【ユニバーサルデザインのまち】 関根 千佳さん

【ユニバーサルデザインのまち】 関根 千佳さん

  • 西日本新聞
  • 更新日:2017/11/13

◆意外に先進的な福岡市

東京の友人と話していて、「福岡のユニバーサルデザインって進んでいるよね!」と言われ、驚いた。「だって地下鉄駅で『ユニバーサル都市・福岡を実現していきます!』って、ずっとアナウンスしているのよ。そんな街、日本中どこにもないんじゃない?」

なるほど、そう言われてみれば、ここまでユニバーサルデザインをうたっている地下鉄は多くはないかもしれない。仙台なども頑張っているとは思うが、少なくとも東京、神戸、大阪よりは、はるかに理解が進んでいるようだ。

福岡市で本格的にユニバーサルデザインの取り組みが始まったのは2011年なので、1999年の熊本、2004年の佐賀などと比べると、それほど早いわけではない。だが、「ユニバーサル都市・福岡」の取り組みは、着実に成果を出してきている。

地域の取り組みを紹介するユニバーサル都市・福岡賞は今年で5回目を迎え、11日に表彰式とトークショーが行われた。私は表彰状を渡す役目で、トークショーでは、元陸上競技選手の為末大さん、性的少数者(LGBT)への理解を呼び掛けている杉山文野さん、高島宗一郎市長が、ユニバーサルデザインの理念に基づいた、LGBTを含むすべての人にやさしいまちづくりをテーマに対談した。今後、福岡市でも理解や支援が進むことを期待したい。

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ユニバーサルデザインに関しては、まだまだ誤解も多く「障害者のためにスロープを付けることでしょ?」とか「デザイナーの仕事で私には関係ない」と思っている人もいる。実は、朝起きてから夜寝るまで、あなたの接するすべてで、それがユニバーサルデザインかどうかが生活の質を決めるのだ。日用品から、いつも乗る公共交通、到着した先の学校、オフィス、デパートやスーパーも映画館も、みんなユニバーサルデザインであるべきだ。あなたがもし子どもでも、高齢者でも、外国から来た人であっても、妊産婦でも、障害があっても、自分の街で、楽しく生きていくのに必要な考え方なのだ。

今年のユニバーサル都市・福岡賞は、人間の多様性に焦点を当てた活動が評価された。博多マルイはサービスのユニバーサルデザインを目指し「全てのお客様に向けた取り組み~ダイバーシティ&インクルージョン~」として、多様な顧客に喜ばれるハード・ソフトの充実に努めている。特にLGBTに関する取り組みが斬新だった。研修を重ね、「みんなのトイレ」にはLGBTを象徴するレインボーのマークも掲示されている。今後さらに、LGBTの顧客に対する、幅広い品ぞろえや、配慮した試着室などを増やしていってほしい。

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高齢者の心地よい居場所をつくる取り組みとして、今年は、小規模多機能ホームと同じ場所に気軽に利用できる休憩所を併設した「コミュニティスペースしかたの茶の間」も表彰された。地域の核に育ってほしい。また「子どもがつくるまち ミニふくおか」では、子どもたちが自主的にユニバーサルデザインをテーマに勉強会を開き、その工夫を仮想のまち「ミニふくおか」に取り入れた点が評価された。障害のある子どもたちの参加があれば、なお良かったと思われる。

ユニバーサルデザインは、どこか遠くの人のものではない。みなさんの生活全てにその理念が取り入れられれば暮らしはもっと幸せになる。行きよい街は住みよい街なのだ。全ての製品が、ウェブサイトが、政策が、ユニバーサルデザインを前提にする社会にならなければ、私たちは安心して年をとれないのだから。福岡の地道な努力が日本全体に広まることを期待したい。

【略歴】1957年、長崎県佐世保市生まれ。九州大法学部卒。81年、日本IBMに入社後、ユニバーサルデザインの重要性を感じ、98年に(株)ユーディットを設立。同社社長、同志社大教授などを歴任。著書に「スローなユビキタスライフ」など。  ユーディット会長、放送大学客員教授

=2017/11/12付 西日本新聞朝刊=

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