米朝会談中止へ。トランプが態度を変えた理由に「中国」の影

米朝会談中止へ。トランプが態度を変えた理由に「中国」の影

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  • 更新日:2018/05/25
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一時期、「朝鮮半島の非核化に成功ならトランプ大統領にノーベル平和賞を」などという声もありましたが、非核化どころか会談開催自体に赤信号が灯りました。24日夜、トランプ大統領は北朝鮮に米朝首脳会談の中止を通告した書簡を公表。ここまで来て、なぜ両国は態度を硬化させたのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では、著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、その理由を探っています。

トランプ、米朝首脳会談【中止】を通告

皆さんご存知と思いますが、北朝鮮は5月16日、米朝首脳会談を中止する意向を示しました。

北朝鮮、米朝首脳会談の中止を警告 一方的な核放棄要求に反発

BBC NEWS 5/16(水)15:22配信



北朝鮮は16日、米国が一方的な核兵器の放棄を要求し続けるなら、来月12日に予定されている米朝首脳会談を中止する意向だと明らかにした。

理由は、ネオコン大統領補佐官ボルトンさんが、「北朝鮮はリビア方式でいく」と発言したこと。リビアのカダフィ大佐は03年、核開発を放棄した。それで、制裁もテロ支援国家指定も解除されましたが、8年後に殺されています。

そして、今度はトランプさんが、米朝会談延期の可能性に言及しました。

米朝首脳会談、延期の可能性も トランプ氏が言明

5/23(水)2:19配信



【AFP=時事】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は22日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長との初の首脳会談を延期する可能性に言及した。

理由についてですが、トランプさんは、「習近平のせいだ」と考えているようです。

トランプ氏、中国主席の駆け引き上手を評価 北朝鮮の態度硬化で

BBC NEWS 5/23(水))0:50配信



ドナルド・トランプ米大統領は22日、米朝首脳会談が、予定通りに実現しない「相当の可能性」があると述べた。さらに、中国の習近平・国家主席の何かしらの働きかけが北朝鮮の態度硬化に影響しているのではないかとの見方を示した。

トランプさんによると、金は2回目の訪中後、態度が激変したそうです。

そして24日夜、米国は米朝首脳会談中止を通告する書簡を公表しました。

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Sadly, I was forced to cancel the Summit Meeting in Singapore with Kim Jong Un.
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump)
2018年5月24日
from Twitter

根本理由は、相互不信

根本理由ですが、RPEで大昔から書いている「相互不信」ですね。

1994年6月、北朝鮮は、NPTからの脱退を宣言した。同年10月、米朝合意。アメリカは、北に軽水炉、食料、重油を提供。北は、NPTに復帰し、「核開発凍結」を約束しました。ところが、北はウソをついて、核開発をつづけた。2003年、北朝鮮は、NPTを脱退。6か国協議がはじまりました。05年2月、北朝鮮、「核保有宣言」。同年9月、北「すべての核兵器を廃棄する」宣言。

現状を見れば、北がウソをつきつづけてきたことは明白。金正恩は、「お父さんのように上手にウソをつこう!」と考えているように見える。つまり、制裁を解除させ、経済支援をゲットし、核兵器は保有しつづける。

ところが、日米もバカではありません。安倍総理やボルトンさんが、「非核化が実現するまで、制裁解除はなりませぬぞ!」と繰り返す。それでトランプさんも、「俺はだまされない!」と決意している。

一方、金正恩の気持ちもわかります。03年にはじまったイラク戦争は、全世界に衝撃を与えました。まず、国連安保理で拒否権をもつ常任理事国5か国のうち、フランス、ロシア、中国が戦争に反対した。しかし、アメリカは、国連安保理を無視して戦争をはじめました。

しかも、開戦理由、すなわち「イラクには大量破壊兵器がある」「フセインはアルカイダを支援している」は、二つとも「大うそ」だった。

イラクの悲劇を見たカダフィは、考えました。「反米の独裁者は殺される。素直にいうことを聞こう!」そして、03年12月、彼は「核開発放棄」に同意したのです。しかし、11年、アメリカが支援する「反体制派」に殺されました。

シリアのアサドは、フセインとカダフィの死から教訓を得た。彼は、11年からはじまった内戦で、ロシア、イランの支援を受け、欧米、サウジ、トルコなどから支援を受ける「反アサド派」と徹底的に戦っています。彼は、「アメリカに妥協すると殺される」と知っている。

金は、どんな教訓を得たのでしょうか? フセインの死からは、「核をもたない反米独裁者は、殺される」という教訓。カダフィの死からは、「アメリカを信じて核開発をやめると殺される」という教訓。

私は、金にまったく同情しませんが、重要問題でウソをつきつづけるアメリカが、状況を複雑にしていることは否定できません。もしカダフィが今も健在であれば、金の態度も違っていたことでしょう。

image by:Flickr

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