人生100年構想 大風呂敷を広げ過ぎても

  • 西日本新聞
  • 更新日:2017/09/16

将来の「人生100年」時代を見据えて誰もが豊かに生きられる経済・社会システムを整える-という。安倍晋三首相は「安倍内閣の最大テーマだ」と断言した。

問題意識に間違いはない。しかし、一人一人の生き方にも関わる課題である。付け焼き刃的な目先の対応では手に負えないことを覚悟して臨んでもらいたい。

首相が先月の内閣改造に合わせて新たに掲げた「人づくり革命」で、19~82歳の有識者13人と関係閣僚による「人生100年時代構想会議」の論議が始まった。

年内に中間報告をまとめ、来年6月をめどに今後4年間に実行する政策の基本構想を打ち出す。

4年で何がどこまでできるのか。具体的課題として政府は、教育の無償化と社会人の学び直し▽これに対応する高等教育改革▽採用の多元化と高齢者雇用の推進▽全世代を対象にした社会保障制度という四つのテーマを挙げる。

どれも難題だ。月1回程度の構想会議で実効的な政策が固まるのだろうか。政府が挙げるテーマだけで新たな経済・社会を構築できるのか。疑問は尽きない。

全てに財源が絡む。幼児教育・保育の無償化一つとっても、ゼロ歳から5歳までで年間1兆2千億円、3~5歳に絞っても7千億円以上必要との試算もある。

首相が2度も先送りした消費税率引き上げなどの増税か、小泉進次郎氏ら自民党若手が提案する社会保険料上乗せによる「こども保険」の導入か-。

いずれにしても深刻な財政赤字に苦しむ中で膨大な財源をどう手当てするかが鋭く問われよう。国民的な合意の形成も不可欠だ。

であるなら、漠然とした「人生100年」や「人づくり革命」などと大風呂敷を広げず、未解決の待機児童解消や介護人材確保など具体的課題にじっくり腰を据えて取り組むべきではないか。

「地方創生」「女性活躍」「1億総活躍」など首相が打ち出してきた目玉政策はスローガン先行の印象が否めない。今度は有言実行となるのだろうか。

=2017/09/16付 西日本新聞朝刊=

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