消費税10%に過半数が反対なのに...自民党が勝った理由は?

消費税10%に過半数が反対なのに...自民党が勝った理由は?

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2019/08/03

― 連載「ニュースディープスロート」<文/江崎道朗> ―

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自民・公明両党で改選過半数を超す71議席を得て勝利した参院選。その結果を受けて麻生太郎財務相は「消費税率の引き上げは最初から申し上げてきた。その意味では信任をいただいたと思う」と述べ、予定どおり10月に10%へと引き上げる見通しだ(画像は自民党ホームページより)

◆増税を「信任」したと誤解するなかれ!

「政治というのは、必ずしもよりよい選択をすることではない。時には、最悪(worst)を避けるため、より悪い(worse)を選ぶこともある」。永田町で仕事をしていると名言(迷言?)を聞くことがあるが、これはなるほどと思ったものだ。

関連して、今は亡き、あるベテラン政治家と話をしていたとき、こうした話を聞いたことがある。

「例えば、規制緩和をすれば、新しいビジネスが生まれるが、規制によって既得権益を守られている人たちにとってはダメージになる。政治の決断は、ある人には利益をもたらすが、別の人には不利益をもたらす。その両面を見ながら、国益と多数派の国民たちにとって、最善の選択は何かという観点とともに、最悪を避けるためにどうするか、を考えるものなのだ」

自らに言い聞かせるように話してきたので問い返したことがある。

「しかし、結果的に“最悪”の選択をしたということはなかったのですか?」

「そうだねえ。そのときは有権者からノーを突きつけられることになる。それは選挙で落選するか、投票率の低下というかたちで民意が示されるだろうから」

なんでこんな話をするかといえば、今回の参議院選挙のことだ。

残念ながら、盛り上がりに欠けた国政選挙だった。

◆過半数が増税に反対。自民党が勝った理由

何しろ今回の選挙は、「デフレから脱却もしていないにもかかわらず、消費税を上げて景気を悪くする自民党と公明党」と、「増税しないと言いながら、政権を獲得したら消費増税を決定し、平気で公約を破った民主党の残党」との戦いだった。「アメリカのように減税に踏み切り、景気回復、デフレ脱却を最優先にする」という選択肢は示されなかった。

NHKの出口調査によれば、消費税率が10月に引き上げられることについて「賛成」と答えた人は43%であったのに対して、「反対」は57%にのぼった。過半数が増税に反対なのに、増税を掲げた自民党がなぜ勝利したのか。

出口調査によれば、増税「反対」と答えた有権者のうち、自民党に投票したと答えた人は29%、立憲民主党に投票した人が21%などとなっている。

一方、「棄権」を選んだ有権者は過半数を超えた。総務省が7月22日に発表した参院選の投票率(選挙区)は48.8%だった。過去最低だった1995年参院選の44.52%に次ぐ低水準で、24年ぶりに50%を割り込んだのだ。

「より悪い」と「最悪」の選択になれば、「より悪い」を選ばざるを得ないが、景気を悪化させる消費増税には反対だ。

ところが、今回の選挙で示された、こうした「民意」を理解しない政治家もいる。

例えば、麻生太郎財務相は23日の記者会見で「消費税率の引き上げは最初から申し上げてきた。その意味では信任をいただいたと思う」と述べた。

いや、「増税」を信任したわけではないのだ。しかし、こうした「誤解」がまかり通ると、日本の景気はさらに悪化していくことになるだろう。

【江崎道朗】

’62年生まれ。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)など

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