賢い会社はもうやめている。不毛な「ビッグデータ分析」の現実

賢い会社はもうやめている。不毛な「ビッグデータ分析」の現実

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  • 更新日:2017/11/22
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私たちの生活に欠かせない存在となっている100円ショップですが、ビジネスの視点で見ると、商品単価が安い分かなり多くの種類や数を売る必要があります。しかし、主に女性をターゲットにして人気が高い100円ショップ「セリア」は、小売業の「生命線」とも言える客層分析をきっぱりやめたということが大きな話題となりました。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』の著者でMBAホルダーの理央さんは、100円ショップ「セリア」のこの決断をどう分析したのでしょうか?

客層分析をやめたセリアの英断に学ぶ、これからの「CRM」

今号のテーマは「CRM」。ビッグデータ分析をもとに、顧客関係性とのマネジメントすることで、顧客の動きを予測し、販売促進につなげたり、新製品開発に活かしたりする考え方です。

アマゾンのレコメンデーションや、航空会社のロイヤルティプログラムなどが、CRM活用の代表的な事例です。

年齢性別は顧客分析に必要か?

11月3日の日経MJの一面に、「客層分析、セリアやめるってよ」という記事が載っていました。

記事によると、100円ショップ大手のセリアが、どのような顧客が、いつ、何を、いくら買ったか、という購買データの分析をする中で、「客の性別と年代を集めることをやめた」という内容でした。

顧客データは、再購入・リピートを促すために、必要な要素だと考えられてきましたが、「特定の顧客層にしか刺さらない商品は、自社にとって死に筋とも言える。ヒット商品をつくるには、顔の見えないデータよりも、SNSや街の消費者の生の姿を見ていくことが重要」という判断が基本にあったと記事にあります。

ターゲットとする顧客想定をする場合に、

年齢・性別・職業などの「属性」

住居、働く場所などの「地域」

顧客が重要視するであろう「価値観」

顧客が普段行う「行動」

の4カテゴリーを洗い出すこと、すなわちセグメンテーションから始め、「都心に住む(地域)、健康志向で(価値観)、ダイエットとジム通い等をする(行動)20代のOL(属性)」といった具合です。

セリアはこのうちの、性別と年齢データを取得することをやめた、ということなのです。

モノや情報が今ほど溢れていなかった2、30年前では、30代男性が購入する髭剃りの傾向は、ある程度明確に存在したし、20代女性が好む基礎化粧品などもあったはずです。

しかし、画期的な製品カテゴリーが新しく生まれず、商品も出尽くした感がある中、同時に、SNSをはじめとして、情報を世に送り込む「メディア」も、種類が増え、ますます細分化しています。

それにより、消費者の趣味嗜好も同じように細分化されます。

こうなると、年齢や性別での購買傾向というよりも、趣味嗜好、好みといった、心理的な傾向や、困っていることを解決したいという、ニーズ中心の購買傾向が高くなってきているのです。

つまり、「40代の女性だからこの商品を買いそうだ」という傾向は必ずしもなく、「アンチエイジングに興味がある人たち」が、年齢や性別に関係なく買う傾向になってきているのです。

セリアの今回の決断はこの点を重視したと思われます。

年齢や性別といった数字は、本来の売れ筋商品を見極めるさいのデータとして、逆に「雑音」として社員が受け取ってしまう、ひいては、優先順位を間違えてしまうことにつながる、という理由があったとのことです。

記事にはさらに、ファミマやローソンも同様な措置を取ったとあります。背景には、自社のポイントカードで取れる、顧客情報で十分だ、ということがあるようです。

マーケティングの基本は、売り手側の企業目線ではなく、顧客の視点に立つこと。

そのためには、顧客の本音をいかに吸い取り、その期待を超える製品やサービスが開発できるかが、競争優位の源泉になります。

その出発点になるのが、顧客の行動を観察することで、気づきを得ること。

セリアはまさに、これを実践しているのです。

成長企業はセリアから何を学ぶべきか?

ビッグデータ分析という言葉が流行っています。

特に、インターネットでの販売をしている企業は、アマゾンや楽天を真似て、「顧客データが重要だ」「分析をしなければ!」と意気込み、多くのデータを取ろうとしがちです。

しかし、データはあくまで、分析のためのツールの一つでしかありません。重要なことは、「平時とは異なる異常値に気づき、収益をあげるためにどのようなアクションを取るべきか」ということです。

したがって、顧客分析やデータ収集においては、何でもかんでも数字を集めて、そこから何かを探し出そう、という演繹的な考え方よりも、売りの現場に出向き、

「平時と異なる異常値を発見すること」

「そこから気づきを得ること」

「次のアクションにつなげること」

という帰納的なアプローチの方が、顧客の本音(=インサイト)の発見につながりやすく、ひいては競争優位の源泉になる、独自性を持つ製品開発につながります。

また、この根底には「戦略はやめること」という考え方があります。

企業が持つ、ヒト・モノ・カネ・情報・時間という、経営資源は全て有限です。

経営資源を効率よく活用するためには、やめること、すべきでないことを決め、厳選した戦略の中から、優先順位を決める、選択と集中が不可欠です。

その意味でも、セリアがやめた、顧客データから性別と年齢を削除する決断に、学ぶところは多いと言えます。

image by: MAG2 NEWS

MAG2 NEWS

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