【テレビの開拓者たち / 李 闘士男】ジャニーズWEST主演「炎の転校生REBORN」は“アホ”が詰まった学園ドラマ!?

【テレビの開拓者たち / 李 闘士男】ジャニーズWEST主演「炎の転校生REBORN」は“アホ”が詰まった学園ドラマ!?

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  • 更新日:2017/11/14
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りー・としお=1964年5月13日生まれ、大阪府出身

「投稿!特ホウ王国」(1994~1996年日本テレビ系)、「タモリのジャポニカロゴス」(2005~2008年フジ系)といったバラエティーから、「ガンジス河でバタフライ」(2007年テレビ朝日系)などのドラマまで、さまざまなテレビ番組を手掛け、さらには「お父さんのバックドロップ」(2004年)で映画界にも進出、以降も「デトロイト・メタル・シティ」(2008年)、「幕末高校生」(2014年)といった映画作品の監督も務めている李闘士男氏。そんな彼のドラマ最新作「炎の転校生REBORN」が完成。現在Netflixで全世界190カ国に同時配信中だ。メディアやジャンルの垣根を越えて活躍する李氏が、この新作ドラマの話を中心に、自身のモノ作りのポリシーを明かしてくれた。

7人の転校生・翔(カケル)が全国の学校に極秘潜入し、問題を解決する痛快学園ドラマ「炎の転校生REBORN」。ヒロインを川島海荷が演じている

■ こんなムチャクチャな原作をよくぞ見つけてきましたねって(笑)

──李監督の最新作「炎の転校生REBORN」は、「アゲイン!!」(2014年TBS系)以来のジャニーズWEST主演の学園ドラマになりますね。

「そうですね。僕はあのときは藤井流星くんとしかやってないので、他のメンバーとは初めてになります」

──80年代のコミック「炎の転校生」を原作にしたドラマという企画は、プロデューサーからのご提案だったとか。

「島本和彦さんの作品ということで、世代的に僕も知ってるはずなんですけど、たまたま読んだことがなくて。お話を聞いてから読んだら、こんなムチャクチャな原作をよくぞ見つけてきましたねって思いました(笑)。最近は等身大というか、分かりやすい作品が多いじゃないですか。この原作は何が起きるか、物語がどうなっていくのか、全く分からない。こんなムチャクチャでアホらしい作品をドラマでやるなんて正気ですか?って。もちろんいい意味で、ですよ」

──(笑)。そんないい意味でのアホらしさが表現された、振り切ったドラマですね。

「最近のテレビ局の若いスタッフはあまり冒険をしなくなってきてますから、そんな中ではおっしゃる通り、久しぶりに『振っちゃいました!』って感じですね(笑)。ある意味、『デトロイト・メタル・シティ』のとき以上じゃないかと」

──1話20分強の中に込められた映像の情報量が濃密な作品ですね。ながら見するテレビではなく、集中して見るネット番組向きだなと思いました。

「映画やドラマでは普通、台本を映像化するのに、1ページあたり50~55秒って言われてるんですね。ところが僕の場合、46秒しかないらしくて。自分では決してテンポを速くしているつもりはないんですけど、そういう性格なんでしょうね。特に今回は主人公が7人いて、それぞれにいろんなことが起こる話なので。映像の情報量という意味ではCGもたくさん使ってるし、そう見えるんじゃないかなと思います」

■ ジャニーズWESTは7人とも勘がいいし、人を楽しませようという精神がある

──原作の未来の物語ということで、完全なオリジナルストーリーですが、7人が1話ずつ主役を務めるというアイデアはどのようにして生まれたものなのでしょうか。

「その辺は、作家さんとの打ち合わせの中で、7人を主役にしてこのドラマをやるにはどうしたらいいんだろうって考えて。7人がなぜ集められたのかという設定は一番考えたところですね。それは最終回まで見ていただくと分かるんですけれども」

──原作では主人公だった転校生が学園の校長先生になっているという設定ですが、役者さんに演じさせるのではなく、人形にしたところが面白いですね。あの主人公の未来の姿なんだということがビジュアル的に分かりやすくなっていて。

「原作の主人公が年を取った姿を年配の役者さんが演じても伝わりにくいですからね。じゃ、人形でいいんじゃないの?なんて話になって。モノを考えるときって、理屈で詰めていく場合と、『これ面白いんじゃない?』なんてパッと思い付きで行く場合とありますけど、この作品に関しては完全に後者でしたね」

──主人公たちが派遣される学校の校舎に飾られているオブジェも毎回凝っていますね。

「あれは原作にも出てくるので、そのオマージュですね。この作品のアイコンみたいな感じ」

──異次元空間への入り口というムードが出ていると思います。

「そうそう、そうなんですよ。コメディーですから、最初の何分かで『この作品は笑って見ていいんだよ』って教えてあげないといけないかなと思って。そうしないと、間違えてマジメに見る人も出てきちゃいますからね。リラックスして見ていいんだよって、早めに教えてあげるつもりで作りました」

──また、1話ごとにさまざまな作風のドラマになっているところも面白い。

「僕も今までいろいろやってきたので、ドラマっぽく撮ったり、バラエティーっぽく撮ったり、という撮り分けはしました。ヨーロッパ企画さんに出ていただいた回は、あえて彼らのユルい感じをライブ的にそのまま見せたり。ドラマ全体の見どころで言うと、誰にでも分かるベタなギャグも、そうではないシュールなギャグも入ってるので、作り手の仕掛けは深いんだぞっていうことがどこまで伝わるかなという不安も若干あるんですけど(笑)」

──ジャニーズWESTの皆さんもかなりノッて演じてらっしゃいますね。

「7人とも勘がいいし、人を楽しませようという精神がある。神山(智洋)くんなんて、けっこうダサい役なんですけど、喜々として演じてるし、他のメンバーも『おまえ、オイシイな』とか言ってますからね。そういうところが素晴らしいですよ、彼らは」

──李さんにも、これまでの作品を含めて、人を楽しませようというサービス精神を感じます。

「僕らの仕事って、クリエーターというより、サービス業だと思ってますから。喜んでもらってナンボ。ディレクターとか監督って偉そうにしてますけど、所詮1人じゃ何もできないんですよ。役者さんや作家さんやカメラマンさんたちに仕事していただかないと。いわば、料理人と一緒ですね。素材や器具があって初めて料理が作れる、という。だから結局、大事なのはコミュニケーションなんですよね。気の合う人と仕事するということが、いかに相乗効果でいいものを作れるかっていうことで」

■ 人の不幸を売り物にすることは絶対にやらない。テレビって夢の箱だと思うんですよ

──李監督はもともと、バラエティーのお仕事がメインだったんですよね。

「最初はドキュメンタリーですね、学生時代でしたけど。僕が今までやったことのないジャンルって、スポーツ中継くらいですよ。ニュース番組もやったことありますから。ドキュメンタリーから始めてだんだん分かってきたのは、われわれの仕事は、“HOW”よりも“WHAT”が大事だということ。まず何を撮りたいのかがあって、その上で、それをどう撮るのか。でも最近は、HOWを先に考えちゃう作り手が多い気がするんですよ」

──その当時からドラマや映画を撮りたいというお気持ちはあったんですか。

「いえいえ、全くなかったです。ただ、あるときに『ドラマの演出家は“監督”って呼ばれるのに、どうしてバラエティーの演出家だと“李ちゃーん!”になっちゃうんだよ』ってスタッフに言ったことがあって(笑)。『じゃあ、ドラマ撮ってみます?』って言われて初めてやったドラマが『美少女H』(1998年フジ)だったんです」

──オムニバス第6話の「屋上の聖戦」ですね。第5話までは青春ものや恋愛ものが中心だったところへ全く新しい作風が持ち込まれたきっかけでした。

「他の人の作品は全く知らずに撮ったんですけどね。周りにバラエティー畑のブレーンしかいなくて、『さて何をやろうか…女子高生がヤクザと対決するのとか、どう?』なんて話してるうちに、雑居ビルの屋上で卓球対決をする、という設定になって。本当は、その1作だけでドラマは終わりのつもりだったんですけど、『美少女H』が放送されてしばらく経ったころに、当時(フジテレビ)広報局長で、かつては『北の国から』(1981年ほかフジ系)のディレクターも務められていた山田良明さんから呼び出されたんですよ。何か問題でも起こしたかなと思ったら、『この間のドラマ、良かったよ。今までどんなドラマを撮ってたの?』って聞かれて。それで正直に『あれが初めてです』って答えたら、『あれで初めてなの? もっと撮りなよ。俺からも言っとくから』なんて言っていただいて。そこから、その後もドラマも撮るようになった感じですね。『世にも奇妙な物語』(1990年~フジ系)だったり」

──話は戻って、バラエティーについてお聞きしますが、李監督は、さまざまなスターの方々と一緒に、さまざまな番組を作られてきていますね。

「いわゆるバラエティーでメインを張ってらっしゃる方で、僕がご一緒したことないのは明石家さんまさんと島田紳助さんくらいなんですよ。とんねるずともダウンタウンとも番組をやったことある人って、そうはいないんじゃないですかね。SMAPと嵐の両方とも、とか。そうやって、いろんな方といろんな番組をやらせていただけたのは、他の人にはなかなかできない経験でしょうね」

──そんな経験が可能だった理由は何だと思いますか。

「もちろん僕はご一緒する方には敬意をもっているんですが、タレントさんって基本的にはマゾだと思っていて(笑)。僕は割と、『もっとこうしましょうよ』とか他の人は言わないようなこともどんどん口にするので、そういう性格がいい方に転がったんじゃないですかね。臆せずにモノを提案するところをかわいがっていただけたのかなと。

あとは僕の場合、演出だけじゃなく企画から自分で立ち上げることが多いんですよ。こんな番組を作りたいとテレビ局に提案して、そこから、さて誰に出ていただきましょうか、というパターンが多い。『(タモリの)ジャポニカロゴス』も、まず企画を出してから、この番組ならタモリさんが適任なんじゃないか、じゃあお願いしてみよう、という順番で。そういう感じだから、結果的にいろんな方とご一緒できてるんじゃないかと思います」

──バラエティーもドラマも含めて、李監督が番組を作る上で最もこだわっていることは何ですか。

「人の不幸を売り物にすることは絶対にやらない、ということですね。テレビって夢の箱だと思うんですよ。かっこいい刑事ドラマにしても、バカバカしいコントにしても、ちょっとエッチな番組にしても(笑)。僕はやっぱり、おもろかったなー、元気になったなーって思ってもらえる番組を作りたい。映画にしてもそうで、僕はアンハッピーな終わり方をするものは絶対に作りたくない。そういう映画が高い評価を得るっていうのも分かるんですけど、それは他の人がやればいいんじゃないかなと思いますね」

──では今後、どんな作品を作ってみたいですか。

「バラエティーにしろ、ドラマにしろ、アホなものを作っていきたいなと思います。今回の『炎の転校生REBORN』で改めてそう思いました」

──ところで、今回のインタビューは「テレビの開拓者たち」というタイトルなんですが、ご自分がテレビ界に貢献できているなと感じることはありますか。

「僕が一緒にやってたスタッフには、今、第一線でバリバリで活躍しているやつが多い、ってことですかね。自分が育てたとは言わないですけど、僕は“スタッフ再生工場”って言われてますんで(笑)。このダメなディレクターを何とかしてやってくれなんて頼まれたりね。バラエティーは特にそうですけど、正解って1つじゃないし、その人に合った答えがあるはずなんですよ。これが答えだって押し付けちゃうのは絶対によくない。とりあえずチャンスを与えて、やらせてみてから教えた方が早いと思うんです。要は、テレビの世界ってアホなやつのほうが向いてるんです。僕なんか、他の業界に行ったら絶対に何の役にも立たないですから(笑)。この世界があってよかったなと思いますね。…って、こんなんで答えになってます?(笑)」

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