アリは木を守るだけでなく癒す。傷ついた木を治療していたことが判明

アリは木を守るだけでなく癒す。傷ついた木を治療していたことが判明

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  • 更新日:2022/01/15
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中米から南米にかけて生息する「アステカアリ(Azteca alfari)」は、特定の木と共生しており、住処である樹木を草食動物から守ることが知られている。

だが、ただ守るだけでなかった。木に傷がつけばそれを治療しようとすることが偶然発覚したのだ。

高校生が退屈しのぎにスリングショット(ゴム製のおもちゃ)で撃った弾が木に当たってしまい幹に穴を開けてしまったのだが、次の日にそれがアリにより完全に治療されていたのだ。

【他の記事を見る】働かないアリの方が働きアリより長生きする。それでも働きアリは過労死するまで働き続ける。(琉球大学研究)

高校生に傷つけられた木の幹をアリが治療

パナマで暮らすとある高校生は、退屈しのぎで、スリングショット(パチンコ)で弾を撃っていた。するとその玉は「セクロピア」というイラクサ科の木に命中し、幹にはぽっかりと穴が空いてしまった。

セクロピアは、アリが好む分泌物を出すことからアリが共生しており、アステカアリは、この植物を食べようとする相手から必死に守ろうとする。かつては「アリノスノキ」との和名で呼ばれていたこともある木だ。

意外なことがわかったのは翌日のこと。少年が朝になって木を見てみると、内部に巣を作って暮らしていたアステカアリが傷を治療していたのである。

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image credit:Donna Conlon

1日もあればほとんどの傷を治してしまうことが判明

これに興味を持った高校生5人は、スミソニアン熱帯研究所(STRI)のボランティアプログラムに参加。専門家の指導の下、近所のセクロピアにドリルで穴を開け、アリの行動を観察してみることにした。

すると穴が開くとすぐさまアリが駆け寄り、2時間半でかなり傷が治ってしまうことが判明。24時間もあれば大抵は完全に修復されることが確かめられた。

アステカアリは、自分が寝ぐらにしている木が草食動物に食べられそうになると、守ろうとすることが知られている。

偶然にも木を傷つけたことで、アステカアリは、ただ木を守るだけでなく、実際に傷ついた木を治療するという新たな生態が明らかになった。

セクロピアの木のつるをトリミングするアステカアリ

Azteca Ants Trimming a Vine on their Cecropia Tree

草食動物から木を守るために治癒能力を進化させた可能性

この地域では、ナマケモノやオオアリクイがその鋭い爪で木に穴を開けることがある。

今回、セクロピアに穴が空いたのはたまたま弾が命中したからだが、大昔はそうした動物によってもっと頻繁に穴が開けられていたはずだ。

だからこそ、アステカアリは大切な巣がある木を治癒する能力を進化させたのだろうと考えられる。

ただし、アリは穴が開けば必ず治療するわけではなさそうだ。いったいなぜ治療する場合としない場合があるのか? その謎は、この大発見を成し遂げた研究者の卵たちが大人になってからの課題になりそうだ。

References:Accidental Slingshot Wound to a Tree Reveals Unexpected Ant Behavior | Smithsonian Voices | Smithsonian Tropical Research Institute Smithsonian Magazine

・あわせて読みたい→世界初の「遺伝子改変アリ」で、その複雑な昆虫社会の進化を解き明かす(米研究)

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