手が届いた箱根駅伝のシード権を掴みに。上武大が「第一関門」に挑む

手が届いた箱根駅伝のシード権を掴みに。上武大が「第一関門」に挑む

  • Sportiva
  • 更新日:2017/10/13

10月14日に迫った箱根駅伝予選会に出場する上武大学駅伝部は、今年の1月2日、創部以来の目標となっている”箱根駅伝のシード権獲得”に手をかけた。

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箱根駅伝予選会に向けてトレーニングを行なう上武大駅伝部

往路に力のあるランナーを並べた上武大は、4区通過時点で順位こそ16位だったものの、シード権争いのボーダーラインとなる10位の拓殖大との差は1分23秒差と粘った。そんな4人の想いを受け取った当時の主将・森田清貴(現・NTT西日本)が、3度目の5区山登りで8人抜きを達成。区間2位の走りで、チームの過去最高順位である8位でゴールした。

その往路のレースについて、チームを率いて2年目となる近藤重勝監督は「100点満点でした」と振り返る。

「往路に関しては、(10位までの差を)1分30秒以内で5区の森田につなげば十分に挽回できると話していました。本番ではその目標を上回ってくれて、順位をひと桁で終えられたわけですから、十分に評価していいと思います。復路に関しては、その流れでどこまでいけるかというところだったんですが……。往路でチームの力を出し切ってしまった感はありましたね」

その言葉通り、復路を走った5人中4人が区間順位15位以下と苦しんだ。10位との差は7分45秒に広がり、総合順位は15位に終わる。

「復路は他大学との地力の差が出てしまいました。シードを取るなら、10人の1万mの平均タイムが29分40秒から50秒くらいで臨めないと苦しい。僕自身、監督として初めて箱根を経験したことで気づくことがたくさんありましたね。往路の好成績で盛り上がっていたのに、本番では選手に動揺があったり、メンバー変更で走る選手が体調を崩したり。そういったメンタル面も含めて、全体の走力を上げていかなくてはいけないと感じました」

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上武大駅伝部を率いて2年目となる近藤監督

昨年は、花田勝彦前監督(現GMOアスリーツ監督)から職を引き継いだばかりでコーチがおらず、チーム全体の状況を把握するのが難しくなっていた。そこで昨年12月に、近藤監督が松蔭大学の駅伝部を率いていた時の教え子である本村哲也氏をコーチに招き、主にBチームの指導を任せた。トレーニングだけでなくコミュニケーションの部分でも連携をとり、昨年から力を入れていたメンタルトレーニングと併せて選手を支えた。

加えて、「個人で力を発揮する選手が多い」という新4年生の中で、バランス感覚に優れていた松村脩平を主将に据えた。近藤監督が高校時代から気にかけていた選手で、大学に入ってから大きなケガを乗り越えた経験が買われての抜擢だったが、松村は大きなプレッシャーを感じていたという。

「去年の森田さんが素晴らしいキャプテンシーを発揮していましたからね。でも、監督やコーチが『森田と同じようにやる必要はない』と言ってくれたことで、自分なりにチームを見られるようになりました。特にコミュニケーションには気を使っています。実体験から、チームの和を乱すような行動をしてしまう選手は、故障や何かしらの不安を抱えている可能性がある。そんな選手には、食事や練習のなかで話を聞いたり、こちらで目標を設定してみたりと、いろんなアプローチをしています。

思い通りにいかないことも当然あるんですが、監督やコーチをはじめ、スタッフや卒業した先輩方など、いろんな方に支えてもらって今があります。箱根でその恩返しをするためにも、まずは予選会を突破することに全力を注ぎます」

20kmを走り各チームの上位10人の合計タイムで争われる予選会は、数秒の差が明暗を分ける。近年では留学生ランナーを起用する大学も多く、昨年のレースでは58分43秒00で神奈川大の鈴木健吾(当時3年)が全体の3位に入ったが、それ以外は6位までを留学生が占めた。日本人選手のみで戦う上武大学がそれに対抗するためには、ひとりずつがどれだけタイムを稼げるかにかかっている。

上武大の選手は、高校からのエリートランナーが少ないこともあって、これまで距離を踏む練習を意識的に抑えていたが、今年は”強さと速さ”を重視。負荷のかかる練習に耐える体を作るため、フィジカルトレーニングも取り入れた。その新たな取り組みで「予選会トップを目指す」と意気込むのが、副キャプテンの太田黒卓だ。1万mのタイムはチーム2番目の29分24秒46。今年の箱根3区を区間11位でまとめた3年生エースは、さらなる飛躍を期している。

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フィジカルトレーニングで「強く速い」体を作る

「昨年まではタイムこそ残せていたんですが、走るときのバランスにかなりブレがあって。体力がキツくなってくるとフォームが崩れてしまっていたので、体幹を中心に鍛えてきました。予選会に合わせていい結果が出せるように調整してきたので、自分が59分台を出して突破に導いて、来年1月の箱根にはエースとして出場したいと思っています」

もうひとり、4年の坂本佳太にも、予選会で大きなアドバンテージを稼ぐことが期待されている。1万mのタイムがチーム内で最も速い(29分08秒43)坂本は、今年の箱根で1区を走り、他校のスピードランナーが揃うなかで区間10位に入っている。

「監督には『目標は10位』と伝えられていたので、それは達成できましたし、いい走りができたんじゃないかと思います。欲を言えば、残り1kmくらいまでは7位だったので、そこから順位を下げずにいきたかったですね。今年は、前半に突っ込みすぎて後半にペースを落としてしまうところを特に意識して改善してきました。予選会では最後までペースを落とさず、上位でゴールしたいです」

一方、チームに貢献できなかった悔しさを胸に予選会に臨む選手もいる。坂本と共に1年時から箱根を走った、4年の井上弘也だ。

2年時には関東インカレや日本学生対校選手権の1500mを制し、レースで見せる”仁王立ち”が話題になるなど名前も広まってきていた。当然、昨年は主力として期待がかかっていたが、6月の日本選手権の前からケガが続き、箱根予選会と本戦に出場することができなかった。前年の自分と比較してしまい、うまくいかないことが大きなストレスとなったこともあって、昨年の12月に「チームから離れさせてくれ」と監督に頼んだという。

「練習だけじゃなくてミーティングからも距離を置きました。それでも、監督とコーチは僕をクビにすることなく、『時間をあげるからゆっくり考えろ』と、1カ月ほど時間をくれたんです。今は、その恩を返していきたいという想いで練習しています。今年は1500mでやっているので、長い距離に関してはみんなから遅れていますから、予選会は60分ひと桁から30くらいでまとめられたらと思います。

今年はここまで、トレーナーの木村(省吾・4年)の支えもあってケガもありません。大きな期待をしてくれている方もいるかもしれませんが、周りの声に左右されず、自分の目標をしっかり決めて走りたいです」

今年の往路で8位に入ったことで、周囲のチームを見る目は変わった。箱根のシード権獲得に期待がかかるのはもちろん、「予選会は突破して当たり前でしょ」と言われることも多くなったと近藤監督は明かす。

「余裕があるように見られがちですが、選手にそう感じさせてはいけないし、僕もまったく思っていない。今年シード権を取った神奈川大が5位で昨年の予選会を通過しているので、そこが最低ライン。あとは、どこまでトップに迫れるかですね」

決して驕(おご)らずに力を溜めてきた上武大。心も体も逞しくなった選手たちが、まずは10年連続の本戦出場をかけて予選会に挑む。

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