
高知東生(2020年3月1日撮影)
俳優の高知東生(58)が20日、TBS系報道番組「news23」(月~木午後11時、金曜午後11時30分)に出演。薬物依存から回復を目指す現状について語った。
薬物にはじめて手を出したのは20歳のころ。上京したばかりで、あこがれの“成功者”たちに近づきたいとの思いで、勧められるままに薬物に手を出したという。「悪いことだとわかっているけど、仲間に入れると思って喜んでやりました。断ったり『出来ない』って言うとチャンスが訪れないと思った。だったら目の前に来たものを飛び込んでチャレンジしてやろうと。どこにチャンスが転がっているかわからない、そういうふうに考えていた」と当時を振り返った。
そんな自身の経験から、「NOと言えるものは、勇気を持ってNOと言うべき。もしそれによってその仲間関係、友情関係がなくなるなら、それは本当の仲間ではないし友情ではないと思います」と語ったが、「やっぱり孤独になるのは嫌だし、仲間から疎外されて孤立する寂しさっていうものは、若いころはもっと大きく感じるし、だからなかなかNOとは言えない」と、薬物に手を染めてしまう人々の心情を推し量った。
自身は現在、自助グループに参加し、仲間や支援団体のサポートを受けながら薬物からの回復を目指している。「僕が救われているのは、同じ方向を向いて、共感できる、回復し続けてもう一度、社会の役に立てる人になろうとして頑張っている仲間たちに包まれて、そのレールに沿って進ませてもらっている。この『独りじゃない』ということがどれほど自分の目標と自分自身を取り戻す(ために重要か)。自尊心のない者が、一つずつですけどゆっくりと取り戻せるっていうのはありがたいこと」と語った。
一方で、薬物で有罪判決を受けた人が支援プログラムにつながることは容易ではないのが現状だという。「罰というものは、しでかしたものは仕方がない。でも、できるものなら支援というものを同時にやっていかないと、なかなか回復につながることはできないんじゃないか。また、そういう理解をしている支援者にどうつながるかというのが、なかなか難しこと。社会が(支援プログラムに)わかりやすくアポイントを取れるために力を入れてほしい」と述べた。
続けて、「大切なのは、しくじったその後、どういうふうにもう一度、生き直していくか。そこに支援がほしい。でもそこに社会というものはものすごく冷たくて、僕みたいに刑罰が終わった後、すべて終了して生き直そうと思っても、社会の罰というものが目に見えないところですごく意地悪をする」と現状を明かし、「そこでもう一度、自分の自尊心を喪って、やっぱりダメなのかな、生き直したいのにと思っても、疎外感と孤独を感じてしまう。本気で生き直そうとする人には優しい社会と希望の光を与えてほしいと本当に思う」と訴えた。
放送後、X(旧ツイッター)を更新。「大麻使用罪についてお断りしていたがついにnews23に出演してしまった」と報告するとともに、「自分の経験からも若者の薬物乱用は防ぎたいと思っているが、その方法が使用罪創設だとも思えない」と私見を述べ、「だが俺がこの件で意見をいえばまた叩かれる。尻込みしていたが、自分の評価なんかより大事な使命ってあると思い直した。緊張したよ」とつづった。