グーグルが迷惑広告対策、自社に甘い二重基準か

グーグルが迷惑広告対策、自社に甘い二重基準か

  • WSJ日本版
  • 更新日:2018/02/15
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米アルファベット傘下のグーグルは15日から、ブラウザー「クローム」で一部のオンライン広告の表示を禁止する。グーグルは今回の変更は「ユーザーフレンドリーな(利用者の利便性が高まる)」措置だと説明しているが、業界からは利己的な動きで、表示を阻止する広告を選別する過程でグーグルが過度な影響力を及ぼすことになるとの批判も出ている。

グーグルは今回の動きについて、インターネット上からポップアップなどの迷惑広告を排除し、他の広告の効果を高めることを目指した業界全体の協調的な取り組みだとも説明している。

だが関係者の一部は、そのプロセスを牛耳っているのはグーグルで、真の協調的な取り組みとは言えないと明かす。また迷惑広告だと広く認識されるものを排除する一方で、最終的にはグーグルの収益に寄与する可能性があるという。

グーグルはネット広告業界の巨人だ。ネット広告費の10ドル当たり約3ドルはグーグルに流れており、同社の広告収入は昨年、950億ドル(約10兆円)超に上った。グーグルの新たな広告方針について批判的な向きは、広告主がグーグルのサイトや商品向けにより多くの資金を振り向けるかもしれないと主張する。クローム上では広告表示を阻止される公算が小さいためだ。クロームブラウザーは、ネットユーザーの59%以上が利用している。

米国や欧州の政府当局者の間では、ハイテク大手が持つ経済的な影響力の大きさに対する懸念が高まっており、グーグルはこうした中で迷惑広告対策に乗り出している。欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員(競争政策担当)は昨年、クロームの広告表示阻止の影響を注視すると述べた。

シリコンバレーの反トラスト専門弁護士、ゲリー・リーバック氏は「グーグルはブラウザー市場における強力な地位を活用し、収益源として期待する広告の表示を阻止するサードパーティーのアプリについて、ユーザーが採用しないようにしているようだ」と話す。同氏は1990年代に、マイクロソフトに対する反トラスト訴訟を起こすよう司法省に働きかけた人物で、現在は欧州連合(EU)にグーグルの反トラスト違反を訴えたアドブロック(サイトの広告表示拒否)関連会社を代弁している。

グーグルは、広告主やパブリッシャー(コンテンツの提供元)、ハイテク企業などで構成する業界団体「より良い広告のための連合(Coalition for Better Ads=CBA)」を通じて、ルール作りに参加している多数の企業の1つだとし、過度な影響力を持っているとの見方を否定している。

グーグルの広報担当者は、「オンライン上での広告体験の改善に引き続き注力しており、CBAを通じて広告業界と共に取り組んでいる」と述べた。

2016年9月に公表されたCBAのプレスリリースでは、フェイスブックやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を傘下に持つニューズ・コープなどとともに、18社で構成するメンバーの1社としてグーグルも名を連ねている。

複数のCBAメンバーは、グーグルがCBAの構想を立て、ルール作りの過程で提供される分析の大半を行ったと明かす。またグーグル幹部はCBA内の委員会の中でも強い影響力を持っており、自社に優位な方向へと意志決定を促したという。

グーグルは2015年、消費者がどのような広告を最も目障りだと考えるかについて研究に着手した。グーグル幹部のスコット・スペンサー氏は広告・パブリッシャー業界幹部と会談。アドブロッカーの役割を事実上弱めるような新たな措置に対して、賛同を求めたという。

関係筋によると、スペンサー氏は会合で、特定の広告をブラックリストに載せることを提案した。その広告基準は、業界団体が自発的に採用する、またはブラウザーや広告ブロックソフトウエアが適用する可能性もあるという。出席した幹部は、会談について話すことを禁じた秘密保持合意に署名を求められたとしている。

ワシントンの法律事務所ベナブルのスチュワート・インジス会長は、インタラクティブ・アドバタイジング・ビューローを含む3つのネット広告業界団体から、CBAの設立と管理を任されたと述べる。

インジス会長によると、 CBAは設立直後に、グーグルの研究を採用することを投票で決めた。グーグルは多数の広告フォーマットに関して消費者調査を実施し、それぞれ「目障り」度合いによってランク付けした。それによると、スクリーンの横に表示される細長い長方形の広告が最も不快感が少なく、全画面表示でカウントダウンのタイマー付き広告が最も迷惑度の高い広告の1つと評価された。

実際にプロセスに関わったある人物は、CBAは調査すべき追加フォーマット数の決定など、グーグルとともに研究の改善に努めたと話す。グーグルは55のデスクトップ向け広告フォーマット、49のモバイル向けフォーマットを調査し、結果をCBAに報告した。

CBAは最終的にこのうち12の広告フォーマットを容認できないと判断した。

ただ、関係筋によると、CBAの一部メンバーは、グーグルが基準設定の過程で中心的な役割を果たしたことに懸念を示しているもようだ。ブラックリストに指定されたフォーマットは、グーグルの事業には総じて当てはまらないものだったという。グーグルは、CBAが表示禁止の対象とするビジュアル効果の高い広告ではなく、主にテキスト(文字)検索広告や長方形のディスプレイ広告から収益を得ている。

モバイル広告を手掛ける新興会社カーゴのライアン・マコンビル社長は「グーグルは自社には適用されない基準を作り出している」と指摘している。同氏は17名で構成するCBA理事会メンバーの1人だ。

フェイスブックなどCBAの一部メンバーは、例外を設けるよう働きかけた。例えばフェイスブックは、音声とともに自動表示される動画を禁止する規則の適用免除を要求。ポップアップ広告制作を手掛けるバウンス・エクスチェンジは、ユーザーが30秒以上使っていない時に表示される広告は除外するよう、ポップアップ広告のルールを変更すべきとした。いずれの主張も認められた。

グーグルは、自社で最も目を引く広告フォーマットについてはまだ調査していない。傘下ユーチューブで、利用者がスキップできるまで数秒流れる動画広告だ。

グーグルの広報担当者は、CBAは今後、動画広告を調査する計画だと指摘。基準に沿っていないサイトではすべての広告表示が阻止されるため、グーグルの自社広告もクロームによってブロックされる可能性が高いと述べた。

グーグルのスペンサー氏は、同社は影響を受けるパブリッシャーに対して十分な警告を行ってきたと説明する。そしてウェブ上で最も訪問数の多いサイトの1%(1000)未満が現時点で、規定に準じていないとしている。

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