軍事演習、冷静保つ台湾社会 「やり過ぎでは」中国離れの動き

軍事演習、冷静保つ台湾社会 「やり過ぎでは」中国離れの動き

  • 毎日新聞
  • 更新日:2022/08/05
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中国軍の軍事演習に関するテレビニュースを見る美容院の客ら=台湾・台北で4日、AP

ペロシ米下院議長の台湾訪問をきっかけに、中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を始めた。中国の習近平指導部は軍事だけでなく、貿易関係の規制強化を図るなど経済においても圧力を強め、中台関係の現状維持を図る台湾の蔡英文政権を追い込む狙いだ。今のところ台湾社会に大きな動揺は見られないが、台湾の領海に相当する区域にまで演習区域を広げ、弾道ミサイルを撃ち込む中国の強硬姿勢には反発もある。中国が目指す「成果」を得られるかは不透明だ。

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中国軍の演習区域から約10キロの「最前線」に位置する台湾南部・屏東(へいとう)県の離島「小琉球」。多くの漁師は演習期間中は漁に出るのを控えているという。ある漁師は、台湾メディアの取材に対し、「ミサイルが当たって死ぬかもしれない」と不安をもらした。北東部・宜蘭(ぎらん)県では3日間の軍事演習期間に出漁できなければ、最大で5000万台湾ドル(約2億2000万円)の損失が生じると報じられている。

ペロシ氏の訪台に前後して、中国税関当局は台湾産の魚、かんきつ類の輸入停止や台湾への天然砂の輸出停止などの措置を発表した。台湾からの輸入品に基準を超える薬品が検出されたことなどを理由にしているが、事実上の「報復」だとみられる。

台湾国防部(国防省に相当)によると、中国軍は4日に台湾近海に向けて弾道ミサイル11発を発射。日本の防衛省の推定では4発が台湾本島上空を通過した。

ただ中国は2016年に発足した民進党の蔡英文政権に対して対決姿勢で臨んできたこともあり、台湾では「中国の脅威は今に始まったことではない」と冷静に受け止める人が少なくないようだ。

蔡英文総統は4日の談話で中国に自制を求めるとともに、台湾の住民に「すべての人々が一致団結し、与野党が協力し合って、主権や民主主義を守っていくことを望んでいる」と呼びかけた。一方、対中融和路線を取る最大野党・国民党の朱立倫主席(党首)は4日、記者団に対して「両岸(中台)が対立するのではなく、対話が大事だ」と強調しつつ、「民進党は両岸の緊張を利用して政権の不利を隠している」と批判した。

軍事演習を「米台への威嚇」と公言する中国の姿勢は台湾住民の中国離れにつながる可能性もある。半導体製造受託大手UMCの曹興誠・名誉会長は5日、中国の圧力に反発し、「台湾の国防予算に充ててもらいたい」として30億台湾ドル(約130億円)を政府に寄付することを表明した。ある国民党関係者は「中国はやり過ぎではないかという感が否めない。ここまで圧力を強めても、台湾住民が中国を好きになることはない」と話した。【台北・岡村崇】

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