Windows 10の年2回のバージョンアップ 春と秋で意味合いに変化が生じる?

Windows 10の年2回のバージョンアップ 春と秋で意味合いに変化が生じる?

  • ASCII.jp
  • 更新日:2019/04/21

2020年春に公開予定のWindows 10 Ver.2003となる20H1のプレビューが開始された。次のWindows 10のバージョンアップである19H1(May 2019 Update)は、5月末の公開が予定されていて、現在Release Preview Ringでプレビュー中だ。

しかし、Windows Insider ProgramでFast Ringでのプレビューを適用していたマシンは、すでに20H1へ移行された。Fast Ringのプレビューは今秋公開予定の19H2ではなく、すでに来春の20H1なのである。

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19H1のプレビュー期間がが少し長いのは始まりが早かったのと、配布前のプレビュー期間が長くなったため である。これと比較しても、20H1のプレビュー期間は15ヵ月と従来の8ヵ月の倍近くある

こうした状況からわかるのは、Windows 10の春と秋のバージョンアップの「プレビュー期間」に違いが生じていることだ。秋のアップデートのプレビュー期間は短くなり、春のアップデートでは長くなる。これは、Windows 10のバージョンアップに変化が生じていることを意味する。

Windows 10のバージョンアップとプレビューの周期を確認

これまでWindows 10は、年に2回のバージョンアップが実施されてきた。「機能アップデート(Feature Update)」がWindows Update経由で配布され、これによりWindows 10のバージョンが上がる。また、それぞれのバージョンアップに対して、プレビュー版が提供される。

プレビュー版には大きく2つあり、直近のバージョンアップのプレビューとなる「Fast Ring」「Slow Ring」「Release Preview Ring」(それぞれ完成度などが異なる)と、さらにその次のバージョンのプレビューとなる「Skip Ahead Ring」である。

プレビュー版は、通常Skip Aheadで配布が始まる。この時点ではその1つ前のバージョンは一般公開されておらず、FastまたはSlow Ringのどちらかの状態にあるのが通例だった。1つ前のバージョンがほぼ完成してRelease Preview Ringでの配布が始まる頃、Skip Ahead Ringは一旦閉ざされ、Fast Ringへと移行する。

プレビューは大部分の期間、Fast Ringに留まる。そこからSlow Ringでの公開が始まるのは、かなり安定してきてからである。そして一般公開直前に、Release Preview Ringでの配布も開始されるわけだ。

従来は、各バージョンアップのプレビュー期間は半年以上あった。これは、Skip Aheadでプレビュー開始時期を早めることができたからである。また、マイクロソフトは、Ver.1809(RS5)の初期トラブル(Known Folderによるファイルの喪失)のような問題の対策として、Release Previewでのプレビュー期間を延長し、リリース開始までの時間を長くすることを発表している。

●Windows 10 の更新エクスペリエンスの制御性、品質、透明性の向上 - Windows Blog for Japan
https://blogs.windows.com/japan/2019/04/12/improving-the-windows-10-update-experience-with-control-quality-and-transparency/#UYviExr7kopFTMqt.97

ところが、現在の状況を見ると、19H1の配布開始が5月末に迫り、20H1のプレビューは開始されているのに19H2のプレビューが開始されていないのだ。現時点の状態を整理すると、以下の表となる。

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原稿執筆時点で19H1でFast Ringを選択していたマシンは、20H1のプレビューが導入されはじめた。これに対して今秋に配布予定の19H2(Ver.1909)は、まだプレビューが開始されておらず、それが19H1の配布開始後なのだとすると、プレビュー期間は5ヵ月程度に短縮されてしまう。

春と秋のバージョンアップのプレビュー時間に 格差ができた理由を推測する

つまり、春のバージョンアップは、プレビュー期間を長く設定する必要がある“大きな”バージョンアップであり、秋のバージョンアップは、プレビュー期間を短縮できる“小さな”バージョンアップと位置づけられていると考えられる。これは、これまで春と秋のバージョンアップを同等に実施してきた方向性からの転換を意味する。

オープンソース系のソフトウェアでは、「開発版」「安定版」の2つのバージョンを交互に公開する手法を採るものがある。開発版では、新機能など仕様の変更や内部的な大きな改良が実施される。これに対して安定版は原則仕様を変更しないが、バグフィックスに関しては開発を継続する。

Windows 10もこれに似た体制に移行するのではないかと考えられる。すでに広く使われているWindows 10の場合は、「開発版」というよりは「通常版」なのかもしれないが、春に公開されるのは比較的大きな改良が入るバージョンとなる。

これに対して秋は、安定性を追求したバージョンだ。ただし、マイクロソフトは、いまのところ年2回の「機能アップデート」(機能が追加される)と、「品質アップデート」(新機能の追加はない)について何か変更するとは発表していないため、秋のアップデートでも機能が追加される可能性は残っている。

ただし、春のアップデートに比べるとおとなしいものになることは予想できる。イメージ的には、春は「メジャーバージョンアップ」、秋は「マイナーバージョンアップ」と言えるようになるのかもしれない。ある程度の安定性があり、変更点も大きくないため、プレビューを短縮してもかまわないということなのだと考えられる。

安定性を重視する企業ユーザーに対しては 1年の1回のバージョンアップで済むようにする!?

筆者がこうした予想をするのは、それ以外にもいくつかの判断材料があったからだ。1つは、Enterprise/Educationエディションにおいて、秋のバージョンアップのサポート期間が18ヵ月から30ヵ月に延長されたことだ。もう1つは、Windows 10 RS5からWindows Update for Businessが終了し、SAC-T/SACが中止されたことだ。

これらについては、本連載でも以前詳しく解説しているので、そちらも参照して欲しい(「半期チャンネル(対象指定)」が無くなり、Windows 10の機能アップデートはいつ実施すればいい?)。

そもそも、SAC-T/SACとは、企業ユーザーなどに、Windows 10をバージョンアップしたあと、品質アップデートを繰り返したのち、ある程度安全と思われるバージョンを利用させるものだった。

つまりマイクロソフトが、「そろそろ良いですよ」とタイミングを通知し、自動的にそれをインストールするようになっていたわけだ。しかし、SAC-T/SACが廃止されたことで、現時点では、バージョンアップの可否は、ユーザーに委ねられた状態になっている。

2019年の秋のアップデートは、このSACの代わりに、提供するものになるのではないだろうかと考えている。だとすると、30ヵ月という長いサポート期間も理解できる。逆に言えば、30ヵ月サポートするための安定性を目的にして開発するのが秋のバージョンアップなのだと考えられる。

このようにすることで、企業向けユーザーは、春のアップデートをスキップして、秋のアップデートのみをインストールすれば、自然とある程度の安定性を得られる。

現状のWindows Updateでは、Homeユーザー以外は、機能アップデートを最大1年間遅延させることができる。つまり半年、遅延させておけば、秋のアップデートのみを利用できるようになる。

HomeユーザーもWindows Updateの延期が可能に ただし最長で35日間

また、Windows Update自体も19H1のタイミングで変更が加えられる予定だ。今回の変更では、Homeエディションでも、最大35日間、Windows Updateの適用を延期できるようになる。

これにより、RS5の配布直後に発生したKnown Folderのファイル喪失のようなトラブルに巻き込まれないで済むようになる。ただし、この延期は一回最大7日間で5回までしかできない。つまり合計で35日だが、一週間ごとに手動で延期させる必要がある。

5回延長すると、自動的にWindows Updateが適用されるようになるため、その前に自分で適切なタイミングを見つけてWindows Updateを適用したほうが都合がいいだろう。そうしないと、望まないタイミングでアップデートが始まる可能性がある。

Windows 10は年2回のバージョンアップという体制を続けてきたが、今回それが変化しそうだ。マイクロソフトは、19H2のプレビュー配布が始まる5月末頃に、このあたりについて明らかにする予定のようだ。

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