生活保護費の引き下げは違法? きょう金沢地裁判決 注目点は

生活保護費の引き下げは違法? きょう金沢地裁判決 注目点は

  • 朝日新聞デジタル
  • 更新日:2021/11/25
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"金沢地裁=2018年11月、金沢市丸の内"

国が生活保護費の基準額を段階的に引き下げたのは憲法に違反するとして、石川県の受給者ら4人が引き下げの取り消しなどを求めた裁判の判決が25日午後1時半、金沢地裁で言い渡される。引き下げの経緯や裁判での争点などについて、Q&A形式で整理した。

生活保護費の減額決定、取り消す判決 大阪地裁

Q どのぐらい基準額が下がったの?

A 生活保護費には、家賃にあてる「住宅扶助」や学用品費にあてる「教育扶助」など8種類ある。国は、このうち衣食や光熱費など日常生活に必要な費用にあてる「生活扶助」の基準額を、2013年8月から3回に分けて引き下げた。削減幅は最大10%で、削減額は計約670億円に上る。削減幅、削減額ともに、戦後最大だった。

Q なぜ基準額を引き下げたの?

A 国は「08~11年に物価が4・78%下がった」とする厚生労働省の算定をもとに、物価が安くなる「デフレ」の調整が必要だとして引き下げた。12年末の衆院選で、自民党が公約に「給付水準の原則1割カット」を掲げて政権復帰したことも背景にあると言われている。

Q 裁判で、受給者たちは何を訴えているの?

A 石川県の受給者ら4人は、生活扶助費の引き下げにより、食費を切り詰めたり、入浴の回数を減らしたりする生活を強いられていると主張。憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を下回っているのは明らかだとして、金沢市と国を相手に、減額決定の取り消しや損害賠償を求めている。

Q これまでの司法判断は?

A 同種の訴訟は全国29カ所で起こされ、5地裁で判決が出た。名古屋(昨年6月)、札幌(今年3月)、福岡(同5月)、京都(同9月)の4地裁は、基準額の引き下げは厚生労働相の「裁量の範囲内」だとして、受給者側の訴えを退けた。一方、大阪地裁は今年2月、基準額を引き下げた判断の過程に誤りがあるとして減額決定を取り消した。ただ、国の賠償責任を認めたり、憲法違反だと判断したりした判決はない。

Q 金沢地裁判決の注目点は?

A 基準額の引き下げが、厚労相の裁量の範囲内といえるかどうかが争点だ。受給者側は、専門家の意見をふまえずに引き下げを決めた厚労相の判断には裁量権の逸脱があると主張。一方、被告側は、厚労相には幅広い裁量があると反論している。生活保護費は、就学援助や最低賃金など、税や福祉、教育に関わる多くの制度と関連している。引き下げが違法と判断されれば、こうした制度にも影響を与える可能性がある。(米田優人)

■生活保護基準額引き下げ訴訟をめぐる主な経緯

2012年12月 自民党が「生活保護給付水準の原則1割カット」などを掲げて政権復帰

13年8月 日常の生活費にあたる「生活扶助」の減額が始まる(~15年4月)

14年2月 引き下げは憲法違反だとして、受給者らが佐賀地裁に集団提訴。以降、各地で訴訟が起こされる

20年6月 名古屋地裁が受給者の訴えを棄却

21年2月 大阪地裁が引き下げを違法として減額決定を取り消す

3月 札幌地裁が受給者の訴えを棄却

5月 福岡地裁が受給者の訴えを棄却

9月 京都地裁が受給者の訴えを棄却

11月 金沢地裁で全国6件目の判決

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