【連載】蹴球百景 vol.30「コロンビア戦が行なわれるサランスクは『忘れ得ぬ地名』となるか?」

【連載】蹴球百景 vol.30「コロンビア戦が行なわれるサランスクは『忘れ得ぬ地名』となるか?」

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  • 更新日:2017/12/07
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2010年の南アフリカ・ワールドカップでは日本はルステンブルクでデンマークと対戦。決勝トーナメント進出を決めた思い出の地となった。写真:宇都宮徹壱(Rustenburg. 2010)

12月1日、ロシアの首都モスクワで行なわれたワールドカップのファイナルドローで、日本はコロンビア、セネガル、ポーランドと同じグループHに決まった。対戦相手の情報については、すでにあちこちで語られているので割愛。ここで私が言及したいのは、日本代表を応援、あるいは取材に行く開催地がどんなところなのか、ということである。今回の日本戦の会場は、サランスク、エカテリンブルグ、ヴォルゴグラード。私は17年前にヴォルゴグラードには行ったことがあるが、あとの2会場についてはまったく未知の土地である。

いろいろ調べてみた結果、それぞれの開催地のアウトラインが見えてきた。コロンビア戦が行なわれるサランスクは、人口30万人ほどで11の開催都市の中では最も小さいらしい。宿の確保が最も難しいのもここだ。セネガル戦が行なわれるエカテリンブルグは、今大会の開催地では最も東に位置しており、ロシア国内では「アジア」と認識されているそうだ。そしてヴォルゴグラードは、かつては「スターリングラード」と呼ばれており、第2次世界大戦では最も凄惨な市街戦が行なわれたことで知られている。

正直なところ、首都のモスクワや古都のサンクトペテルブルグ、あるいは異国情緒が楽しめるカザンでなかったのは、いささか残念である。実は今回の3会場、いずれも観光地というわけではない(ヴォルゴグラードでは戦争記念博物館は必見だが)。またロシアという国は、わが国のように土地土地の食文化があるわけではなく、どこに行ってもたいてい同じような料理が出てくる。ワールドカップの楽しみというものが、決して90分間の試合だけで完結しないことは、経験者であれば周知の通り。その意味でグループリーグの3会場は、ちょっと物足りなさを感じてしまう。

もっとも、これまでまったく知らなかった土地と出会えるのは、ワールドカップならではの醍醐味である。過去の大会を思い出そう。日本がワールドカップに出場していなかったら、私たちはブラジルのレシフェとかナタルとかクイアバとか、あるいは南アフリカのブルームフォンテーンとかダーバンとかルステンブルクといった街に足跡を残すことはなかっただろう。そして日本の3ゴールに絶叫したルステンブルクも、あるいはコロンビアに4点を叩き込まれたクイアバも、現地を訪れた人間であれば生涯忘れえぬ地名となったはずだ。

そういえば、南アフリカ大会でデンマーク戦が行なわれたルステンブルクは、アクセスと宿泊には相当に難のある会場だったため、ツアーバスで現地に乗り込んだサポーターも多かったと記憶する。それでもしんどい記憶がほとんどなかったのは、単純な話、日本が勝ってくれたからだ(しかも決勝トーナメント進出まで決めてくれた)。今大会、宿とアクセスの確保で相当に苦労しそうなサランスク。でももしかしたら、われわれ日本人の記憶に深く刻まれる地名になるかもしれない。いや、ぜひともそうなってほしいと密かに願う次第だ。

宇都宮徹壱/うつのみや・てついち 1966年、東京都生まれ。97年より国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。近著に『フットボール百景』(東邦出版)。自称、マスコット評論家。公式ウェブマガジン『宇都宮徹壱ウェブマガジン』。http://www.targma.jp/tetsumaga/

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