クリント91歳、リドリー84歳、そして追悼・井上昭93歳......戦い続ける現役超ベテラン監督たち!

クリント91歳、リドリー84歳、そして追悼・井上昭93歳......戦い続ける現役超ベテラン監督たち!

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  • 更新日:2022/01/15
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ベテランの貫禄漂わせる1月14日公開の2作品

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(C)2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

まずは、現在91歳(!)のクリント・イーストウッドが監督・主演した『クライ・マッチョ』(21)が1月14日より公開となりました。

常に自分の作りたい映画をストイック&コンスタントに作り続けているイーストウッドではありますが、その中身も最近こそ老いをモチーフにしたものが増えてきているとはいえ、現代の風潮に媚びたものなど一切なく、それこそ彼が『恐怖のメロディ』(71)で監督デビューを果たした1970年代から何らタッチが変わってないことは驚きですらあります。

監督デビューから50年、そして監督作品40本目となる『クライ・マッチョ』も、かつてはロデオで名が知れつつ今はすっかり落ちぶれた元カウボーイとメキシコ人少年の旅を描いたロード・ムービーであり、そこには『センチメンタル・アドベンチャー』(82)や『パーフェクト・ワールド』(93)などとも並び比較したくなる彼の人生観、即ち“人が生きていく上で大切なこと”が飄々とした味わいで描出されていくのでした。

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(C)2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『エイリアン』(79)『ブレードランナー』(82)などの巨匠リドリー・スコット監督も現在84歳ながら、エネルギッシュに新作を連打し続けています。

昨年も『最後の決闘裁判』(21)が話題になったばかりの彼ですが、1月14日より公開の『ハウス・オブ・グッチ』(21)は世界的ファッションブランド“グッチ”の創業一族の内紛と殺人事件といった事実をレディ・ガガをはじめとするオールスター・キャストでゴージャスに、そしてスキャンダラスに描出。

157分という長尺ながら、見ている間はいささかも退屈させる暇などなく、アメリカ版“華麗なる一族”とも呼びたくなるドロドロのお家騒動をワイドショーどころではない興味と興奮をもって見据えていくことが出来ます。

それにしても1年に2本も超大作を発表できてしまうリドリー・スコット監督の映画的腕力の高さには恐れ入るばかりで、2017年の『ゲティ家の身代金』ではセクハラ事件が発覚したケヴィン・スペイシーの出演シーンをクリストファー・プラマーの代役で10日間で撮り直すという荒技もやってのけているのです。

生涯現役を貫き通した 井上昭監督

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(C)「殺すな」時代劇パートナーズ

そして1月28日より全国のイオンシネマ89館で上映される(2月1日には時代劇専門チャンネルで放送)時代劇中編作品『殺すな』は、何と撮影時に92歳だった井上昭監督の惜しくも遺作となりました。

上映初日を目前に控えた1月9日、井上監督は93歳で永眠。

実は今回の原稿、クリント・イーストウッドよりもさらに高齢の監督が日本で頑張っているといった趣旨で書こうと思い、まさにその筆を進めていたときに訃報を知らされたもので、まだ冷静になりきれていないところがあります……。

井上昭監督は1950年に大映京都撮影所に入社し、溝口健二や森一生ら名匠たちの助監督を務め、1960年に『幽霊小判』で監督デビュー、1964年の田宮二郎主演『勝負は夜つけろ』などの代表作があります。

一方で『座頭市二段斬り』(65)などで勝新太郎、『眠狂四郎多情剣』(66)などで市川雷蔵の主演映画を撮るなど、当時の二大カリスマ・スターや大映撮影所時代を知る貴重な証人のひとりでもありました。

大映時代はキャッチーなキャメラ・ワークなどが身上で、一時は“大映のゴダール”とまで称されたことがありましたが、1971年に大映が倒産して以降はTVドラマを中心に活躍するようになり、そのスタイルも徐々にオーソドックスなものになっていきます。

もっとも彼が撮るTVドラマは常に映画としての誇りと貫禄を忍ばせたものばかりで、堺正章・主演版「天皇の料理番」(80~81)や2時間ドラマ“ザ・サスペンス”枠の「本陣殺人事件 三本指で血塗られた初夜」(83/このときの一柳三郎役・本田博太郎は『殺すな』にも出演)など忘れがたい名作は多数。

また1972年から田村正和を主演に迎えた「眠狂四郎」シリーズを晩年まで連打し、彼の当たり役にまで高め挙げていくとともに、1993年には久々の劇映画『子連れ狼 その小さき手に』でもコンビを組みました。

21世紀に入っても井上監督は旺盛に活動を続け、やがて始まる時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇を「鬼平外伝 夜兎の角右衛門」(11)から『殺すな』まで最多8本演出。

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『殺すな』の原作である藤沢周平の同名短編小説は、井上監督が以前より強く映像化を望んでいたものでした。

その望みが叶ったこともあってか、ここではスコープサイズという映画ならではの画面サイズの中、じっくり腰を据えた落ち着きのある長回し撮影などを駆使しながら、男と女の愛憎と嫉妬の念が艶やかに描かれていきます。

晩年の井上作品に多く出演した中村梅雀や柄本佑&安藤さくらの実力派俳優夫婦の共演、そして大映出身の名優・中村玉緒(勝新太郎夫人でもあります)が特別出演!

往年の日本映画黄金時代を彷彿させる美術なども含め、久々に時代劇ならではの品格を巧まずして自然に醸し出す清冽な作品、ぜひご覧になっていただきたく存じます。

もう一花咲かせてほしい 映画監督たち!

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増當竜也

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