みがそろっていなかった」など、“県と熱海市の連携不足”を指摘する記載も多くみられた。その上で「二度とこのような災害が起きないよう、県と市の行政姿勢を見直し連携を強化するべき」とまとめている。
川勝知事は「最終報告を真摯に受け止め、行政対応の改善を図っていく所存です」とのコメントを発表している。