生産が追い付かない「トースター」、『うんこ漢字ドリル』、保育士の応募が全国から殺到する「保育園」......共感を呼ぶ「ブランド構築」とは?

生産が追い付かない「トースター」、『うんこ漢字ドリル』、保育士の応募が全国から殺到する「保育園」......共感を呼ぶ「ブランド構築」とは?

  • ダ・ヴィンチニュース
  • 更新日:2017/11/14
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『「こんなもの誰が買うの?」がブランドになる 共感から始まる顧客価値創造』(阪本啓一/日本経済新聞出版社)

突然だが、今春話題になった『うんこ漢字ドリル』を覚えているだろうか。現時点(10月末)も、ネット書店の“小学生の国語”カテゴリーで、小学1年生向け用のドリルは堂々のランキング1位であり、街角の書店でも、目立つところに陳列され続けている。内容の賛否は他に任せるとして、マーケティングの視点から考えたとき、どうしてあんなに爆発的に売れたのか気になるところだ。

『「こんなもの誰が買うの?」がブランドになる 共感から始まる顧客価値創造』(阪本啓一/日本経済新聞出版社)は、このドリルやバルミューダのトースターなどに象徴されるヒット商品の分析から始まる。

著者の阪本啓一氏は、企業や個人へのブランディングのコンサルタント実績多数のブランド・クリエイター。ブランディングの必須要素として「世界観」「共感」「熱」を挙げ、一からブランドを創り上げていく実例も織り込みながら、“ブランドになる、ならないの違い”や“商品やサービスの価値を生み出す原動力になり得るもの”などを明らかにしていく。読者一人一人が自分と照らし合わせながら学んでいける書である。

まず、ブランドは、ビジョン、ミッションと表現されるような「世界観」に「共感」してもらうことが、支持されることへの第一歩。だが、ブランド形成には、その前提である「世界観」自体が“人それぞれ違う”ということを理解しておくのが、かなり重要となってくる。それは「環世界」という概念だそうだ。ドイツの生物学者・哲学者であるユクスキュルが名付けた。著者は環世界をシャボン玉や結婚に準えて説明していく。

例えば生物はみんな自分で作ったシャボン玉の中にいて、シャボン玉を通して外界を見ている。だからシャボン玉の分だけ現実は歪んで見える。生物の個体数だけシャボン玉の数がある。(略)さて、人間における環世界の好事例は結婚だろう。(略)新婚生活は互いの環世界のチューニングとも言える。

話をビジネスに戻すと「“ブランドの環世界”を見せるレンズをお客様の目にはめこむこと」が、ブランディングの肝となる。そのためには、自分自身の「環世界」を更新し続ける「しなやかな精神が必要」だと説く。具体的にはルーティンになっているものを変えてみるといいらしい。通勤経路や、いつも行く店、食べるもの、スケジューリング等々。新たな経験がモノやコトの見方を深め、「環世界」は更新されていく。そして、それがブランドの共感度を高めることに繋がっていく。

さらに、ネットやSNSの発達は、私達の経済活動にも大きな変化を与え続け、もちろんブランドに変容する過程にも大きく関わっている。あるアイデアが、ネットやSNS経由で大きなビジネスに発展し“ブランド化”していくことは、もう珍しい現象ではなくなった。

著者は、海でのサンゴ礁の生態から転じ「ネット・リアルの海において、主に共感によって作られた接着剤が個人と個人をつなぎ形成されたゆるーい場」を、人間の「エコシステム」と定義する。売る手段は機械化されていく一方で、繋がる動機や理由は「共感」の他にも「感動」「ワクワク」「楽しさ」というアナログとも言える心の動きであり、「エコシステム」上でこの2つを上手く絡ませ、循環させることで“売れる流れ”は始まるという。

本書は、ビジネスのブランド構築に高い関心がある人、「エコシステム」循環のスタート地点に立ちたい人に、大いに参考となるだろう。商品から保育園というサービスまで、様々なビジネスがブランド化していく成功例が、誇張なく書かれている。それには「熱」が欠かせないのだが、どんなものなのかは、ぜひ手に取って読んでほしい。後半は人間の深層心理に触れており、読後に思わず、自分の仕事観、働き方も確認したくなってくるはず。

あなたの「環世界」を拡げてくれる一冊である。

文=小林みさえ

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