韓国発・女児の「遺体の一部」を友人にプレゼントした17歳少女

韓国発・女児の「遺体の一部」を友人にプレゼントした17歳少女

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2017/11/15
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なぜ人を殺してはいけないのか

神奈川県座間市で9人もの男女が殺害された事件が世間を騒がせている。容疑者の男がなぜ9人もの男女の命を奪ったのか、なぜ損壊した遺体を室内に放置していたのか、実に不可解な事件と言わざるを得ない。

はっきりと断言できるのは容疑者が明確な殺意を持って犯行に及んだこと、犯行の過程でSNSとスマートフォンが巧みに用いられていたということである。そのどちらかがなかったら、容疑者が9人もの被害者を誘い出して殺害することは不可能だっただろう。犯行の動機については今も分からぬままである。

今も昔も大量殺人事件は発生しているが、かつてのように怨恨・痴情・金銭、あるいは社会に理不尽な不満を抱いた末の通り魔といった「分かりやすい事件」よりも、原因や動機自体が不可解な事件が増えているような印象を受ける。

いわゆる神戸の「少年A」の事件や、相模原の障害者殺傷事件でもそうであるが、犯人の「心の闇」自体が犯行の原因であるという「難解な事件」が増えているような気がするのである。いつの間にか、「なぜ犯人が人を殺したのか」という疑問に悩み、そして「なぜ人を殺してはいけないのか」という犯人からの問いかけに悩むという、難儀な時代になってしまったのかも知れない。

実は、今年の春、韓国でもこうした「難儀な時代」の到来を告げるような事件が起きていた。日本で発生した「難解な事件」と同様、犯人の心の闇とインターネットが深く絡み合った事件である。ここでは、今年3月に発生した「仁川延寿区東春洞小学生殺人事件」の概要を見渡してみたい。

小2女児が殺害される

事件の発生は今年の3月29日。仁川広域市延寿区に住む小学校2年生の児童・Aちゃん(女子・8歳)が失踪したことが事の発端だった。この日は水曜日。韓国では3月に新学年が始まるので、Aちゃんは2年生に進級して、やっと1ヵ月がたったばかりだった。この日の授業は午前中に終わり、Aちゃんは自宅近くの小学校から12時すぎに帰宅するはずだった。

ところが、下校時間が過ぎてもAちゃんは帰宅せず、心配したAちゃんの母親は自宅近くを探し始める。自宅近くの公園のベンチの上にAちゃんのカバンが放置されているのが発見されたものの、Aちゃんの行方は分からないままだった。人見知りの強かったAちゃんが見知らぬ人に付いて行く可能性は低く、拉致や誘拐の可能性が疑われた。4時ごろ、母親は警察に通報。まもなく警察と付近住民による大々的な捜索が開始された。さらに周辺の聞き込みと監視カメラの映像の解析が行われ、Aちゃんの足取りが明らかになった。

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事件の現場となった公園(写真:著者提供)

Aちゃんの同級生らから得られた証言によると、Aちゃんは12時過ぎに自宅に向かったが、下校途中に公園で中年女性から携帯電話を借りようとし、そのままその女性に連れ去れたことが明らかになった。この中年女性とAちゃんは以前から面識があるように見えたという。

さらに周辺に設置された監視カメラの映像解析の結果、Aちゃんは黒い服を着て旅行用の大型キャリーバッグを引いた中年女性に連れ去られ、女性とともに自宅近くのマンションのエレベーターに乗り、13階で降りたことが判明した。すぐさまこのマンションに対する捜索が行われ、その結果、マンションの屋上の上水道タンク室の上から、ビニールに包まれたAちゃんの切断遺体が発見された。

遺体の発見現場でもあり、Aちゃんの自宅のある仁川広域市延寿区東春洞はアパート団地が立ち並ぶ新興開発地区。どう考えても凶悪な犯罪など起こりようもない、閑静な住宅街である。それだけに白昼突如発生したこの児童殺害事件は付近住民を恐怖に陥れた。直ちに警察の捜査が開始され、その結果、驚天動地の事実が明らかになった。

容疑者は同じ町内に住む17歳少女

Aちゃんは中年女性に連れ込まれたマンションの屋上で遺体となって発見されており、犯人はこのマンションの住人である可能性が高まった。つまり、犯人である中年女性はAちゃんを自宅に連れ込んで殺害し、遺体を切断してビニールにくるみ、屋上に遺棄したことが考えられた。中年女性が降りた13階を中心に、入居している世帯を一つ一つ訪問するなど徹底した捜査が行われ、15階に住む世帯の一室からAちゃんの所持品が発見されたことから、捜査は急展開。その日のうちに容疑者が逮捕された。

ところが、驚くべきことに容疑者は17歳の未成年、それも女子だったのである。あまりの意外な顛末に韓国国内には大きなショックが走ったが、それ以上に衝撃を持って受け止められたのは、なぜ17歳の少女がこのような凶悪極まりない犯罪を犯したのか、動機がさっぱりわからなかったからである。

容疑者BはAちゃんと同じ町内に住む少女だった。付近住民に衝撃を与えたのはまさにこの点だった。かつて、こうした事件は身代金目的の誘拐事件の末の凶行か、幼女に対して性的衝動を覚える性犯罪者の仕業である場合がほとんどであった。ところが、今回の事件は平凡な日常生活を送る隣人が起こしたものであり、その動機はまったく不明。容疑者Bは被害者の家族に対して身代金の要求を行っておらず、被害者や被害者の家族に怨恨を持っていたわけでもない。

自宅で遺体切断したが家族も気づかず

容疑者Bはこの日の朝、母親の服を着てサングラスを着用し、旅行用のキャリーバッグを引いて自宅付近の公園に出かけた。容疑者Bが敢えてこのような扮装をしたのは、年齢を偽装するためだったと見られている。事実、こうした扮装のために捜査の初期段階では、容疑者は中年女性だと誤認されていた。

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事件後、公園に設置された監視カメラ(写真:著者提供)

携帯電話の検索履歴から、容疑者Bは公園で下校途中の小学生を待ち受けていたことが明らかになっている。そして、携帯電話を貸してほしいと接近してきたAちゃんを自宅に連れ込み、犯行に及んだものと思われる。犯行は容疑者Bが自宅にAちゃんを連れ込んだ12時50分から15時の間に行われたと見られている。その後、容疑者Bは切断したAちゃんの遺体を屋上に遺棄。16時すぎに服を着替えて外出している。

一連の犯行は計画的かつ非常に迅速で、精神疾患による偶発的な犯行とは考えられない。容疑者Bは遺体の切断を浴室で行ったとされているが、同居している家族も気づかないほど徹底した後始末を行っている。また遺体を遺棄した屋上の水タンク室に至るには、いったん屋上に出た後に5メートルもの梯子を上らなければならない。もし犯行が通り魔的に行われたものだったら、このような場所に遺体を遺棄するはずはない。警察の捜査によって犯行の一部始終はほぼ明らかになったものの、動機の解明は遅々として進まなかった。

SNS上で知り合った「共犯者」

Aちゃんの葬儀が終わった4月初旬になって、事態は再び急展開を迎える。事件の共犯が逮捕されたのだ。この事件では、「17歳の少女が単独でこのような凶悪犯罪をしでかすのは無理である」という疑問が提起されており、共犯者がいた可能性が指摘されていた。

ところが、この逮捕された「共犯者」というのが意外なことに、19歳の少女Cだった。容疑者BはCと犯行の2ヵ月前にSNSを通じて知り合った仲で、普段から頻繁に連絡を取り合っていた。容疑者BはAちゃんを殺害し、死体を遺棄した後に外出しているが、これはソウルでCに会うためだった。

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事件が起こったマンションの屋上の水タンク(写真:著者提供)

取り調べの結果、容疑者Bは切断したAちゃんの遺体の一部を包装紙で包み、Cに手渡していたことが判明したのである。なぜ、容疑者Bがそんなことしたのかは全く謎であったが、この不可解な行動に韓国社会は再び驚愕した。ちなみに、容疑者Bが手渡したとされる遺体の一部について、Cは「受け取ったのが遺体の一部だとは思わなかった」「中身を見て驚き、捨てた」などと供述しており、今に至るまで発見されていない。

容疑者Bに供述によると、犯行前からCと連絡を取り合っており、犯行の最中にも、実況中継でもするようにその一部始終を告げていたとされる。また、Cは遺体の一部を受け取ったことを認識していたとも供述している。

ただし、Cはこれを否定しており、現在進行中の公判でも争点の一つになっている。容疑者Bの犯行にCがどの程度かかわっていたのかは明らかになっていない部分もあるが、「共犯」よりも、殺人の教唆に近いように思われる。ともあれCの存在が判明したことにより、容疑者Bの犯行の動機や過程がある程度明らかになった。

ネット上の残虐創作コミュニティに没頭

容疑者Bは中学校の頃から精神状態の不安定さを指摘されることがあったものの、美術教室に通う一方で学校の漫画部に所属し部長も務めるなど、それなりに学校生活を楽しんでいた。しかし、高校進学後に不登校気味になり、結局中退。フリースクールに通い始めるも6ヵ月でやめてしまう。その後、バリスタ教室に通ったりもしたが、引きこもり気味で、両親との葛藤もあったという。

そんな容疑者Bが没頭していたのは「自作キャラクター(略称:ジャケ)」というインターネットのコミュニティーである。このコミュニティーの特徴は、参加者が定められた「世界観」に合わせてストーリーを進行させ、同時にそのストーリーの登場人物になりきって、その役割を演じるというもの。ネット上で行われるロールプレイの一種である。専門のサイトがあるほか、大手のポータルサイトや一般のSNSの上でもコミュニティーが開設されている。ただし、ロールプレイに参加できるのは選ばれた会員だけで、その活動内容は徹底して秘匿されている。

進行するロールプレイには「SF」「学校」「中世」「ファンタジー」「マフィア」「パロディー」など様々な分野があり、それぞれの分野は「推理」「調査」「ストーリー」「ゴア(Gore)」「シリアス」「ヒーリング」などのジャンルに分かれている。

フィクションと現実を混同した末の犯行か

容疑者Bは「自作キャラクター」サイトで「ゴア(Gore、流血)」というジャンルに没頭していた。このジャンルで進行するロールプレイの内容には派手な流血を伴う自害・傷害・殺人などが含まれ、未成年の参加は制限されていることが多い。

しかし、容疑者Bは年齢を偽って「ゴア」のロールプレイに参加していたのである。そして、ストーリーに合わせて流血や殺人、遺体の毀損に関するイラストを作成して提供していたことも明らかになっている。容疑者BがCと知り合ったのも、この「ゴア」のロールプレイが行われる「自作キャラクター」のコミュニティーだった。

もちろん、「ゴア」のストーリーはすべて架空のものであり、ほとんどの参加者は純粋なフィクションとして楽しんでいる。これはスプラッター映画の愛好家やロリコン漫画のマニアが現実世界で殺人や性犯罪を犯さないのと同じである。

ただし、容疑者Bの場合には、不安定な精神状態や家庭や学校との葛藤といった状況の中で「ゴア」に没入したため、ロールプレイのキャラクターになりきってしまい、現実社会でもそのキャラクターを演じてしまったのではないか、と考えられている。共犯とされたCも「ゴア」でのキャラクターを現実世界でそのまま演じてしまい、結果として殺人を幇助することになってしまった。極めて分かりにくい犯行動機であるが、容疑者Bの犯行に関する説明としては最も説得力があるものである。

撤去された献花台が意味するもの

この事件については現在も公判が進行中である。一審の審理過程でも事件の動機はあまり明らかにならなかった。被告Bの陳述が二転三転したことに加え、審理が被告Cの事件への関与度に集中したためでもある。

一審の仁川地方裁判所は9月22日、被告Bに対して懲役20年(求刑・懲役20年)、被告Cに対しては無期懲役(求刑・無期懲役)が言い渡している。主犯のBよりも共犯とされたCの量刑が重いのは、Bが満18歳未満で少年法上、無期懲役の言い渡しができないからである。ただ、韓国で満18歳未満の少年に無期懲役が言い渡されるのは極めて異例であり、事件が社会に与えた影響を考慮した判決だったと見られる。被告B・Cともに判決を不服として控訴しており、量刑にも変化があることが予想されている。

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被告BとC

事件は韓国社会に大きな衝撃を与えたが、多くの韓国人は1日も早くこの痛ましい事件を忘れたがっているように見られる。事件の舞台になった公園には一時期、被害者を追悼するための献花台が設置されたが、容疑者が逮捕され事件の真相が明らかになった後、撤去されてしまった。住民にしてみれば二度と思い出したくもない事件であることは確かだろう。

事件への関心が弱まり、事件の原因になった加害者の「心の闇」が何であったのかは、今も分からぬままである。忌まわしい事件ではあるが、加害者の「心の闇」が何であったのかを究明しておかなければ、何らの対策も取られないことになり、こうした「難解な事件」は再び起こるだろう。日本でもそうであったように。

被害者の冥福をお祈りするとともに、加害者の「心の闇」が速やかに解明されることを望みたい。

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