台湾問題で何としても「実績」をあげたい習近平

台湾問題で何としても「実績」をあげたい習近平

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  • 更新日:2018/01/12
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台北タイムズの12月5日付け社説は、中国による台湾囲い込みのための「分割征服」戦略と「統一戦線」戦術が10月の共産党大会後変化を見せているとして、事例を挙げて描写し、台湾政府に対処計画があるのか懸念を示しています。要旨は次の通りです。

(iStock.com/Jupiterimages/strixcode/ Enrique Ramos Lopez)

「分割征服」戦略が長らく、台湾を囲い込もうとする中国の「統一戦線」戦術において枢要な役割を果たしている。

中国のアプローチは、台湾で統一プロパガンダを広めるための「代理人」となる政党、政治家、ビジネスリーダーの育成に重点が置かれ、中国に敵対的な政治的イデオロギーをもつと看做される人物を無視してきたが、最近の例は、中国がその路線を変更し、台湾人全体にエンゲージすることを最優先にしようとしていることを示唆する。

この変化は、10月の第19回共産党大会における習近平の演説と軌を一にしており、用い得るあらゆる手段によってアイデンティティの共有と台湾人の人心獲得を促進することが、台湾への侵入および政治的逮捕とともに、今や中国の台湾政策の基礎をなしていることを示唆する。

党大会閉幕から1か月もたたないうちに、台湾人は、中国の戦略がどのように実施されるのか、目の当たりにしている。

最近、深圳で開催された両岸学生野球リーグは、中国が如何にしてアイデンティティの共有を促進しようとしているかの見本である。張志軍・中国国務院台湾事務弁公室主任は、「両岸は一つの家族」と書かれた旗の前に立って決勝戦の開幕を宣言した。両岸野球交流協力委員会の徐勇委員長は、野球を通じて「より多くの台湾の若者が中国を訪問し中国をより理解すること」への希望を表明した。

試合は友好的で罪のないものだったかもしれないが、旗は、台湾人に情緒的に訴えつつ、「一つの中国」原則を言い換えたものに他ならない。

中国は、この「両岸は一つの家族」のフレーズが台湾人の中国との感情的絆を強めることを望んでいるが、これは2013年に習が当時の蕭萬長副総統との会談で初めて用いた政治的意味合いの強いフレーズであり、中国人民政治協商会議の「2014台湾問題ワークショップ」で正式に記載されている。

政治的逮捕についての習の指令は、台湾の人権活動家・李明哲の一件で明らかだ。同人は、ネット上のディスカッショングループを用いて中国政府を攻撃する情報や記事を拡散したとして、11月28日、湖南省岳陽の地方裁判所で「国家政権転覆罪」により懲役5年を言い渡された。

台湾の検察は、12月3日、中国製のソフトウェアと装備により危殆化されたおそれのある、内政局の情報サービス・情報システムの調達に関する捜査が進行中であると認めた。中国による台湾への侵入の企てに休みはないということだ。

これらの事案は、中国の「分割征服」戦略と「統一戦線」戦術が、一見無害なスポーツイベントであれ、人的交流であれ、台湾社会への秘密裏の侵入であれ、一層複雑化し、より深くまで浸透していることを明らかにしている。

問題は、台湾政府が中国の絶えず変化する「統一戦線」戦術への緊急対処計画を持っているか否かである。

出典:‘China’s strategy becoming clearer’(Taipei Times, December 5, 2017)
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2017/12/05/2003683436

上記は、10月の共産党大会後の中国の対台湾政策は、台湾人の多くを中国に取り込むための“統一戦線工作”の色彩を強めつつある、という台北タイムズの社説です。

共産党大会開催までは、習近平の政治報告に「中台統一のタイムテーブル」や「武力統一」などという強硬論が現れるのではないかとの予測が米国や台湾の専門家の間で行なわれたことがあります。

しかし、実際には、習近平自身その政治報告の中では「台湾独立勢力によるいかなる分裂活動もこれを打破する意思のみならず、能力もある」という趣旨の発言を行いつつも、「武力による統一」という強硬論ではなく、「両岸は一つの家族」という考え方に立って、「大陸における発展の機会を台湾同胞と分かち合う」という類の“統一戦線工作”を強調しました。

中台間で「両岸は一つの家族」というスローガンを中国は強調しますが、今の台湾の人々から見ると、たとえかつての祖国や祖先が共通のものであったとしても、自由や人権無視の中国大陸は決定的魅力に欠けます。そのような台湾人の自然な反応を中国共産党幹部は十分に知らないか、あるいは知ろうとしないのが実態です。

台湾にとって、貿易投資の最大の相手は中国であり、台湾ビジネス界にとって中国の重要性は変わっていません。しかし、その中国と統一されることを希望するか否かということになれば、話は全く別です。特に、台湾では、一党独裁体制下で蒋介石国民党政権の戒厳令の時期を経験した記憶が強く残っています。

台北タイムズが引用した台湾人の人権活動家である李明哲の政治的逮捕の一件については、不明な点が多いのですが、中国において「国家政権転覆罪」により懲役5年を言い渡されました。このケースなどは、あらためて中国と台湾の基本的制度の違いを台湾人に認識させた直近のケースです。

他方、習近平自身、かつて台湾の対岸の福建省で十数年間にわたり省の党書記などの地位についており、自分こそ台湾通であるとの自負が強いにちがいありません。中国共産党指導者として、さしたる実績もなく、毛沢東、鄧小平に次ぐ指導者の地位に就きました。実際に目に見えた「実績」をあげるとすれば、台湾を“統一戦線”により、中国との統一か、あるいはそれに近い状態に追い込むことでしょう。

「中華民族の偉大な復興」というスローガンは、習近平にとっては、何よりも、台湾問題で見るべき成果を上げなければならないという課題を意味するものと思われます。

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