【岩貞るみこの人道車医】これ以上の「音」は無理なんですけれど? クルマの警告音を考える

【岩貞るみこの人道車医】これ以上の「音」は無理なんですけれど? クルマの警告音を考える

  • レスポンス
  • 更新日:2017/12/07
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機能が増えるにつれ、車内で聞こえる警告音の種類も増え、聞き分けが難しくなる。写真はレクサスの「アクティブ操舵回避支援」の作動イメージ

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【車】これ以上の「音」は無理なんですけれど?

12月に入ると、あちこちからクリスマスソングが聞こえてきて、キリスト教徒でなくても盛り上がる日本である。音楽は記憶を刺激する。定番となった山下達郎やワム!が流れてくると、忘れていた甘酸っぱい記憶が蘇り…と、うっとりしている場合ではない。今回のテーマは、「音」である。

以前、アイサイトの試乗コラムでも書いたのだが、運転支援技術の搭載が進むにつれ、車内ではこれまで以上にさまざまな音がするようになった。もともとカーナビが道案内をし、上級グレードのカーナビだとETC2.0もご丁寧に(使い物にならない※注、個人の感想です)情報を流してくる。タイヤの空気圧が減れば、ポーンと音が出たり、外気温が4度くらいになれば、またまたポーンと音が出る。それに加えて、レーンキープアシストだの、被害軽減ブレーキだのと音がすれば、ドライバーは混乱し、音が重なって聞き取れないことすらある。

国交省が80km/hでキンコン鳴っていた速度警告音を廃止したのも、このためではなかったかと思うほどである(違います!)。すでにおなかいっぱいな状況であるにもかかわらず、自動運転の未来に向けて現在も、さまざまな運転支援技術の開発が続けられている。そして、開発者に話を聞くと、ほぼ全員が口をそろえて「コーション(注意喚起)もアラーム(警告)も、音!」と言っている。ちょっと待った。このまま単に上乗せされても私、もう、無理なんですけれど?

◆運転支援にも「統一とカスタマイズ」

音色、音量、優先順位。いったいだれがどう交通整理をしていくのか。音に限らず自動車メーカーの開発者は、担当する部分がどんどん細分化されている。競い合うように完成した技術が搭載されるのはありがたいけれど、運転する側は一人なのだ。使う側の身になった「使い勝手」というものがあるはずである。それでも、ほかの部分はなんとかなるかもしれない。でも、一瞬で判断して行動を要求される運転支援技術はそうはいかない。今後は、カーシェアなど、「クルマは所有するほど好きじゃないけれど、ときどき使う」とか「毎回、選ぶクルマが違う」といった人たちが増加することを考えれば、メーカーごとに「うちはこれがベストだと思っていまーす!」などと呑気なことを言って勝手にやっている場合ではない。

統一とカスタマイズ。求められるものは、この二極の対応だと思う。統一は、優先順位などのベーシックな部分。そして、カスタマイズ。安全に関わる部分にカスタマイズなどあり得ないという声もあるけれど、音に関しては、カスタマイズなしにはあり得ないと思っている。

ご存じのとおり、年齢によって聞き取る力は大きく変わる。高齢になるほど高音が聞き取りづらく、蚊の羽音が聞こえなくなるのは有名な話だ。お姑さんがお嫁さんの高くて可愛らしい声を聞きとれなくなり、なにかと気まずい思いをするという話もある。

先日、高齢者の方と話をしていたときに、スマホの着信音が聞こえづらいという話になった。購入時の設定は、かなり高音の呼び出し音だったので、ちょっと低めの電子音に変えてあげたら、よく聞こえるようになったらしい。聞こえやすい音質は、人によって本当にちがうのだ。音量だってそうだろう。実のところ、スズキの警告音はかなり大きい。レーンキープアシストが働くと、ピピッ!と、ものすごい音で叱られる。はみ出さないように走ればいいのだが、いや、もう少し小さくしてくれても…と、叱られるたびに気持ちが萎える。

◆「人の声」で警告する

音量と音質は、カスタマイズが必須だと心から思っている。それと同時に、もしも、もっとカスタマイズができるなら、ピピッ、とか、ピーではなく、人の声にするのも有効ではないかと考えている。

運転している最中にピーピーいわれても、どれがなんの音なのかよくわからなくなる。だけど、もしも高齢者に対して急ブレーキを踏ませたいのなら、ピーと音をさせるよりも、「○○さん!ブレーキ!」と呼びかけるほうが、よっぽどわかってもらえるのではないだろうか。それも、よく知っている人の声で。

たとえば発達障害の人は、知らない人の声よりも学校の先生や家族など、知っている人の声のほうが反応するという。私の場合も、被害軽減ブレーキが働く直前に、ピピッと鳴ってブレーキを踏むよううながされるよりも、「イワサダさん、ブレーキ!」とか、「前~っ!」と、レスポンスの編集長に叫ばれたほうが、よほど早く認識してがっつり急ブレーキを踏める気がする。

高齢者、発達障害、難聴など世の中にはいろんな人がいて、聴力とそれに伴う認識力、判断力は人によって大きく異なる。音の出し方について、真剣に取り組む時期がきていると思う。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

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