来年上陸!ソフトバンクが44億ドル投資する脱コワーキングスペース「WeWork」

来年上陸!ソフトバンクが44億ドル投資する脱コワーキングスペース「WeWork」

  • @DIME
  • 更新日:2017/12/06
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2010年にニューヨークで創業されたWeWorkは、コワーキングのスペースや貸オフィス、その付帯サービスを提供している。現在19か国178地域で展開し、これまで世界中で16万人のユーザーが同社メンバーに登録し、企業価値が200億ドルと言われるユニコーン企業だ。今年8月にはソフトバンクグループが44億ドルの巨額投資を発表し、日本でもその名を知られるようになった。

日本では2018年、六本木、丸の内、銀座、そして西新橋にはフラッグシップとなるWeWorkが開設される。フリーランスから100人以上の企業まで規模に関わらず、仕事をする場所を貸し出す。同社のプレスリリースによると、フォーチュン500企業の1割が同社のメンバーだという。

筆者はこの秋、ニューヨークの3つのWeWorkを訪問。各コミュニティ・マネージャーにはサービス内容を、入居者には実際の体験談を取材した。WeWorkは日本ではコワーキングスペースとして紹介されることが多いが、実際は「Global network of shared workspaces」(共有ワークスペースのグローバルなネットワーク)を掲げている。まだサービスが開始していない日本ではわかり得ない、WeWorkで実際に働いている人々の現場を紹介したい。

■コミュニティを大切にする働く場所は、築115年の歴史的な建物に

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最初に訪問したのはミッドタウンにある、ブライアン・パークという緑多い美しい公園の向かいの築115年の建物内だ。入口の扉を開けると、グラフィックが鮮やかに描かれた螺旋階段が目に飛び込んできた。同社は社内にクリエイターを擁してスペースのデザインやアートワークを独自で行なっているという。また、その土地や建物の独自性に敬意を払い、例えばこのビルは当初は共和党のクラブハウス、その後はリハビリ施設として使われた歴史があるが、その当時のロゴやグラフィックをモチーフとしてこの階段の壁にデザインしている。

受付には、同社のコミュニティ・マネジメントのスタッフが常駐している。彼らは入居者の事務的なサポートだけでなく勉強会や入居者同士の交流のためのイベントも企画し、さらに彼らのビジネス展開のための良き相談相手でもある。例えば入居メンバーがウェブサイト制作をしたい、あるいは製品の販路拡大のパートナーを見つけたいという希望に対して、対応できる企業や個人をWeWorkのコミュニティから推薦してくれる。

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建物の歴史などがグラフィックで表現された、らせん階段

1Fには、自分の席は決まっていないがどの机を利用してもいい「ホットデスク」の契約者が使えるスペースがある。電源やWi-Fiだけでなく文具やプリンターが常備され、飲み物が無料で提供され、カウンターやソファ、会議室もあり、落ち着いて仕事に集中できそうな場所だ。WeWorkのメンバーであれば世界中のホットデスクが、専用アプリから簡単に予約して利用できるという。

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1Fのホットデスク

上階にはオフィススペースを契約した入居者限定の、個人や企業別に仕切られた独立したオフィスがある。各部屋には契約人数分の机と椅子等の家具が設置され、内装は自分たちでも好きなように組めるという。ガラス張りでぬけ感があり、当然ながらセキュリティはしっかりしている。一方、打ち合わせができる共有スペースや会議室、ソフトドリンクやビールなど飲み物もいつでも自由に手に取れるキッチン、個室の電話ブースも設置されている。共有スペースにはアート作品やネオンを使ったインテリアなどが施され、気分や仕事の目的に合わせて自由にスペースが使える。

さらに、共有スペースでは、外部から講師を招いた勉強会やスピーチ、またデザイン会社によるインスタレーション展示、ハロウィンパーティなど様々なイベントが頻繁に開催される。建物内だけでなく目の前の公園や街の雰囲気も含めて、刺激が多く情報収集や出会いの場所としても絶好の場所といえる。

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ブライアン・パークを見下ろす、内装も豪華な共有スペース(写真はWeWork提供)

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共同スペースのインテリア

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メンバーの共有キッチン

実際にこのオフィスを利用した体験を、2015年からWeWorkに入居しているEmojiのディレクター、Derekさんに伺った。

「まず環境が良い。周りに大学もあって雰囲気がいいし、公園や遠くの橋まで見える眺めが気に入っている」という。「最初はダウンタウンのWeWorkに入居にしていたが、社員数が半年で6倍に増えたのでここに引っ越した。またサンフランシスコやシカゴの WeWorkに支社を置くなど、会社規模やニーズに合わせて迅速に柔軟なサービスが受けられる。引っ越す際も希望のワークスタイルやインテリアをコミュニティ・マネージャーに伝えてオフィスのレイアウトも提案してもらった。ストレスなく、仕事に集中できるのが良い。自分たちで会議室などの共有スペースや事務用品など管理が不要で、オフィスを借りるのに最初に必要な膨大なリース費用もいらず、スタートアップにはありがたい」という。

さらに、「WeWorkスタッフの高いスタンダード、ホスピタリティ、そしてスピーディで親身なサポートが素晴らしい」と良いことずくめのようだ。

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EmojiのデレックさんとWeWorkのマイクさん

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■ NYの各所で、コミュニティとコラボレーションが急拡大中

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次に訪れたのは、ブロードウェイ・ミュージカルが上映されている劇場が多くあり、観光客も多い繁華街の「タイムズスクエア」の一角だ。コミュニティ・マネジメントのデスクに行くと、そこには壁一面のイラストにピンクのネオンはじめエンタテイメント性に溢れた内装が施されていた。目の前にはアーティスティックな動画が流れる大モニター、デザインに凝った風変わりな椅子、そして飲み物がセルフサービスのカウンターがある共有スペースがあり、タイムズスクエアというきらびやかなエリアの特性と建物の中まで見事なつながりだ。

そこに、コミュニティづくりに果敢に取り組んでいる、新任マネージャーのSilverlee(シルバリー)さんが登場。彼女はWeWorkに転職する前に、全米各地でファッション小売店の仕事で成功を収めた経験があり、直近には著名なファッション小売ブランドのニューヨークでのフラッグシップ店舗を取りまとめていたという。大企業でのビジネス経験と、複雑で変化の激しいファッション小売業での経験を持つ頼もしい存在だ。

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コミュニティ・サポートのスタッフのデスクのあるフロアの様子。

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キャッシュレスで支払いできるセルフサービスのキオスク

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他のフロアにもネオンサインがきらめく。

ホットデスク、プライベートなオフィスとそのメンバーのための共有空間という仕切りはどのスペースにも共通している。 WeWorkが準備する部屋には机と椅子、電気などが配置されるが、自分たちでも持ち込める。シルバリーさんによると、このスペースは現在2200メンバーの契約があり、土地柄を反映してクリエイティブ、エンタテイメント、ファッション、スタートアップ等のメンバーが多いという。現在も問い合わせが増えており、すぐ隣のビルにもWeWorkを拡大予定だそうだ。

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オフィスエリアの一例

この建物の目玉は、屋上階17階にあるテラスだ。屋内にはバーや卓球台が置かれたレクリエーションスペースも広がる。テラスに出ると、タイムズスクウェアを上から見下ろす贅沢な空間が広がる。

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キッチンと卓球台が置かれたスペース

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夏にはヨガセッションなども行われる、屋外スペース。

シルバリーさんはWeWork本部にも積極的に提案をしてコミュニティの満足度を高める努力をして、売上アップへの貢献を常に念頭に置いているという。例えば彼女は入居者同士がコラボレーションしてビジネスの機会を増やして成長するためのサポートを心がけているという。その結果、入居者のビジネスが伸長すればWeWorkへの満足度や評判も、またオフィススペースの拡大へもつながるのだ。また、ここではマンハッタンに40か所あるWeWorkのハブ的な役割も担い、毎週定期的にWeWorkコミュニティ・チームの社員が中心に集まり、同社本部からも社員が参加した社内情報共有やネットワーキングを目的としたイベントが行われているという。

入居者のAlexさん(金融サービス会社のマネージャー)に話を伺った。「数多くのメリットのうち一番のメリットは、入居メンバーたちとネットワーキングできること。WeWorkのコミュニティ・マネジメント部のサポートで、自社のシリーズCの推進のための協力会社も実際に見つけることができたし、人材採用もできた。」と万全の笑みで話してくれた。そして「ここのコミュニティの全員が『Play Hard, Work Harder(遊んで、さらに仕事も頑張ろう)』のスピリットを持っているよ」と付け加えた。

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入居者のアレックスさんに話を聞く

3つ目の訪問先は、マンハッタンの南東に位置し、近隣に個性のあるシアターや、カフェ、レストランが並び、落ち着いた雰囲気のアービング・プレイスだ。建物入り口にはWeWorkのステッカー群、そしてエレベーター横の壁にはWeWorkが今年開始した2000万ドルの賞金をかけたクリエイター・アワードの告知ポスターが掲げられていた。そしてロビーを通って気分を知らせるハッピネスメーターと呼ばれるボタンが設置されていた。このボタンは上階のオフィススペースの会議室や電話ボックスにも同様に置かれており、入居者が押したボタンについて本社でデータをとってサービスの向上に役立てているという。

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エレベーター周りにあるポスターやハッピネスメーター

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スタートアップなどでもビジネス経験があるコミュニティ・マネジメントのマシューさんとマイクさん、右側は受付の様子

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共有スペースの様子

ここではハーバード大学のスタートアップハブはじめ、ひとつの組織がワンフロア貸し切って自社の会議室も設置していたり、海外企業が米国企業を買収して急に人数が増えて席数を増したり、広いスペースを占有していることが多い。新興メディアやNPO、弁護士、事業系の会社など実際にビジネスを推進している企業や専門家が入居しており、例えば入居している弁護士はじめサービス企業が同じビル内で顧客を獲得したり、食品会社が入居者を対象に試食会を開催したり、ネットワーキングや協働がとても活発だ。この場所にある1800席数は、今年末までに100%埋まるという人気も当然だろう。

ドイツ本社の時計のオンラインマーケットプレースChrono24の米国担当Christopherさんは「他国では苦労していた新オフィス開設するために、手続きもシンプルですぐに入居できるのが魅力的だった」という。彼自身はWeWorkの活発なコミュニティにより日々恩恵を受けているそうで、今後の事業拡大で増えるスタッフ数を予測して既に広いオフィススペースを確保しておりビジネスも好調そうだ。

WeWorkは様々な組織形態やニーズに対応し企業の躍進を後押しし、入居者の満足度は相当高そうだった。

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メールルームとキッチン

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入居者のクリストファーさん

■ WeWorkのコミュニティの一員となり、イノベーションに関わっていく

WeWorkが目指す「仕事は生きるためだけではなく、豊かに暮らすために」というテーマが、入居者コミュニティ全体に浸透しているのを感じた。施設などのハード面の良さはもちろんだが、コミュニティ・マネージャーはじめスタッフのスキルが高い。単なる大家さんや総務部代行ではなく、入居者と人的な繋がりやホスピタリティも重要視して、ネットワーキングやインスピレーションの提供といった仕事に役立つサポートも行い、信頼関係を築いている。一方でWeWorkのサービスを利用することで仕事から雑務や事務処理に割く時間を減らし、クリエイティビティを引き出し、イノベーションを促進し、入居メンバーのビジネスに貢献している。

WeWorkの目指す「共有ワークスペースのグローバルなネットワーク」とは、世界中のWeWorkコミュニティの一員になること。その動きに実際に触れる絶好の機会が、来年巡ってくる。

2018年の注目は、日本でのサービス開始だろう。「WeWork共同創業者のMiguel Mckelveyは、若い頃3か月間日本に滞在したこともあり、日本を非常に大切なマーケットなので慎重に検討してきた。ついにそれが現実となるのです」と本社の広報担当が説明した。創業者肝いりの日本展開は、本社COOのChris Hill氏が日本のトップとして既に着任し、来年のサービス開始の準備中だ。「その地域の文化やビジネスのやり方を尊重して良さを生かし、そこでビジネスを行う人々とともにイノベーションを起こしていくという手法を大切にしている」(同担当)という。WeWorkがどのように日本のビジネス社会を理解し、融合、コラボレーションしていくのかが興味深い。実際はチャレンジも多だろうが、我々日本でのサービス受け手側も一緒にコミュニティ作っていく、その過程に関わっていくことでグローバルのビジネス展開やイノベーションについて新しい視点が得られるのではないだろうか。

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WeWork日本CEOのChris Hill氏

新規部門はじめ組織の一部署で利用したり、イノベーションやラボの展開、会社からのスピンオフなどでWeWorkのスペースを利用するのも良いだろう。いわゆるホットデスク(フリーデスク制度)であれば、毎月10万円以下でメンバーになれるので手軽だ。すでに自社ウェブサイト上で情報を開示している。また、メンバーでなくても応募できる、2018年7月に東京で開催予定のクリエイター・アワードで新ビジネスやアイデアのコンペに参加するのもひとつの方法だ。

WeWork本社では、自社の成長を推進する手も止めていない。今秋、NYランドマーク的な建物を850億ドルで購入や、教育のプラットフォーム企業の買収、Meetupというオフラインのコミュニティをオンラインでつなぐサービスの買収発などの発表し、さらにAirbnbとの提携やWeLiveとして働く人々のための住居サービス開始を開始した。

現在、WeWorkに続く働くスペースと付帯サービスを提供する企業は世界中で急速に拡大している。単にコワーキングスペースの話ではない、個人や企業のイノベーションに関わるビジネスの核心となる課題だ。まず第一歩として、日本でのWeWorkコミュニティに何かしら関わっていくことを強くおすすめしたい。

取材・文・写真 / 望月奈津子

ムーンライトウェイヴ代表。グローバル企業でマーケティングや広報に携わった後、幅広いネットワークとビジネス経験による企業広報のアドバイス、海外視察や研修などを行う。メディアへの寄稿により海外のイノベーション現場も報じている。

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