年金を貰いながら働いている人が10月の年金振込額に驚く理由

年金を貰いながら働いている人が10月の年金振込額に驚く理由

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  • 更新日:2019/10/11
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高齢者を雇用する企業が増え、年金を貰いながら厚生年金に継続加入して給料を貰う人も増えている昨今。そんな年金受給者にとって気になるのが、給与が上がることによって変更される「年金停止額」について。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、毎年10月に反映される年金が変更される理由から、在職中の年金停止額についても詳しく解説しています。

10月は年金振込額が減ったり、厚生年金保険料天引き額が変更したりしやすい理由

高齢者の雇用がほぼ普通に行われる時代になり、それとともに厚生年金に加入して給料をもらう事で年金が停止されるという人も多くなるという事でもあります。で、10月の年金振り込み時は、何かとその影響が目に見えるようになる事が多い時期でもあります。それはなぜかというと、年金停止の計算に用いている給与(標準報酬月額)の変更が9月に行われるからです。9月から新しい標準報酬月額に変更された時に、その額が高くなってしまう人は年金停止額が増えて、支給される年金が減ってしまいます。逆に給与が下がってた人は年金停止額が減ったりもしますけどね。

10月15日年金振込額は前2ヶ月分である、8月分と9月分なので、9月分から標準報酬月額が高くなって9月分の停止額が高くなると10月振り込みの年金額が減ってしまうというわけですね。

なお、標準報酬月額が変更される時に用いる給与は4月、5月、6月に受けた給与を合計して、平均したものを標準報酬月額表というものに当てはめて標準報酬月額を決めます。原則としてはそのようにする。たとえば、4月給与が564,800円、5月給与が572,766円、6月給与が550,000円だったら合計が1,687,566円で、3か月平均すると562,522円となります。下記リンクの標準報酬月額表を見てみると、29等級の545,000円~575,000円の間に位置しますよね。

標準報酬月額表(日本年金機構)

なのでこの場合の標準報酬月額は29等級にあたる560,000円となり、新しい標準報酬月額は9月から適用になります。この新しい標準報酬月額は翌年8月まで適用される。厚生年金に加入して厚生年金保険料を納めている人は、この56万円に厚生年金保険料率18.3%のうち半分の9.15%である51,240円を給与から天引きされる事になります。天引きの際その月の保険料は翌月の給与から天引きとなる。だから10月の給与から天引き額の変化に気付く。

ところでなぜ18.3%の半分を納めればよいかというと、会社と従業員で半分ずつ(折半)して保険料を納めるからです。よく会社がなかなか社会保険に加入させてくれないというような話があったりしますが、会社としての負担が増えるからですね^^;とはいえ一定の条件を満たした人は強制的に厚生年金に加入させないといけないので、会社が加入させたくないといっても加入させないといけません。

そして、もしこの標準報酬月額が等級が上がって59万円となると…支払う保険料も増えますが、今貰ってる老齢厚生年金の停止額も多くなったりします。今日はその年金停止がかかる、在職老齢年金の基礎を見ていきましょう。

1.昭和30年6月13日生まれの男性(今は64歳)

何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)

20歳になる昭和50年6月から大学を卒業する昭和53年3月までの34ヶ月間は国民年金に強制加入ではく、任意の加入だったが任意加入して親が34ヶ月間のうち20ヶ月間支払ってくれていた。なお、昭和53年4月から大学院に行く事になったが、昭和53年6月に急遽就職して大学院を辞めた(4月、5月の2ヶ月間は任意加入で親が国民年金保険料支払う)。

学生は保険料負担能力が低い時期なので平成3年3月までは国民年金には強制加入させてはいなかった(定時制、夜間、通信制などは強制加入だった。専門学校生は昭和61年4月から任意加入扱い)。任意で加入していない14ヶ月間は年金受給資格期間最低10年を満たすためのカラ期間となる(22ヶ月間が納付済み期間)。

昭和53年6月から62歳の前月である平成29年5月までの468ヶ月間は厚生年金に加入。なお、昭和53年6月から平成15年3月までの298ヶ月間の平均給与(平均標準報酬月額)は38万円とし、平成15年4月から平成29年5月までの170ヶ月間の給与と賞与の合計を平均したもの(平均標準報酬額)は42万円とします。

60歳になる平成27年6月以降も継続雇用で働いてるものとします。60歳到達時の賃金は40万円でしたが、やや給与が落ちて30万円(標準報酬月額30万円)で働く事になった。賞与は無し。62歳(平成29年6月12日到達)となり、この男性は自分の老齢厚生年金の受給権が発生したので請求した。

厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)

・62歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)→38万円×7.125÷1,000×298ヵ月+42万円5.481×÷1,000×170ヵ月=806,835円+391,343円=1,198,178円(月額99,848円)

そして、62歳以降も年金貰いながら厚生年金に加入して働いてるから在職老齢年金による年金停止がかかる場合がある。停止額を算出する際は年金月額99,848円と、標準報酬月額30万円と「直近1年間に貰った賞与を12で割った額」の合計(総報酬月額相当額)を用いる。直近1年に賞与なし。

在職老齢年金による停止額→{(総報酬月額相当額30万円+年金月額99,848円)-65歳未満の停止基準額28万円}÷2=59,924円

つまり、年金月額99,848円-停止額59,924円=39,924円が在職中の毎月の年金振込額。年金は偶数月に前2ヶ月分を支払うから、39,924円×2ヵ月=798,484円が毎回の振込額。その後、令和元年の4月に昇給して、4月、5月、6月の給与が高くなり、令和元年9月からの標準報酬月額が32万円になってしまった。標準報酬月額が上がったからもちろん停止額も上がる^^;

令和元年9月からの停止額→{(総報酬月額相当額32万円+年金月額99,848円)-停止基準額28万円}÷2=69,924円

1万円停止額が上がりましたね。停止額を計算する時は対比で賃金が2上がると、年金1が停止される仕組みになっているから。よって、年金月額99,848円-停止額69,924円=29,924円

令和元年8月までは年金月額は39,924円でしたが、令和元年9月分から29,924円に下がってしまいました。

今まで偶数月に毎回79,848円振り込まれていたのが、8月分39,924円+9月分29,924円=69,848円になってしまう。8月分9月分は10月15日振り込みだから、そこで異変に気付くわけですね。もちろん年金額が変更される場合は、前もって変更通知書と振り込み通知書が送付される。

12月振り込み時は、10月分29,924円+11月分29,924円=59,848円となる。

さて、この男性は令和元年9月以降は年金額がさらに停止される事になりましたが、65歳になる令和2年6月12日で退職する。退職後は停止額はかからないし、65歳なので年金額が再計算される。まず、62歳以降も働き続けているのその分が増額となる。平成29年6月から令和元年8月までの27ヵ月間の平均標準報酬月額30万円で、令和元年9月から65歳前月の令和2年5月までの9ヶ月間の平均標準報酬月額32万円とします。

継続雇用で増額する報酬比例部分年金→30万円×5.481÷1,000×27ヵ月+32万円×5.481÷1,000×9ヵ月=44,396円+15,785円=60,181円

年金額を算出する際に、標準報酬月額は過去の貨幣価値を現在の価値に直すために再評価率というものを掛けますが、この計算ではすでにやったものとして話を進めます。

65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分1,198,178)円+60,181円=1,258,539円

65歳からの老齢厚生年金(差額加算)→1,626円(令和元年度定額単価)×480ヵ月(差額加算を算出する際の厚生年金期間上限)-780,100円÷480ヵ月×444ヶ月間(20歳から60歳までの厚生年金期間。昭和53年6月から平成27年5月までの国民年金同時加入の部分)=780,480円-721,592円=58,888円

65歳時点で65歳未満の生計維持してる妻が居るとしたら配偶者加給年金390,100円。

65歳からの老齢基礎年金→780,100円÷480ヵ月×466ヵ月(任意加入22ヵ月+20歳から60歳の間の厚生年金期間444ヵ月)=757,347円

よって、65歳からの年金総額は、

老齢厚生年金(報酬比例部分1,258,539円+差額加算58,888円)+配偶者加給年金390,100円+老齢基礎年金757,347円=2,464,874円(月額205,406円。偶数月に前2ヶ月分410,812円)

まあ、年金貰いながら働いた事でその時の年金は停止されたりしましたが、退職して年金貰う時はその分年金額がアップする事になりましたね^^ちなみに65歳以降も在職すると停止がかかったりしますが、あくまで停止がかかるのは老齢厚生年金の報酬比例の年金のみ。老齢基礎年金や差額加算、加給年金は停止されない。ただし、老齢厚生年金(報酬比例部分)が在職によって全額停止になる場合は、加給年金も全額停止になる。

※追記

65歳以上で年金年額158万円以上貰える人は課税対象となり、翌年2月以降の源泉徴収税額が引かれる場合がある。課税対象者は令和元年9月に扶養親族等申告書が送られている。この男性の場合はいくら源泉徴収されるのか?年金2ヶ月分で計算。

まず基礎控除を算出する。

基礎控除→年金2ヶ月分410,812円×25%+65,000円×2ヵ月=232,703円

ただし、65歳以上の人の基礎控除は最低月額135,000円使えるので、2ヶ月分だと27万円となりこの27万円を基礎控除として使う。配偶者の妻は所得が48万円から95万円の間にあるものとします。配偶者控除2ヶ月分65,000円。

源泉徴収税額(所得税)→(年金2ヶ月分410,812円-基礎控除27万円-配偶者控除65,000円)×5.105%=3,870円

が毎回年金が支払われる時に源泉徴収される。なお、今年の扶養親族等申告書からは提出を忘れても基礎控除が適用され、さらに高い税率ではなく5.105%で計算する事になった。配偶者控除や障害者控除などの控除を使える人は申告書を出さないと使えない。

あと、65歳以上になると社会保険料や個人住民税は年金からの天引きになるので、その点も留意しておく必要があります。

image by:Shutterstock.com

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