資金提供した業者が爆弾証言 自民党・鶴保前沖縄北方相の「後援会長」に裏金授受疑惑

資金提供した業者が爆弾証言 自民党・鶴保前沖縄北方相の「後援会長」に裏金授受疑惑

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  • 更新日:2017/11/22
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疑惑の渦中にある鶴保議員 (c)朝日新聞社

前沖縄北方担当相で自民党二階派のホープとされる鶴保庸介参院議員(和歌山県選挙区)に重大疑惑が浮上している。

【写真】鶴保氏の後援会長への資金提供を証言するA氏

鶴保議員は陳情を受けた鹿児島県の採石業者と大臣時代に7回も大臣室で面会を重ね、同議員の後援会長が、業者から「面会料」などの名目で数百万円の“裏金”を受け取っていたというのだ。この疑惑は「しんぶん赤旗日曜版」11月19日号で報じられたもの。

渦中の鶴保議員は「私にはまったく身に覚えがない。そんな筋合いではない」などと報道陣に疑惑を否定している。

アエラドットは鶴保議員の後援会長に”裏金”を提供したというA氏と接触。鶴保議員と面会するため、100万円を後援会長に要求されたことなど詳細な証言を得た。

一方、後援会長はアエラドットの取材に「そんな事実はない」と反論した。

匿名を条件に取材に応じたA氏は、鹿児島県南大隅町の採石業者だ。後援会長に資金提供した経緯について後悔の念をにじませながらこう証言した。

「怪しいとは思っていた。でも、それをやめる勇気がなかったんです」

もともとA氏は、神奈川県内のB社と協力し、南大隅町の採石場で生産した石を、沖縄県の那覇空港や米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事、山口県の岩国基地の埋め立て工事などで使用してもらえるよう事業計画を立てていた。

だが、事業は南大隅町の協力が得られずに難航。困り果てていた時に知人の紹介で出会ったのが、鶴保議員の後援会長だった。

「後援会長と初めて会ったのは2015年11月。16年2月には鶴保先生にはじめて会うことができました。場所は国会の中で、鶴保先生には、事業計画の資料を渡して鹿児島での事業の説明をして、『(南大隅町の協力を得るために)町長に会いたい』という話をしました」

いわゆる「陳情」だ。陳情は永田町では日常的な光景の一つだが、面会の実現までには”裏”があったのだ。

後援会長は、鶴保議員への面会料をA氏に要求。その額は100万円だったという。

「『鶴保先生クラスになると、相場はこれくらいだ』と言われた」(A氏)

後援会長の要求はこれだけではなかった。

同年4月には六本木の料理店や高級クラブのVIPルームで鶴保議員らと一緒に接待。A氏は「鶴保先生は英語の歌をカラオケで歌ってとても楽しそうだった」。もちろん、飲食費はすべてA氏とB社の負担だった。

■鶴保議員が大臣時代、ガールズバーなどで接待 携帯メールも受け取る

A氏の証言からは、次々と疑惑が浮かび上がる。

同年7月の参院選では、4選を目指す鶴保議員を応援するために一軒家を借り上げ、泊まり込みで選挙を手伝った。スタッフの人件費や食費などはA氏とB社の負担で、その費用は総額で数百万円かかったという。

政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之教授は言う。

「選挙運動では、ウグイス嬢など以外はボランティアでやることが基本です。企業から支援を受けた後援会が、運動員や選挙区内の有権者の飲食費を負担すれば、いずれも買収をしたことになり、公職選挙法違反となります」

A氏らの支援を受けた鶴保議員は、無事に4選をはたす。そこでA氏は、当選後に鶴保議員にお祝いのメールと一緒に〈今後とも宜しくお願い致します〉と送信。すると5分後に鶴保氏から〈ありがとうございます!わかってます。今度は鹿児島で、かな。〉と、返信があった。

鶴保議員が沖縄北方相に就任した1週間後の同年8月10日、A氏は内閣府の大臣室を訪れ、一緒に写真撮影を行っている。A氏はこう振り返る。

「私たちは一般人ですからね。現職大臣と大臣室で会えるなんて、後援会長はすごいと思った」

鶴保議員とA氏の関係はさらに深まり、大臣室で計7回の面会を重ねた。同年10月中旬には、後援会長と一緒に鶴保議員を六本木のガールズバーで接待したという。

現職大臣が、公共事業への参入を狙う事業者から接待を受けることは大臣規範に抵触する可能性がある。

だが、見返りとなるはずだった南大隅町での採石事業はまったく前に進まない。鶴保議員への陳情は「たらい回しにされるばかりだった」(A氏)という。

12月8日には、鶴保議員の紹介で南大隅町を選挙区に持つ自民党の国対委員長の森山裕衆院議員(鹿児島4区)にも面会。森山事務所に取材すると、A氏の陳情は断ったという。

「採石場のある場所はかなり山奥の深いところにあり、近くに港もない。そこから石を出すなんて夢みたいな話だと説明した。地元の事情をあまり知らない人かと思いましたが、その後は一度も連絡はありません」

それでもなぜ、A氏は後援会長に金を渡し続けたのか。

「私はこれまでまったく政治家への陳情をやったことがなかった。こういうもんなのかなという思いと、事業をやっている以上は引き返せないという思いもあった。それに鶴保議員は大臣なので他の議員とは格が違うと思っていました」

後援会長の要求は、さらにエスカレートした。

A氏は、17年1月から7月まで後援会長に毎月80万円を要求され、「顧問料」として支払ったと主張している。さらにトヨタ・クラウンも無償提供している。

A氏は、B社と協力して選挙費用、後援会長への顧問料などは「総額で2千万円以上になる」と証言している。

後援会長は《参議院議員鶴保庸介後援会 関西千年会 会長》という肩書の名刺をいつも配っていたが、《関西千年会》は政治団体として登録はされていなかった。

今年7月頃から一部メディアが辺野古新基地工事に関する鶴保議員の疑惑を調査。A氏らと一緒に名前が浮上していることを知った後援会長が「鹿児島の事務所をたたんでくれ」と要請。しかし、A氏は拒否したという。

「私が後援会長に資金を提供したのは確かですが、私は(後援会長や鶴保議員から)何の見返りも得ていません。後援会長からは『(金銭授受については)証拠がないから表には出ないよ』とも言われていましたが、私は何もやましいことをしていません。だから、こうやってすべてを話せるんです」

その後、後援会長との関係は切れたという。

前出の上脇氏は言う。

「恒常的に政治活動をしている関西千年会が政治団体として無届のまま、現金のやり取りをしていたなら政治資金規正法違反です。また、鶴保議員の事務所が、後援会長の名刺の携帯を認めていたとなると、共犯の可能性もあります。鶴保議員は事実関係について説明する責任があります」

鶴保議員に事実関係について取材を申し込んだが期限までに回答はなかった。

後援会長はアエラドットの取材に対し、A氏の主張を「まったくの事実無根」と反論した(一問一答に詳細)。

■後援会長の一問一答

──A氏は後援会長に2千万円以上の資金提供をしたと証言している。

そういった事実は一切ありません。お金を払っていれば彼のところに領収書などがあるはずだから、それを見せてほしい。

──A氏側から今年に入ってから月80万円の顧問料が支払われた。

交通費など、最低限の経費はもらっているが、月80万円はもらっていない。支払ったのであれば、根拠を示してほしい。

──クラウンの提供は受けていたのか。

車は、Aが「よかったら使って下さい」と言って、無理やり置いていったんですよ。(返してほしいなら)僕はいつでも取りに来てほしいと思ってますよ。

──選挙応援については

私は後援会を一人でやっている。私が家を借りたところに、Aが来ただけです。

──鶴保議員とA氏らと一緒に食事をしたことはあるか。

僕は鶴保議員との付き合いは長いから。(食事の時に)Aがいたかどうかはわからない。僕はAから接待を受けたことは一度もない。

──関西千年会はどんな組織なのか。政治団体として届け出がされているのか。

政治団体ではありません。鶴保議員のファンクラブです。鶴保庸介という政治家が好きなので、すでにある鶴保の後援会に入るのではなく、自分ひとりでファンクラブを作りたいと思った。鶴保事務所からお金をもらっているわけではないし、お金を渡しているわけではない。

──あなたの名刺には鶴保事務所の住所も書かれている。一般人の名刺に政治家の住所が書かれているのは聞いたことがない。

一般の方がどうとらえようが、それは別の話。今の段階で私が言えるのは事実であって、言えるのはそれだけです。

──A氏の陳情を鶴保氏に紹介したのか。

鶴保議員には何も頼んでいない。

──鶴保氏からは後援会長と認識されていたか。

鶴保議員が私を紹介する時は、「私の支援者」としか言わない。名刺が後援会長になっているから、名刺を切った時に(もらった人が)勝手にそう思ってるだけ。

──名刺を持つことは鶴保議員から許可を得ていますよね。

そうです。それだけ信用してくれていたというのもあると思う。

──政治資金パーティーなどを開いていたのか。

したことはありません。

(AERA dot.編集部・西岡千史)

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