男社会の韓国で、ついに大きな山が動き始めた

男社会の韓国で、ついに大きな山が動き始めた

  • JBpress
  • 更新日:2018/04/16
No image

仏パリ近郊クリシーにある化粧品大手「ロレアル」仏本社のロゴ。(c)AFP/THOMAS SAMSON〔AFPBB News

韓国・ソウルの金浦空港に降り立つとバゲージ・クレーム(手荷物引渡場)の上の広告欄に若い女性の写真があり、「スタイルナンダ」と書かれている。

「スタイルナンダ」とは、韓国語で「イケてるスタイル」という意味なのでとてもキャッチ―なネーミングだが、韓国を代表する空の玄関口に広告を出すほど有名なのかは知らなかった。

また、日本の通販サイトに「最近韓国で流行のコスメ」として「3CE」が紹介されていた。これもまったく初めて聞いたブランドだったので、最近のトレンドに疎くなったと思いネット検索をかけてみた。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

ロレアルが買収を検討

すると、「3CE」は、「スタイルナンダ」のコスメブランドで、韓国の若者だけでなく、中国や日本の若者がよく買う化粧品として紹介されていた。

そして、「スタイルナンダ」は、世界的な化粧品大手の「ロレアル」が約4000億ウォン(400億円)で買収するといううわさが流れた。

正直「スタイルナンダ」は、数あるネット通販の一つだという認識しかなかったので、ロレアルという世界的な企業が欲しがるということに驚いた。

「スタイルナンダ」は、2005年に22歳のキム・ソヒという女性が自宅で立ち上げた会社だ。自分の着ていた服をネット・オークションにかけたところ、かなりいい値がついて、自分のセンスに自信を持ってネット通販に乗り出したという。

東大門という韓国最大の卸売市場に出ている洋服から彼女のセンスに合った製品を選び、ネットを通じて若い女性たちに売られていった。

彼女の選択した洋服は飛ぶように売れたが、ネット通販は「安さ」を売りにしているだけに、利益は少なかった。

それどころか損失が生じる場合もあった。例えば、2011年の売上高は339億ウォンなのに、5億ウォンの営業損失を出している。

実はその当時、多くのネット通販が同じような悩みを抱えていた。売上高がいくら上がっても利益につながらない。そのため多くの通販サイトが閉鎖に追い込まれた。

衣料品から化粧品へと舵を切る

こうした環境の中で、キム代表は衣料品から化粧品へと大きく舵を切った。そのきっかけは意外にも顧客から寄せられた質問だった。

スタイルナンダのモデルにキム代表がメークを施している広告を載せたところ、「洋服の選択に合わせてどこのどのようなメーク製品を使っているのか」という問い合わせが相次いだのだ。

これはひょっとするとビジネスチャンスかもしれないと彼女は考えた。そしてすぐに実行に移した。

化粧品製造大手の韓国コルマーへ赴き、自分が作りたい製品を企画し作ってもらったのだ。ちなみに、韓流コスメのOEM(相手先ブランドによる製造)・ODM(相手先ブランドによる設計・生産)を50%以上請け負っているのがこの韓国コルマーである。

韓国コルマーの技術力とキム代表の化粧品へのこだわりにより「3CE(スリーコンセプトアイズ)」というブランドが生み出されたのだ。

2009年に発売を始めた3CEは順調に売り上げを伸ばし、2011年の韓流ブーム(K-Beauty)に乗って一気に成長した。

韓流ブーム到来により韓流ドラマの中の洋服やスタイルなどを真似る風潮が、3CEの成長を大きく後押しした。

韓国のストリートファッションも注目されるようになる。特に、中国のブローガーがスタイルナンダの洋服や化粧品を購入してブログにアップするとたちまち中国からの行商が買いつけに来た。

中国人向けに利便性アップ

2009年からキム代表は、中国の顧客が利用できる中国版「スタイルナンダ」を設立し、ウィチェットペイ、アリペイ、テンペイ、ペイパルなど、中国人のための決済手段を導入していった。

他のネット通販が始める前に、先陣を切って顧客の利便性を追求したことで、いわゆるトレンドを自ら作り出すことに成功した。

この結果、2014年には売上高1151億ウォン、営業利益276億ウォン、2015年には売上1089億ウォン、営業利益235億ウォンを記録した。

中国だけでなく、日本の伊勢丹からも入店要請を受けた。フランスの企業で化粧品や香水を扱う専門店のセフォラ(SEPHORA)、免税店チェーンのDFSなどにも製品を入れることになった。

現在、香港・シンガポール・中国など7か国に59の店舗を構え、2016年の売上高は1278億ウォン(2017年の企業監査報告書がまだ発行されてないため昨年の数字は明確ではないが、1500億ウォン台と推定)となった。

しかし、キム代表はさらなる成長のためには個人の経営能力では限界があることを思い知らされる。

2014年から売上高と営業利益が横ばい状態なのだ。また、トレンドに敏感な製品を扱っているので、浮き沈みも大きい。今は調子の良い化粧品も外注のため、人気が出ればすぐに類似商品が出回りやすい。

そこで、2016年からスタイルナンダの売却を検討し始めた。韓国の某デパートなどが買収に手を挙げたが、彼らが考える「スタイルナンダ」の企業価値とキム代表が考える企業価値に食い違いがあり成立しなかった。

韓国人女性の社会進出加速

とりわけ中国事業で食い違いが大きかった。スタイルナンダの中国販売は、中国人の行商たちによって運ばれたものが多く、販売数量と売上高の整合性が一部取れないなど不透明な取引があり、“脱税”に見られかねない要素があった。

こうしたことから、キム代表は経営の透明化を図らなければならないと考え、グローバルな投資銀行を通して事業売却を進めることにした。

その結果として、ロレアルの買収話が持ち上がったものと考えられる。その投資銀行とはスイス系投資銀行UBSで、ロレアルグループを買収優先交渉権の対象者とした。

現在、スタイルナンダの株式は、キム代表が100%保有しているが、このうち70%を売却する予定だという。金額は約4000億ウォン。キム代表は、売却後もブランドの企画や製品デザイン開発を手がける予定だ。

スタイルナンダのサクセスストーリーは、学歴社会で男性優位社会である韓国社会において女性の希望にもつながっている。

現在、スタイルナンダに続くネット通販会社がいくつも生まれており、これから第2、第3のサクセスストーリーが期待されている。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

中国・韓国・アジアカテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
沖縄の団体が国連で琉球独立主張、中国ネット「支持する」「古くは中国の土地」
ニコニコ動画が中国軍閲兵式をネット中継、日本の若い世代が「こんなにすごいのか」と感嘆―中国紙
日本の100円ショップ製品から発がん性物質、中国でも注目=「日本製がますます駄目に」「日本と中国の差は...」
聯合ニュース「?????」 Yahoo!配信記事、丸ごと文字化けの珍事
「中国人なら死刑だぞ」中国当局に捕まった私が生還できた理由

中国・韓国・アジアのランキング

最近人気のあったニュース

注目のキーワード

キーワードで気になるニュースを絞りこもう

  • このエントリーをはてなブックマークに追加