この春必見の注目ドラマ 3選 「大豆田とわ子と三人の元夫」ほか

この春必見の注目ドラマ 3選 「大豆田とわ子と三人の元夫」ほか

  • CREA WEB
  • 更新日:2021/05/07

2021年の春、ドラマを観ないのはもったいない! なんでって、かつてないほど各局力を入れているんですよ。通常は何本か「これは観なくてもいいな」と見捨てるドラマもあるのですが、今季はどれもこれも見逃せず、夜はテレビから離れられない状態! きっとこのご時世、なんとか視聴者に楽しんでもらおうと各局のみなさんが奮闘しているからだと思います。

それでも忙しい現代人、全部はチェックできないよ……という方のためにとりあえずこれだけはマストで観てみて、という作品をピックアップしました。恋したい人にも、夢みたい人にも、恋や夢から離れて生きていきたい人にもフィットする作品、ありますよ!

松たか子が、ユーモラスでキュートなバツ3女性に!

「大豆田とわ子と三人の元夫」

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(C)カンテレ

筆頭はなんといってもこの作品。坂元裕二約3年ぶりの連続ドラマです。『花束みたいな恋をした』で純粋に恋愛を描いたのは記憶に新しいですが、今作も大枠はラブストーリー。ロマンチックコメディと銘打っているだけあり、軽快な掛け合いから生まれるおもしろさが見ものです。セリフの難易度やいい意味での面倒臭さは「カルテット」に近いので、「カルテット」が好きだった人は絶対に楽しめます。

松たか子演じる主人公の大豆田とわ子はバツ3。バツ3までくると、周りは「あの人はなにか問題がある」という目で見がちだけど、とわ子にそういったムードはまったく感じません。明るく聡明でチャーミング、仕事できるとわ子は人望も厚い。なにか大きな問題はまだまだ隠れていそうだけど、そのミステリー要素で話を転がす展開も坂元ドラマの醍醐味です。

気になるのは、3人の元夫たちとも離婚したとは思えないほどの距離の近さ。最初の夫は田中八作(松田龍平)は、現在レストランのオーナー兼ギャルソンをしている物静かな男で、とわ子が一緒に暮らしている一人娘の父親でもあります。2人目はファッションカメラマンの佐藤鹿太郎(角田晃広)。よくしゃべり図々しく器が小さい。3番目の中村慎森(岡田将生)はとわ子が社長を務める住宅建設会社「しろくまハウジング」の顧問弁護士で、無愛想で理屈っぽい男です。この性格も見た目も違う3人の元夫(メガネしか共通点がない! それに坂元ドラマにしては名字が妙に平凡な三人という共通点もあるけど意図的か?)と、なぜ結婚しなぜ別れたのか。これから関係性はどうなっていくのか、まだまだ結婚をあきらめていない大豆田とわ子の次の恋の相手は誰なのか。そのあたりにも注目です。

また、主題歌と坂元ドラマらしいおしゃれなタイトルバックにも注目です。エンディングのタイトルバックは、まさにミュージックビデオ。第1話のエンディングで流れたSTUTS & 松たか子 with 3exesの楽曲「Presence I(feat. KID FRESINO)」に続き、第2話では岡田将生がフィーチャーされた「Presence II(feat. BIM, 岡田将生)」が、そして第3話は角田晃広フィーチャーの「Presence Ⅲ(feat. NENE, 角田晃広)」が主題歌としてオンエアされました。ゲストラッパーも本編でしっかりカメオ出演しています。それに合わせタイトルバックの映像も毎回変わるようです(どれもシティ感満載でこれぞ今の東京といった感じがして最高)。まさかこれからもさまざまな客演があるのかと思うと、本当に番組の最後まで見逃せません!

「大豆田とわ子と三人の元夫」

関西テレビ(フジテレビ系) 毎週火曜21:00~21:54
出演:松たか子 岡田将生 角田晃広 市川実日子 松田龍平 他

人生とは壮大な……コント(喜劇)である!?

「コントが始まる」

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(C)文藝春秋

あまりの豪華キャストなので、これだけのメンバーを集めてコケたら大変だろうな……という心配をスタート前にしていましたが、すいません完全に取り越し苦労でした。第一話から観ていてゾクゾク。日本映画界を支える同年代の俳優たちが集結し、自身と同年代の若者の役を演じています。「エモい」という消費された言葉はあまり使いたくないけど、この群像劇はぐっとこないわけがない! だって彼らにも俳優という道をえらんでいなければこういう人生があったかもしれないし、今こういう人生を送っている20代後半の人たちが日本のどこかにいるかもしれないんだから。

高校の同級生でもある、春斗(菅田将暉)、潤平(仲野太賀)、瞬太(神木隆之介)が結成したコントトリオ「マクベス」を中心に物語は展開していきます。会社を辞め、生活費を稼ぐためにファミレスでアルバイトを始めた中浜里穂子(有村架純)は、そこで深夜にネタ作りをする3人の若者たちに出会い興味を持ち始めます。彼らが「マクベス」という名前で活動するお笑い芸人であり、隣のマンションで共同生活をしていることなどを知っていく里穂子は、どんどん「マクベス」のことが好きになっていきます。さらにそのいびつな関係図のなかに里穂子の妹・つむぎ(古川琴音)も加わることで、このドラマは5人の男女(青春ドラマの黄金比!)による青春群像劇になっています。

青春群像劇といえば、恋や友情、将来のことなど、まさに「青春」がたくさん詰まった物語ですが、このメンバーのほとんどは20代も後半。本当はもう「青春」なんて言葉を言ってはいられないところがあります。だって10代の「あの頃」に思い描いた「未来」が「今」なんです。恋や友情に一喜一憂できる10代の多感な感受性は、現実を前にとうにすり減っているでしょう。それでもまだドラマでしっかり「青春」を実感させてくれるのは、それぞれの俳優のパブリックイメージに瑞々しさがちゃんとまだあるからです。

まず、この仲がいい出演者たちのスケジュールが1クールの連続ドラマで揃うのは奇跡じゃないですか……? 制作陣にはこのドラマの肝と言っても過言ではないキャスティングを、がんばってくれてありがとうと心から言いたいです。劇中のそれぞれの生き方が服装などにも反映されているのメインビジュアルも最高にかっこいいので改めてチェックしてみてください。

この作品はドラマは「マクベス」の3人がドラマ冒頭でコントを披露し、残りの53分間の物語の重要な伏線としてつながるという斬新な構成で物語が紡がれます。冒頭はお笑いらしく「マクベス」の出囃子の音からスタート。「エンタの神様」かな? と思いきや、ちゃんとドラマが始まります。どんな生き方も無駄にはならないんですよね。それぞれの生き方はドラマでありコントなのです。

土曜ドラマ「コントが始まる」

日本テレビ系 毎週土曜22:00~22:54
出演:菅田将暉 神木隆之介 仲野太賀 有村架純 古川琴音 松田ゆう姫 他

人生のモヤモヤから解き放たれる

「生きるとか死ぬとか父親とか」

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(C)「生きるとか死ぬとか父親とか」製作委員会

TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」リスナーなので、楽しみに放送を待っていた今作。第1話の冒頭5分ですでに心を掴まれました。期待を裏切りません! このドラマは、テレビを含めさまざまなメディアがこれまで「こう生きるのが正解です」と示してきた通りの生き方をできない人たちにも、しっかり寄り添ってくれる作品になっています。

原作の『生きるとか死ぬとか父親とか』はジェーン・スーの自伝的エッセイ。つまり本作の主人公のトキコ(吉田羊)はもちろんジェーン・スーがモデルです。自身の家族の出来事と思い出を描いたリアルストーリーになっています。トキコのビジュルが公開された時、吉田羊の姿がジェーン・スーに瓜二つでびっくりしました。ターバンとメガネだけでこんなにも似るものでしょうか。吉田羊、おそるべし! これだけでドラマの成功は確信できます。

主人公のトキコは20年前に母を亡くし、今では父の哲也(國村隼)がたった一人の肉親。愛嬌はあるが破天荒な70代の父と、独身で勝気な40半ばの娘。二人だけの家族による愛憎物語です。この前まで「俺の家の話」という素晴らしいホームドラマがありましたけど、今作はまさに、ジェーン・スー版の「俺の家の話」。誰にとっても普遍的であり、同時に特別な「家族」という存在の、ひとつの姿が描かれています。ホームドラマはこれまでもさまざまありましたが、家族に「ありきたり」や「あたりまえ」なんてことはないんですよね。観ていると自然と、自分の親のことも「元気かな〜」と思い出してしまします。1週間に1度、平日バリバリ働いてやっとたどり着いた金曜の夜に、ふと家族に思いを馳せるというのも素敵なことのように思います。週末、連絡してみようかな。

トキコはエッセイストでもあり、ラジオパーソナリティでもあります。劇中のラジオ番組「トッキーとヒトトキ」の中にあるお悩み相談のコーナー「晴れときどきお悩み」も必聴です。人生の酸いも甘いもつまみ食いしてきたジェーン・スーの真骨頂とも言えるのがこの人生相談。その素晴らしい手腕がそのままドラマで再現されています(ラジオシーンのセリフはすべてジェーン・スーによる監修のもと制作)。リスナーからの人生のお悩みは、結婚のこと、家族のこと、生き方のことなど、誰しもが一度は考えるであろう共感性の高いものばかり。トッキーからのアドバイスに視聴者自身も救われること間違いなしです。

たとえば「結婚は誰もがするもの」とかそういう古い常識や価値観に苦しんではいませんか? 自分だけではどう受け止めて、どう生きたらいいのかわからないことはたくさんあります。でも、自分が歩みたい人生を既に歩んでいる人がいたとしたら、希望が見えるし、そこを目指すことができますよね。この作品を観れば、新しい生き方のロールモデルが見つかるかもしれませんよ!

ドラマ24「生きるとか死ぬとか父親とか」

テレビ東京系 毎週金曜0:12~0:51
出演:吉田羊 國村隼 田中みな実 DJ松永(Creepy Nuts) 他

綿貫大介

編集&ライター。TVウォッチャー。著書に『ボクたちのドラマシリーズ』がある。
Instagram@watanukinow
Twitter@watanukinow

文=綿貫大介

綿貫大介

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