文在寅政権の「豹変」...突如として日本にすり寄り始めたあざとい狙い

文在寅政権の「豹変」...突如として日本にすり寄り始めたあざとい狙い

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/11/21
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文在寅政権の思惑

米国のバイデン新政権誕生を見越して、文在寅(ムン・ジェイン)政権が日本に急接近している。

8〜11日の日程で訪日した朴智元(パク・チウォン)国家情報院長に続き、日韓議員連盟会長の金振杓(キム・ジンピョ)共に民主党議員が与党議員7人を連れて、やはり2泊3日の日程で日本を訪れた。さらには、韓国大統領府は否定しているが、叙勲(ソ・フン)国家安保室長の訪日も噂されている。

突如として対日外交に全力を注ぎ始めた文政権の狙いはどこにあるだろうか。

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ASEAN+3(日中韓)首脳会議(写真:内閣広報室)

「特に菅首相、お会いできて嬉しいです」

14日、オンラインで行われた「ASEAN+3」首脳会議に出席した韓国の文在寅大統領は、日本の菅義偉首相に向けて挨拶をした。多国間首脳会議の冒頭発言で、特定の国の首脳に名指しで挨拶するのは異例のことだけに、韓国メディアの注目を集めた。

韓国日刊紙の「東亜日報」は、「最近、冷え込んでしまった韓日関係改善のための水面下の交流が進んでいる中、文大統領が関係進展に向けた意志を示したもの」と分析した。同紙が指摘した「水面下の交流」についても、今月8日~10日、朴智元国情院長の訪日から現実味を帯びてきた。

歴代で最も政治的な国情院長という評価を受けている朴智元院長は、機密維持を原則とする情報機関首長らしからぬ「賑やかな訪日」で、日韓両国のメディアから大きな注目を浴びた。特に「菅-文在寅宣言」の提案をマスコミに流した行動は、文在寅政権の日韓首脳会談に対する強い意志を読み取ることができる場面だった。

韓国日刊紙の政治部記者は、朴院長の訪日を次のように分析する。

「トップダウン方式を好む文在寅政権の外交スタイルでは、懸案解決に向けた環境が整わないとしても、できるだけ早い時期に、韓日首脳会談を行いたいと思っている。

そして、今年は2年ごとに開催される韓中日3国首脳会談の議長国が韓国だ。コロナが変数になるけれど、政権末期に入った文在寅大統領としては、今回こそが最後のチャンス。是が非でも日本の菅首相の訪韓を実現させたいのだろう。

だからこそ、韓国内で外交部がパッシングされたという論争が起こることを承知の上で、二階俊博幹事長と親交のある朴院長を特使として日本に派遣したのだ」

「東京五輪には積極的に協力しろ」

有力な次期大統領候補である李洛淵(イ・ナギョン)与党代表も連日、日韓首脳会談の必要性を力説している。

李代表は13日、国会で非公開の記者懇談会を開き、「(日本政府の主張のように)懸案が解決してから会談を行うのではなく、(先に)会談を開いて懸案が解決されるようにするのが指導者としての役割」と、条件なしの日韓首脳会談が行われるべきだと強調した。

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次期大統領候補の李洛淵(イ・ナギョン)元首相〔PHOTO〕Gettyimages

李代表は、東京五輪が成功するためには、北朝鮮や文在寅政権の協力が絶対的に必要だと前置きしながら、「そのような観点で、韓日間の争点、韓日首脳会談、さらに一歩進んで、年内に予定される韓中日首脳会談を眺めなければならない」と主張した。

日韓議員連盟の韓国側会長である金振杓・共に民主党議員は12~14日まで日本を訪れ、菅首相や二階幹事長、森東京五輪組織委員長らと面談した。

韓国メディアが報じた同氏の訪日目的は、韓国政府の東京五輪協力構想案を日本側に伝え、日本政府から年末に内定した日中韓3国首脳会談出席に対する肯定的な見解を得ることだった。

金議員は、帰国後、中央日報とのインタビューで、「日本側が東京五輪に金正恩(キム・ジョンウン)委員長を招請する意思を明らかにした」と主張した。

「(日本高位外交当局者は)もしも、金正恩委員長が出席すると言うなら、東京五輪組織委員会を通じて公式招待することもできると明らかにした。

東京五輪組織委員長である森元首相も(金委員長に)出席の意思があるならば招待するのが道理ではないかという話をした」(11月18日付中央日報「金振杓、“日本政府、来年の東京五輪に金正恩招請の意向”」)

金議員はまた、東京オリンピックをきっかけに日韓関係の改善を模索するのが「韓国の党・政・大統領府全体の意志」であると強調した。

「訪日前に朴智元・国家情報院長と電話で話し、叙勲・国家安保室長とも協議した。文在寅大統領も東京オリンピックについては積極的に協力しろと言ってくれた」

元徴用工の補償で合意か

文在寅大統領も、14日の「ASEAN+3」首脳会議で、自ら東京オリンピックに緊密に協力すると述べた。

「2021年の東京から2022年の北京へとつながる北東アジアリレーオリンピックを“防疫-安全オリンピック”として開催するため、緊密に協力することを提案する」

11月16日、親政権メディアの「連合ニュースTV」は、「韓日首脳が元徴用工に補償するということに合意した」というニュースを伝えた。

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〔PHOTO〕Gettyimages

同ニュースは、韓国与党の高位関係者の言葉を引用し、「韓日双方が被害者補償原則に意見を一致した」とし、「補償の方法について大統領府や外交部が、それぞれ日本のカウンターパートともっと頻繁に会って熟議した後、両首脳が会って決断するという方針だと説明した」と伝えた。

具体的には、実務交渉を通じて補償合意案を作り、これをもとに日韓両首脳が東京五輪前に「ビッグディール」を試みるという説明だった。

この報道に対し、大統領府関係者は、「双方は問題解決に切迫している。その原則の下で互いに熱心に動いている状況で出た原論的な話だ」と説明しながらも、「東京五輪が(問題解決の)きっかけになる」と、再び強調した。

2018年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪に、北朝鮮の金正恩委員長が大規模な使節団を派遣したことをきっかけに、南北間の板門店(パンムンジョム)首脳会談や2度の米朝首脳会談など、朝鮮半島問題における首脳外交が本格化した。文在寅政権としては、あの「成功体験」を東京オリンピックにも活かしたいのだろう。

拉致問題の解決に向けて「北朝鮮の金正恩委員長と条件なしに会いたい」と言ってきた菅首相としては、金委員長が東京オリンピックに出席すれば、自然な流れで日朝首脳会談へとつながることを期待できる。こうした日本の事情をよく知る文在寅政権は、「北朝鮮カード」を活用して日本側に接近しようとしているのだ。

ただ問題は、日韓間の最大懸案である徴用工賠償判決に対する両国政府の意見の相違が依然として縮まっていないことだ。

バイデン時代の日韓関係

日本は、韓国裁判所の賠償判決を認める解決策は到底受け入れられないという立場を貫いている。菅首相は、最近も、訪日した文政権の要員らに「解決策を提示してほしい」という言葉を繰り返したと伝えられた。

反面、朴槿恵(パク・クネ)政権下で徴用工裁判を遅延させたことを「司法聾断」と規定し、関連者らを「積弊」と追いやった文在寅政権であるだけに、日本企業の韓国内資産の現金化を遅らせようとする政治的な試みや妥協は文政権版「司法聾断」となる危険性さえある。

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〔PHOTO〕Gettyimages

結局、文政権が提案したと伝えられた「東京オリンピックまで徴用工裁判問題をいったん留保しよう」というアイデアは実現性が低いというのが韓国メディアの分析だ。これをよく知っている文在寅政権が突然、積極的な動きを見せていることに対して、前出の記者は次のように説明する。

「これまで日韓問題をほとんど放置しておいた文在寅政権の態度が急変したのは、米国のバイデン政権のためだ。

2015年の韓日間の慰安婦の合意は、米国の仲裁による結果で、当時副大統領だったバイデン氏は自分を“夫婦関係(韓日関係)を復元させる離婚カウンセラー”と自評した。しかし、文在寅政権が慰安婦の合意を事実上破棄したことで、米国政界では、韓日関係悪化の“韓国責任論”が浮上した。

文在寅政権としては、韓日関係改善のために最善を尽くしているという点を浮き彫りにすることで、もしも、米国が再び韓日間の仲裁者の役割をすることになった場合、自分たちに有利な方向に導いていきたいという狙いだ。

もう一つの狙いは、東京オリンピックを契機に南北関係改善の突破口を作ろうとしているだろう。

バイデン新政権の北朝鮮外交が動き出すのは、はやくても来年7月以降と予想される。ちょうど、この時期に開かれる東京オリンピックに、北朝鮮の金委員長やバイデン米大統領が出席すれば、自然に米韓日朝の4ヵ国首脳会談が行われる。この劇的な外交イベントが実現すれば、韓国内では文大統領の最大の外交成果として評価されるだろう」

バイデン時代を迎え、日韓関係はどう変わっていくのだろうか。文政権の次の動きに注目したい。

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