進む宇宙服の「おしゃれ化」 ベンチャー参入で

進む宇宙服の「おしゃれ化」 ベンチャー参入で

  • WSJ日本版
  • 更新日:2018/01/11
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米人気SFシリーズ「スタートレック」に登場するウフーラはミニスカートとゴーゴーブーツを着用し、映画「2001年宇宙の旅」の宇宙飛行士たちはジャストサイズのオレンジ、黄色、そしてブルーの宇宙服を身にまとっていた。映画「バーバレラ」でジェーン・フォンダが演じる役が着ていたのは、シースルーのトップだ。

一方、現実世界では宇宙飛行士のニール・アームストロングが「ミシュランマン」のようなスーツを着せられ、1995年以降スペースシャトルに搭乗する飛行士は「パンプキンスーツ」と呼ばれるオレンジ色の宇宙服を着ていた。現在、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在するカーゴパンツをはいた研究者らは、大学の男子寮で目にするようないでたちだ。

民間ベンチャー企業が飛行士や民間人を宇宙まで輸送しようと競う今、宇宙服も新たな時代が幕を開け、そのデザインはこれまで描かれてきたクールなものに近づきつつある。民間人がおしゃれをして地球外旅行に出掛けられる時代もやって来るかもしれない。

米電気自動車メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)も、最近スタイリッシュな宇宙服を発表。フランス出身の2人組ダンス・ミュージック・ユニット、ダフトパンクが使用するようなヘッドギアを採用したデザインだった。この宇宙服はマスク氏の宇宙開発ベンチャー、スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)がISSに飛行する際、クルーが着用するという。スペースXは今年の秋にも米国の宇宙飛行士をISSに輸送し始める予定だ。

マスク氏はオンラインに投稿した動画の中で、「あれならいつか自分も着てみたい」と見る人に思わせることがデザインの目的だったとしている。

米航空宇宙局(NASA)が宇宙服の製作を依頼する米デビッド・クラーク社のソフトグッズ・デザイン・マネジャー、シェーン・ジェイコブス氏は、マスク氏の宇宙服が「かなりクールに見える」と評価。従来のように政府と契約して作る宇宙服は、「機能性以外の目的に費やされる努力はどれも予算の無駄」とされていたという。

中にはそうした現実的な方針を貫く関係者もいる。「水着のようなものが宇宙服になることはない」と話すのは、元宇宙飛行士で今は米航空防衛業オービタルATKの上級幹部を務めるチャールズ・プリコート氏だ。「空想にすぎないものは何か、認識することが必要だろう」

それでもデビッド・クラーク社はスタイリングを意識し始めている。同社のジェイコブス氏は最近、米航空機大手ボーイングの新たな宇宙カプセル向けにロイヤルブルーの宇宙服をデザイン。ブーツはスポーツウエア・ブランドのリーボックと共に作り上げた。リーボックのデザイナーたちは一般向けに販売されるスポーツ用品と同じアプローチでブーツ開発に着手したという。

「うまく機能してもクールに見えないものは、われわれにとって失敗作だ」と、リーボックのクリエーティブ・ディレクター、ダン・ホブソン氏は述べる。ボーイングのカプセルは今後1年以内にISSまでの有人飛行を計画している。

最近の宇宙服は「動きやすさを追及するため、以前よりも体に合ったサイズになっている」とNASAの広報担当者は話す。

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「世界最小の宇宙船」

スペースXやボーイング向けに開発された新たな宇宙服は、発射時と大気圏への再突入時に着用する。緊急事態が発生した場合に宇宙飛行士を保護することが目的だ。現在はこれまでのものよりも40%軽量化された最新の布地が導入され、着用したままタッチスクリーンを操作できるグローブなども新たに登場している。

リーボックの開発チームはハリウッド映画からヒントを得て、映画「エイリアン」でシガーニー・ウィーバー演じる飛行士が着用していたブーツのデザインを取り入れた。同社のホブソン氏はそのブーツが「うまく機能して驚いた」と振り返るが、その他のデザインほど機能性は高くなかったという。また宇宙服の色合いは金属色を試したが、「光を反射しつつ耐火機能もある素材を見つけるのは難しかった」とホブソン氏は述べる。

元宇宙飛行士でボーイングの「宇宙タクシー」開発を指揮するクリス・ファーガソン氏は、今の宇宙服でも「お尻まわりが素晴らしいとは必ずしも言えない」デザインだと認める。「鏡に映る自分を見て、ちょっとまぬけに見えないか?」と自問してしまうほどだという。

ファーガソン氏によれば宇宙服は操縦機器の前に座った状態で利用される想定でデザインしているため、膝のラインを直線にすることは難しい。またあまり曲がらない関節部分は地上で見るとぶざまだ。ロシアの宇宙服は「どこか『ノートルダムの鐘』の主人公を思わせる(前傾姿勢の)」ものだとも同氏は話す。

宇宙空間ではごく小さい隕石(いんせき)や宇宙ゴミ、そして月面のとがった石によって衣類に穴が開く可能性がある。そのため宇宙遊泳や月面で着る宇宙服は、ファッションショーで使われる布地とは別のものが必要になる。マサチューセッツ工科大学(MIT)で宇宙工学を教え、宇宙服の改良にも携わるデーバ・ニューマン氏は、「宇宙服はどれも世界最小の宇宙船だ」と話す。

宇宙空間では地上と違って気圧がほぼないため、飛行士の体を保護する必要がある。これまでの宇宙服はゴムが多く使われていたため、「人間の形をした洗い物用手袋」のようなものだったとデビッド・クラークのジェイコブス氏は話す。

MITのニューマン氏が手がける新たな宇宙服は、ガスではなく布に編み込まれたごく小さいコイルに電気を通して圧力を生じさせる仕組みだ。「バイオスーツ」と呼ばれるこの宇宙服は15年前から開発に着手。体にぴったりと合うデザインで、柔軟性を高めつつサイズも大幅に小型化できる。デザイン上で目に付くのは体を覆ういくつもの線のパターンだ。これは一見装飾に見えるが、圧力を発生させるコイルをどこに編み込むべきかをアルゴリズムで判断した結果できたものだという。

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