鎌倉殿の13人 「出世野心メラメラ」キャラの源仲章 記録上はどんな人物だった? <歴史好きYouTuberの視点>

鎌倉殿の13人 「出世野心メラメラ」キャラの源仲章 記録上はどんな人物だった? <歴史好きYouTuberの視点>

  • J-CASTニュース
  • 更新日:2022/11/25

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の11月20日(2022年)放送回は「第44回 審判の日」でした。登録者数12万人を超える人気歴史解説動画「戦国BANASHI」を運営するミスター武士道が、「第44回」の解説動画で最も熱く語りたかった「ツボ」は?

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動画内容を軸に再解説します。次回放送をより楽しむための準備・復習にもお役立てください。(ネタバレあり)

「人の上に立ちたい」と

いや~乱世乱世。どうも歴史好きYouTuberのミスター武士道です。

今回も大河ドラマの内容に合わせて、歴史的な解説をしていきます。

鎌倉殿の13人第44回『審判の日』では、日本史上有数の大事件、源実朝の暗殺事件が描かれる......と思いきや、その直前で話は終わりました。

思わず「つづく、じゃないんだよ!」と画面の前でツッコミを入れたのは私だけではないでしょう。

実朝暗殺の悲劇を、登場人物たちの様々な思惑が交錯するなかで起きた出来事として描き上げた今回のお話は、多くの視聴者にとって衝撃的なものだったのではないでしょうか。これが三谷マジックです...(笑)

なかでも、生田斗真さん演じる源仲章の存在感は大きかったですね。

北条義時を執権の座から引きずり下ろし、自らが「人の上に立ちたい」という野心を顕わにしていました。義時配下の暗殺者・トウの襲撃を見越して罠を仕掛けるなど、その抜け目のなさも侮れません。

この源仲章、歴史的にはどのような人物だったのでしょうか。

源の名が示すとおり、仲章は源氏の人間です。ただし、鎌倉殿である実朝(清和源氏)とは別系統の宇多源氏です。

宇多源氏の中には、佐々木一族のように武士化した一族もいましたが、京に残り貴族として残る一族もいました。

仲章の一族は、後白河法皇や、後鳥羽上皇などの院に仕えていたようです。

仲章自身は、傑出した才能を持っていたわけではなかったらしく、貴族の間でもその評価は凡庸だったようです。ただし、知識は豊富で物知りだったため、実朝の教育係に抜擢されました。

愚管抄に『漢家の例を引きて教える』とあり、実朝に対し、漢王朝の例をとって、君臣の在り方などを教育していたようです。

もしかすると、実朝に「京よりの思想」を植え付けたのは仲章だったのかもしれません。

実朝の教育係となった後の仲章は、特に大きな功績を上げる事はありませんでしたが、京と鎌倉を頻繁に行き来し(もしくは使者を送り)朝廷と幕府の連絡役として重宝されていたようです。

地味ながらも大切な仕事をしっかりとこなしているように見えます。

仲章が何を思いながら、この仕事に勤しんでいたのかはわかりませんが、ドラマで描かれたように、新天地での出世を夢見て、地道に仕事をこなしていたのかもしれません。それだけ、普通の貴族には京での出世というのは難しい物だったのです。

仲章が目指した「関白」とは

仲章は作中で、新将軍として皇子が鎌倉へ下向した際には、自らが「関白」を務めると豪語していました。

「関白」とは、天皇の相談役として唯一無二のポジションであり、貴族の頂点と言っても過言ではない役職でした。

関白になるのは簡単なことではなく、鎌倉時代には摂関家と呼ばれる藤原一族にしかほぼ就任できず、かつ摂関家の中でも過酷なポジション争いが繰り広げられていました。

代々、摂政・関白を務める摂関家という超エリート一族に生まれた上に、その一族の中で骨肉の争いに勝利し、かつ天皇の外戚になるというかなり無理筋な条件をクリアした者のみが就任できるウルトラスーパーレアな役職だったのです。

(※摂関家以外の人間でも、平清盛や土御門通親のように、圧倒的な政治手腕でのし上がり、関白を傀儡にすることで、同等の力を得た者もいます)

摂関家の生まれでもなければ、突出した才能も持っていない仲章には関白就任などは夢のまた夢だったのです。

しかし、鎌倉でなら仲章の夢は叶う可能性がありました。現代で言えば超大手企業での出世を諦めた中堅サラリーマンが、ベンチャー企業に転職して再起を図るようなものです。

歴史上の仲章が、ドラマで描かれたほど野心に燃えていたかは記録上からはわかりません。しかし、わざわざ京から鎌倉へ下向した貴族が、新天地での出世を夢見ていたというのは不思議な事ではないと思います。

予想以上に濃いキャラクターへと成長した源仲章が、どのような結末を迎えるのか、来週も目が離せません。

さて、今回の記事はここまで。ドラマに関するさらに詳しい解説は、是非YouTubeチャンネル・戦国BANASHIをご覧ください。それではまた来週もお会いしましょう。さらばじゃ!

(追記:参考文献など)今回の参考文献は、『承久の乱と後鳥羽院』(関幸彦著、吉川弘文館)や『摂関家の中世 歴史文化ライブラリー』(樋口健太郎著、吉川弘文館)など。エビデンスには細心の注意を払っておりますが、筆者は一歴史好きYouTuberであり、歴史学者・研究者ではございません。もし、間違い指摘やご意見などございましたら、この記事や動画のコメント欄で教えて頂ければ幸いです。

<第44回解説動画は、(J-CAST)テレビウォッチのオリジナル記事下動画や、YouTubeチャンネル「戦国BANASHI」からお楽しみください>

++ 「ミスター武士道」プロフィール
1990年、三重県四日市市生まれ。年間100冊以上の歴史に関する学術書や論文を読み、独学で歴史解説や情報発信をするYouTuber。
一般向け歴史書籍の監修、市や県などの依頼を受けて、地域の歴史をPRする動画制作なども手掛ける。2019年に歴史解説チャンネル「戦国BANASI」を開設。2022年夏には登録者数が12万人を突破した。

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