【意見】1次産業再生で地域を元気に 畦地履正氏

【意見】1次産業再生で地域を元気に 畦地履正氏

  • 西日本新聞
  • 更新日:2017/09/15

◆高知・四万十町の挑戦

企業誘致で雇用の場を作ろうとしても簡単ではない。では、過疎高齢化が進む地方の町や村を元気にするのに、重要な視点は何か。田舎の暮らしを長年支えてきた「地元の財産」を再発見することだと思う。私の住む高知県四万十町十和地域では、やはり1次産業の再生しかなかった。そして、この中山間地でもやれる財産を探したら、昔から栽培されてきた、お茶と栗とシイタケだった。

私が社長を務める株式会社「四万十ドラマ」は、生産者の高齢化などで一時的に廃れていた栗の再生に取り組んだ。その栗を使ってモンブランや渋皮煮などの加工品を開発し、年間6千万円を売り上げる主要商品に育てた。先人の知恵は素晴らしい。気候風土や土地に合う地場産品はどこにでもあるはずだ。埋もれている宝に光を当て、それを磨く。磨き方をちゃんと地域の方がやるのが、田舎らしさ、地域らしさだと思う。

うちの主力商品である「しまんと緑茶」も発想は同じ。以前は四万十のお茶は静岡茶に混ぜられて販売されていたが、「自分たちのお茶を、自分たちで売りたい」という思いで商品開発した。原料をそのまま出荷していては産業は広がらない。自らの知恵と努力で原料に付加価値を付けて売れば、もうけも雇用も増える。全国的に見ていると、原料提供だけに頼ってきた地域は、高齢化でそれが難しくなる例もあるようだ。逆に、原料提供から脱皮して、国がいう6次産業化や地域商社的な機能を持つ地域が今後伸びてくると思う。

四万十ドラマは、最後の清流と呼ばれる四万十川の中流域に本社を置く、地域おこしを目的にした会社。300人超の株主は、ほとんどが流域住民だ。(1)地域の財産を柱とした産業育成、雇用の場づくり(2)自然に負担をかけない環境循環ビジネス(3)住民が活躍できる人材育成-を事業の3本柱にしている。社員30人の平均年齢は28歳で、社員の子どもが何人いるか調べたら、赤ちゃんから高校生まで23人もいた。子どもが少ない過疎地域にとって貢献度は大きいと自負している。

繰り返しになるが、ここ四万十で生きていくには1次産業の活性化しかない。後継者がいないなら作るしかない。それで今春から農業研修制度を始めた。3年間、契約社員として働きながら、栗やお茶など中山間地域の農業技術を身につけてもらう狙いだ。

もう一つPRをさせてほしい。足元の財産探しから、その磨き方、販路開拓、広報宣伝まで十数年やってきて、それがノウハウになった。それを移転する研修事業も行っている。全国の中山間地を元気にする力になりたい。 (談)

◇      ◇

畦地 履正(あぜち・りしょう)四万十ドラマ社長 1964年生まれ、高知県四万十町出身。高知市の通信関連会社、地元農協勤務を経て、94年に設立された四万十ドラマに入社。2007年から現職。

=2017/09/15付 西日本新聞朝刊=

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