大人のおもらしを防止するウェアラブルデバイス『DFree』開発秘話

大人のおもらしを防止するウェアラブルデバイス『DFree』開発秘話

  • @DIME
  • 更新日:2018/01/12

聖パウロは雷を落とされて改心し、ニュートンはリンゴが落ちるのを見て万有引力の法則を着想したが、うんこを落として(漏らして)革新的な製品を生み出した人がいる。

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最新型で一般向けとして開発中の『DFree』

2013年9月のある日、カリフォルニア大学バークレー校に留学中であった中西敦士は、絶体絶命の危機にあった。住んでいるアパートの改築に伴い、徒歩で30分先にある引っ越し先にスーツケースを持って向かっている時に、猛烈な便意に襲われたのである。

あいにく周囲に公衆トイレはなく、意を決して移転先の家を目指し、便意を刺激しないよう不自然な歩き方で進んでいった。しかし、目的地まであと少しというところで「堤防は大決壊」する惨事に見舞われる。彼は、ズボンの後ろを奇妙にふくらませ、異臭を放ちながら、今度はアパートに引き返し、浴室で惨事の後始末をし、隣人からジーパンを借りてどうにか自分の人生を取り戻した。彼は、この後しばらくの期間「また漏らしてしまうのではないか」という恐怖におびえ、外出を控えたという。

普通であればこの思い出は、人生最悪の黒歴史として記憶の底に封印してしまうだろう。しかし、根っからのベンチャー気質の持ち主で、いつかグローバルにビジネスを展開したいと考えていた中西青年は、この経験をプラスの方向に転換し、『DFree』という製品として結実した。

『DFree』とは、超音波センサーを内蔵した小型のウェアラブルデバイスで、下腹部にテープで貼り付けて使う。このセンサーが体内の膀胱や直腸をモニターし、Bluetoothでクラウドにデータを送る。排泄のタイミングは独自のアルゴリズムで予測され、はっきりとした尿意・便意を感じる少し前にスマートデバイスにお知らせする仕組み。

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『DFree』の概念図

中西青年は、『DFree』のアイデアが閃いて会社を興し、開発や資金集めの試行錯誤を乗り越えてゆくうちに、高齢者介護の現場にこのデバイスの大きな潜在需要があることを発見した。現状、多くの介護施設では排泄介助に多大な時間を取られているが、『DFree』によってケアワーカーが入所者の排泄タイミングを事前に知ることがでれば、彼らの負担をかなり減らすことができることに加え、入所者のQOLも向上する。これがベンチャーキャピタルの世界を刺激して、ニッセイ・キャピタルなどからの資金支援や、鴻海精密工業グループ等との戦略的提携を目指した出資を受けるなど、大きな事業として開花しようとしている。その詳細は、中西社長の著書『10分後にうんこが出ます:排泄予知デバイス開発物語』(新潮社)に譲るとして、『DFree』には、トイレ介助が必要な老人ホーム入所者のみならず、『@DIME』読者世代でも、トイレが近い人や、過敏性腸症候群に悩む人、郊外の公衆トイレの少ない地域でルートセールスをする人などのニーズを掘り起こす力がある。

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中西社長率いるトリプル・ダブリュー・ジャパンは、当面は介護現場の負担軽減を目的とした製品の改良・販売に注力するが、将来的には子供も含む一般向け製品も販売する予定だという。その時には、スマホのGPS機能で近くの公衆トイレの位置を探知、最短経路や個室の空き情報も教えてくれるアプリも提供できればと語る。いずれにしても、「DFreeが将来的にどんな可能性を秘めているかという未来像」は、どんどん広がっているそうで、この装置が家電ショップで購入できる頃には、誰も想像しえなかった機能も備わっているかもしれない。

文/鈴木拓也

老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。

※記事内のデータ等については取材時のものです。

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