菅政権1ヵ月「推進力あるが歴史無理解」沖縄国際大の野添准教授に聞く

菅政権1ヵ月「推進力あるが歴史無理解」沖縄国際大の野添准教授に聞く

  • 西日本新聞
  • 更新日:2020/10/17
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菅義偉政権が誕生して16日で1カ月。この間、河野太郎沖縄北方担当相や、沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる加藤勝信官房長官が沖縄入りするなど、政権は沖縄重視の姿勢を示す。ただ、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設については「辺野古(名護市)が唯一」の一点張りで、反対する県との溝は埋まらない。官房長官時代から沖縄政策を主導した菅氏の手腕や今後の展望を野添文彬沖縄国際大准教授(国際政治学)に聞いた。 (高田佳典)

菅氏は前政権の官房長官として米軍基地問題と振興策をリンクさせた「アメとムチ」による沖縄政策を進めた張本人であり、菅政権でもその姿勢は変わらないだろう。むしろ自分に反対するものを徹底的に排除したり、前例踏襲を否定し改革を重視したりすることから、沖縄振興予算の確保ではより一層厳しい状況に置かれることも考えられる。

沖縄にあまり関心がなさそうだった安倍晋三前首相と比べて、沖縄の基地問題に取り組んだ故梶山静六氏を「政治の師」と仰ぐ菅氏の思い入れは強いようだ。

ただ、沖縄戦やその後の米軍統治など歴史に無理解な点で梶山氏とは異なる。師が果たせなかった普天間飛行場の返還、つまり辺野古への移設を実現することに重きが置かれている。このため、知事選や国政選挙、県民投票で「辺野古反対」の民意が賛成を上回ろうと、菅氏の目には乗り越えるべき抵抗勢力としか映らないのではないか。

一方で、菅氏には物事を動かし、解決する力があるのも事実だ。キャンプ瑞慶覧(ずけらん)西普天間住宅地区(宜野湾市)や、本土復帰後では最大面積となった北部訓練場(東村、国頭(くにがみ)村)の一部返還を実現したほか、那覇空港第2滑走路の完成を早め、現行2両の沖縄都市モノレールの3両化計画を進めたのは菅氏の功績だ。

肝いり案件になると加速度的に進むが、それが辺野古移設を推進するための手段になっていることが見え透いている。「辺野古ノー」を訴える県民が菅氏の功績を評価しないのは当然の話なのだ。菅氏が意固地になってさらに強引に移設を進めれば、沖縄の民意との乖離(かいり)はさらに大きくなるだろう。

政府が辺野古移設を進める大義名分は普天間飛行場の一日も早い危険性の除去にある。最低でも9300億円の工費と12年もの時間を要する辺野古移設は断念すべきだと考えるが、仮に政府が強行するとしても、その間、普天間の危険性は放置される。玉城デニー知事が対話を通して、訓練の移転や飛行規制など普天間から危険性を軽減するための具体策を示し、菅氏の方向性をうまく導くことができれば、菅氏が持つ推進力をプラスに働かせることができるのではないか。 (談)

野添文彬(のぞえ・ふみあき) 1984年生まれ。一橋大大学院法学研究科博士課程修了。同大院特任講師、沖縄国際大講師を務め、2016年から現職。19年からは在沖米軍基地の整理・縮小を検討する県の諮問機関「万国津梁(しんりょう)会議」の副委員長を務める。大津市出身。

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【ワードBOX】沖縄振興予算 沖縄の地理、歴史的な事情を考慮し、振興目的に編成される政府予算。2013年末、当時の仲井真弘多(ひろかず)知事による名護市辺野古沖の埋め立て承認の見返りとして、政府は21年度まで毎年3千億円台の確保を約束した。14年度は前年度比500億円増の3520億円だったが、辺野古移設に反対する故翁長雄志(おなが・たけし)氏が14年に知事に就くと減額され、18年度以降は3年連続で3010億円となっている。

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