ベルギー代表、爆発的攻撃力で欧州を席巻。日本と対戦、スター軍団は30年ぶり国民の希望に

ベルギー代表、爆発的攻撃力で欧州を席巻。日本と対戦、スター軍団は30年ぶり国民の希望に

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  • 更新日:2017/11/14
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ベルギー代表には多士済々のアタッカーが揃う。攻撃力は欧州随一だ【写真:Getty Images】

個性派揃いのベルギー代表。W杯欧州予選は最速突破

14日に日本代表と対戦するベルギー代表は、ロシアW杯予選で欧州を席巻した。武器は爆発的な攻撃力。選手選考でも指揮官を悩ませる戦力の充実ぶりを誇り、ベルギー国民は代表チームに30年ぶりの夢を託す。彼らに弱点はあるのか、そして日本戦はどんな意味を持つ試合になるのだろうか。(取材・文:中田徹【ベルギー】)

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ロシアW杯出場を決めているベルギーは、新しいユニホームで11月10日、メキシコとの親善試合を戦った。特徴的なのは、胸に織り込まれたダイヤ模様だ。1984年フランス欧州選手権に出場した際のユニフォームに似せた「レトロユニホーム」としてデザインされた。

このユニフォームの情報が事前に漏れた時、ベルギーの人々は「あ、86年のユニホームと同じだ」と勘違いした。今から30年以上前、メキシコの地でベルギーはW杯3位という偉業を成し遂げたのだ。メキシコから凱旋したチームを讃えるため、ブリュッセルのグランプラス広場にベルギー国民が殺到したのは今もなお語り草だ。夢よもう一度――そう、ベルギー人は現在の代表チームに希望を託している。

メキシコW杯の時のベルギー代表は、3位でグループリーグを勝ち上がったことからも分かるように、大会のアウトサイダー的存在だった。試合の運び方も、しっかり守って鋭くカウンターで攻めきるというスタイルだった。

しかし、今のベルギー代表に対する期待値は大会前から高い。何しろ、ヨーロッパ内でロシアW杯予選突破を最速で決め、さらに予選10試合で決めたゴール総数はドイツと並ぶ43。この数字は、2000年欧州選手権予選でスペインが作った42ゴールの記録を更新するものだった。現在のベルギーは、試合のイニシアチブを握って、攻撃的に戦う集団へとチームカラーがガラリと変わってしまった。

爆発的な攻撃力を武器とするだけに、とりわけ中盤とFWは人材の宝庫だ。ケビン・デ・ブライネ、ドリース・メルテンス、エデン・アザール、ロメル・ルカク、マルアン・フェライニ、アクセル・ヴィツェル、ムサ・デンベレ……。いずれも高い実力を誇り、個性の強い実力者たちが揃う。

激しさを増す攻撃陣の競争。泣きどころは守備か

ロベルト・マルティネス監督がフォローしている選手は50人余り。「各ポジションに、多くのオプションがある。5月、W杯のメンバーを23人に絞り込む時。それが私には恐ろしい」とまで指揮官は口にする。セリエAで旋風を起こしているサンプドリアの中心選手、デニス・プラートですら、代表に呼ばれる兆候がないのである。

激しい競争の中で、チャンスを掴みかけている選手もいる。エデン・アザールの弟、トルガン・アザールだ。10月10日のキプロス戦で大きくメンバーを入れ替えたマルティネス監督は中盤にトルガン・アザールを抜擢。気鋭の24歳はその期待に応えてゴールを決めるなど、チームの4-0の勝利に貢献し、ベルギー国内での評価を大いに高めた。

「トルガンはなぜベルギー代表の一員なのかを示してくれた。私がチェックしたボルシアMGの試合で、彼はアディショナルタイムに決勝点となるPKを決めた。そのことが、彼の持つキャラクターを表してる。彼の成長は著しい。1年前のトルガンとは全く違うプレーヤーになった」(マルティネス監督)

攻守に粘りのあるプレーを見せ、ミドルパスに定評のある多機能MFユーリ・ティーレマンスも、キプロス戦で見る者を唸らせた。

だが、昔は守備に定評のある国だった割に、DFの層の薄さが問題として取り沙汰されている。11月の代表マッチウィークではトビー・アルデルヴァイレルトが負傷のためメンバーから外れ、ヤン・フェルトンゲンがメキシコ戦を欠場したが、この2人はやがて復帰するだろう(フェルトンゲンは日本戦出場の可能性あり)。

しかし、問題は負傷ばかりのヴァンサン・コンパニと、バルセロナで出場機会がほとんどないトーマス・ヴェルメーレンだ。ヴェルメーレンには「出場機会を求めて冬の移籍市場で新チームを探すべき。さもなければ、代表は難しいかもしれない」という辛らつな意見もある。

マルティネス監督は3バックを採用している。「もし、コンパニとヴェルメーレンをロシアW杯で欠いたら、フェルトンゲン、アルデルヴァイレルトと組むもう一人のセンターバックは?」という問いに、明確な答えが出ないのが今のベルギーである。11月10日のメキシコ戦(3-3)での最終ラインはローラン・シマン、デドリック・ボヤタ、ヴェルメーレンという並びだったが、機能しなかった。

3バックの長所と短所。日本戦が持つ意味とは

ベルギーにとって長所であり、短所であるのもウイングバックシステムの採用だ。

ベルギーが強豪国の仲間入りをしたマルク・ヴィルモッツ時代は、4-3-3フォーメーションを基調としたシステムを採用していたベルギーだが、今予選からロベルト・マルティネスが指揮を取り始めてから3-4-2-1など、「3バック」+「ウイングバック」を置くシステムに変わっている。

新システムの利点は、サイドアタッカーのカラスコを左ウイングバックにコンバートしたことで、左ウイングのエデン・アザールと同サイドで共存することに成功したこと。ヴィルモッツ前監督はカラスコを右ウイングに置いたが、少なくとも代表チームではうまく機能しなかった。

ウイングバックシステムの採用によってブレイクを果たした選手も表れた。右ウイングバックを務めるトマ・ムニエだ。それまで右サイドバックを本職としていた身長190cmの26歳は、今予選でチームトップの7アシストを記録。8月31日のジブラルタル戦(9-0)では3ゴール4アシストと大暴れした。本人がメキシコ戦後に夏の移籍市場でチェルシーからオファーがあったことを認め、欧州で注目を集める存在になっている。

だが、相手チームにとっては、ベルギーのウイングバックが攻め込んだ裏は狙いどころにもなる。ベルギーがW杯出場を決めた9月3日のギリシャ戦は2-1で勝利したものの、ギリシャがしっかりベルギーに対する策を立て、カラスコとムニエの裏を突き続けた。

現在、カラスコは負傷のため代表から外れており、メキシコ戦ではナセル・チャドリが左ウイングバックを務めた。マルティネス監督はアドナン・ヤヌザイもウイングバック候補として見ており、14日の日本戦での抜てきもありえる。

11月の代表マッチウィークを、マルティネス監督は「W杯を見据えてヨーロッパ外との国と試合をするのが大事。11月はメキシコ、日本。そして3月はおそらく南米、アフリカの国と試合を組むことになると思う」と語っていた。

メキシコ戦が3-3という撃ち合いの末、引き分けに終わると、「メキシコは1対1の状況を作って、盛んに仕掛けてくるチームだった。このようなサッカーをする国は、ヨーロッパではなかなかなく、良いテストになった」と振り返った。間違いなく「得たもの」があったのだ。日本戦後、指揮官は一体何を語ってくれるだろうか……。

(取材・文:中田徹【ベルギー】)

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