日ハム・清宮幸太郎、誕生!巨人じゃなくて、本当によかったね

日ハム・清宮幸太郎、誕生!巨人じゃなくて、本当によかったね

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2017/11/12
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日本中が固唾を呑んで見守っていたスーパー高校生の進路が、ついに決まった。12球団一の育成ノウハウを誇るチームで、高校野球史上もっとも多くの本塁打を放った怪物の新たな野球人生が幕を開ける。

誰が見てもベスト

清宮幸太郎(18歳・早稲田実業)本人にとっても、日本球界にとっても、最良の結果だろう。

現阪神・福留孝介(当時PL学園)以来、実に22年ぶりとなる7球団の競合の末、「当たりクジ」を引き当て、清宮との交渉権を獲得したのは、日本ハムの木田優夫GM補佐だった。

「本当に日本の宝となる選手だと思う。どうしても欲しい選手だったので良かった。ぜひファイターズに来て、思い切り野球をやってください」

興奮さめやらず、どよめく会場や落胆を隠せない他球団の監督、フロント陣をよそに、淡々と語る木田GM補佐の姿からは、清宮育成への自信が滲み出していた。

「誰が見ても、清宮くんにとって日本ハムは最高のチームでしょう。大谷翔平を育てた経験値で、『スーパースター』の扱い方は心得ているし、フロントにも栗山英樹監督にも、腰を据えて若手を育てる『胆力』がある。

彼が常々公言しているメジャー挑戦にも理解がありますから、ベスト・オブ・ベストです」

野球評論家の金村義明氏がこう言うように、日ハムは大谷のほかにも、主砲の中田翔、4年目で盗塁王を獲得した西川遥輝、今シーズンの前半で「4割バッター」として一躍大ブレイクを果たした近藤健介など、高卒野手を短期間で次々と育て上げており、清宮が日本最強のスラッガーに成長するには最高の環境になる。

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「プロの世界は、またまったく別の世界だと思っている。しっかり自分のやるべきことをやって、自分を信じてプロの世界でもやっていければと思っています」

プロ志望届提出期限のギリギリまで大学進学とのあいだで悩んでいた清宮だが、ドラフト会議直後の会見では、すでにプロに進む意志が強固であることを感じさせた。

アマチュア野球をつぶさに見て回っているスポーツライター・安倍昌彦氏は「清宮はプロという選択をして正解だった」と言い切る。

「残念ながら、いまは早稲田大学だけでなく、大学球界全体を見渡しても清宮に肩を並べるようなバッターや、彼を完全に沈黙させられるようなエースは見当たらない。

ライバルのいない環境でトッププレイヤーになっても、彼の成長を考えたらいいことはなにひとつない。彼に必要なのは、プロですごいヤツらを目の当たりにして、びっくりして、打ちのめされるような試練ですから」

高卒野手が育たない巨人

9月22日のプロ志望表明会見以降、「最大10球団競合もあり得る」と言われた清宮の獲得合戦だが、実際に入札したのは7球団に絞られた。

「やはり、あの『面談』は相当効いたんですよ」と囁くのはスポーツ紙の高校野球担当記者だ。

面談は、ラグビーのトップリーグ、ヤマハ発動機監督の父・清宮克幸氏、母・幸世さんも同席のもと、各球団が育成方針や施設など、自チームのセールスポイントを入れ替わり立ち替わり売り込む、「プレゼン合戦」の様相を呈した。

「はっきり言えば、あれは清宮側による球団の『選別』です。『おたくから指名されることは望んでいませんよ』と、遠回しに申し渡す場として設定されたようなもの。

球団側が持参した資料に対して、お父さんから鋭いツッコミが次々と入れられたそうです。

あるスカウトは、『ソフトバンクの練習環境と比較されて非常に困った。あそこと比べられたらお手上げだよ』とボヤいていました。中村(奨成。広島が交渉権獲得)指名に舵を切った中日など、あれで諦めた球団は少なくない」

こうして、競合球団は減ったものの、12球団でもっとも早く1位指名を断言していた阪神、面談に社長以下5人もの布陣で繰り出し、なりふり構わぬ姿勢を見せた巨人は、結果的に日本ハムにさらわれた。

「まあ、あの2チームでなかったのは、清宮くんには幸いでしたね」と苦笑するのは、ヤクルトでスカウト、編成部長を歴任した片岡宏雄氏だ。

「やっぱり、巨人と阪神はプレッシャーがキツすぎる。早くから不動の3・4番を打てるような成績を残せれば別ですが、結果が出なかったときに、切られるスピードもまた早い。

近年、あの2チームで高卒の長距離砲がスタメンに定着した例がありませんから。日ハムとは対照的ですよ」

とりわけ、巨人はゴジラ2世と期待された大田泰示を日ハムに放出し、高校通算73本塁打を放った岡本和真もいまだ結果を出せていない。

いずれもドラフト1位で獲得した高卒長距離砲を育てあぐねている現状を考えれば、高橋由伸監督がクジを「外した」ことは清宮にとっても幸いというべきだろう。

2~3年で三冠王も狙える

「清宮は順調に育てば松井秀喜を超えられるような逸材ですからね。ゆくゆくは日本のプロ野球を背負わなければいけない。責任は重大ですが、日ハムなら心配はない」と語るのは野球解説者の江本孟紀氏だ。

「彼が活躍するには、とにかくひたすら試合経験を積ませることが一番の近道ですが、日ハムには中田翔を育てた実績がある。

打率は毎年2割前半から半ばをウロウロしているけれど、栗山監督が伸び伸びやらせたおかげで、コンスタントにホームランを打てる選手になった。

高校3年生時点で見れば、松井より清宮のほうがより柔軟性があります。あのスイングの速さはプロの選手と比べてもトップクラス。加えて彼の場合は、器用さがある。

プロの選手でも無茶振りをして、それを『フルスイングだ』という選手がいますが、似て非なるものです。

清宮は、手首や肩の柔らかさを生かして、無理せずスイングスピードを出している。あれは天性のものです。素質的には、この2~3年の内に三冠王もじゅうぶん狙えると思いますよ」

江本氏が「松井以上」と絶賛する清宮の才能を、12球団で最高の育成力を誇る日ハムが順調に育て上げれば、松井が'02年に残したキャリアハイの3割・50本塁打をクリアすることも決して夢ではない。

さらに、日ハムは今オフ、清宮と同じファーストの中田翔がFA権を取得した。仮に中田がFAで移籍した場合は、一年目から即レギュラーも期待したくなる。

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だが、野球評論家の藪恵壹氏は「日ハムは最初は二軍でじっくり育てるのでは」と予想する。

「日ハムは、野手であれば『ファームで300打席は打たせる』とか、明確な基準を持って育成するチームです。与えられた機会の中できっちり結果を残さないと、一軍へは行けない。

ファームである程度、プロ生活の流れがわかって、その中で余裕が出て、彼本来のバッティングができれば、夏ごろには一軍に昇格できるかもしれない」

では、清宮が高卒ルーキーとして3割30本を記録した清原和博並みの活躍を見せるためには、何が必要となるのか。

清宮は2年秋の東京大会決勝で対戦相手の日大三高の左ピッチャーから5打席連続三振を取られて以降、「インコース高めで身体を起こされると、外のスライダーに対応できない」という弱点がよく指摘される。

しかし、前出の藪氏は「プロ入り後に清宮が苦しむのは、むしろインコースだろう」と語る。

「清宮くんの利き目はおそらく左目です。左バッターの場合、左が利き目だと、右投手がインコースにスライダーを投げてくると死角になる。足元にサッと流れてくる球です。同じく利き目が左の松井も、現役時代はそこにフォークを投げるのが打ち取るための『セオリー』になっていた。

ただし、同じ左バッターでも、イチローは利き目が右だったのでインコースを苦にしなかったのです。

清宮くんは、たとえば自分の見やすいほうに顎を向けたり、右足を少し引いてオープン気味に構えて視界を広げるとか、そういう対処法を身につける必要がある」

こうした技術面への指摘に加えて、清宮には精神的な成長を求める声も多い。

「日ハムは、木田GM補佐が『ファイターズが理想としている選手になれば社会でも通じる』と断言するほど、選手の人間性を重視する球団で、年末の年俸の査定項目には全力疾走やファンサービスへの注力が盛り込まれている。

ある主力選手がファンサービス査定が悪くて放出されたこともあるほど、入団年次を問わず徹底されています。

清宮はバッティングに対する自身の理想が高いぶん、打ち損じると露骨に残念そうな顔をして全力疾走を怠ったり、守備では大事な場面でポロッとエラーすることがある。そういう部分を叩き直してもらうのにも、日ハムの環境は合っています」(スポーツ紙日ハム担当記者)

「特別扱い」しないからいい

加えて、日ハムでは入団後、高卒5年目までは実績のいかんにかかわらず、すべての選手が寮での生活を義務付けられ、毎日の読書や日誌の提出も求められる。これは、大谷翔平も通った道だ。

清宮克幸氏の息子という、生まれながらのアスリート性に加えて、中学生時代から3番エースとしてリトルリーグ世界選手権で優勝するなど、常に世間の注目を集める存在であり続けてきた清宮にとっては、生まれて初めて「特別扱い」されない空間に身を置くことになるのだ。

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「育った環境を考えれば仕方ないのでしょうが、清宮は精神的にまだまだ受け身の部分があります。

プロ入り表明の会見がいい例で『自分のことを厳しく育ててくれる球団』という表現をしていた。聞こえはいいですが、誰かに育ててもらうという意識が抜けていない。

プロは、自分で努力を重ねてもがきにもがいて初めて、コーチからアドバイスをもらえる世界。DeNAの筒香なんかも受け身でのんびりしたタイプでしたが、二軍で徹底的に鍛え上げられて、顔つきまで変わった。

その点、日ハムは、とにかく自分で考えさせるチームですから、清宮にもきっといい成長をもたらしてくれるはずです」(前出・安倍氏)

松井以来の日本人打者による3割50本超え――。球界待望の主砲が、北の大地に君臨する日はもうすぐだ。

「週刊現代」2017年11月11日号より

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