ソフトバンク、ウーバー出資に漂う不安

ソフトバンク、ウーバー出資に漂う不安

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/11/14
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――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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ソフトバンクは配車アプリ市場にさらに深く踏み込もうとしている。米ウーバーへの大型出資は、従来の投資家と比較すれば大幅なディスカウント価格での株式取得だが、後で振り返ればコストの高い投資だったことが判明するかもしれない。

ソフトバンクが率いる投資家グループは、ウーバー・テクノロジーズに最大100億ドル(約1兆1000億円)を出資する見通しだ。共同創業者トラビス・カラニック氏と主要株主ベンチマークとの対立が解決したことで、出資への大きな障害が解消された。これにより、ソフトバンクは世界の配車アプリ市場で牙城を築く体制が整う。ソフトバンクは今年だけで、同市場におよそ100億ドルをつぎ込み、中国の滴滴出行やインドのオラなど、主な市場における最大手の株式を取得してきた。

それらは配車アプリ市場への大きな賭けとなる。ソフトバンクは、こうした大手による連合を形成し、ブラジルや東南アジア、中国、そして今後はおそらく米国で、圧倒的な配車アプリ網を築く戦略を描いている。

この論理はまともなように聞こえるが、それでも大きなギャンブルだ。ゴールドマン・サックスによると、世界のタクシー市場における昨年の売上高は約1080億ドルにとどまる。これは単体で2170億ドルを稼ぐアップルの半分の水準だ。しかも、運転手と乗客を結ぶプラットフォームであるウーバーや滴滴出行などが手にする収入は、この売上高の20%程度に過ぎない。

だが最近の資金調達時の評価額に基づくと、この非公開2社の企業価値は合わせて1200億ドル近い。これだけのバリュエーションを正当化するには、世界のタクシー市場を乗っ取るだけではなく、個人所有の車など、他の交通手段にも取って代わる必要があろう。

ソフトバンクでさえ、躊躇(ちゅうちょ)している兆候が見て取れる。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ソフトバンクは既存株主からウーバー株式のほとんどを現在の評価額を下回る価格で買い取る見通しで、これはウーバーの企業価値を約500億ドルと評価した水準となる。現在のウーバーの企業価値は680億ドルと伝えられており、それを維持するために、ソフトバンクはさらに10億ドルの直接投資を計画している。

こうした条件面での取引は、これまでの投資価値を引き下げたくない既存株主を安心させるかもしれない。だが厳しい現実を覆い隠すことは難しい。先駆者としての優位性があったにもかかわらず、ウーバーはライバルの後追いを阻めるような外堀を築いていない。お膝元の米市場でさえ、サンフランシスコなどの都市を中心に、同業リフトに激しく追い上げられている。運転手も利用者も、配車アプリを複数インストールすることに抵抗はないため、ウーバーにとって市場を独占するのは容易なことではない。

もちろん、滴滴出行やオラなど、ソフトバンクが出資する他の配車アプリ会社は、現地市場で支配的な地位を築く明確な展望を見い出すかもしれない。

問題はソフトバンクによるウーバー出資が高値づかみかどうかだ。サウジアラビアのオイルマネーの助けを借りた980億ドルのビジョン・ファンドもあわせ、ソフトバンクはライドシェアも含めた未公開ハイテク企業の市場を肥大化させてきた。ソフトバンクは多くの軍資金を手にし、持続不可能な水準までバリュエーションを引き上げることなく出資できる革新的な新興企業がそう多くはないことを悟った。

ソフトバンク自体が急ピッチで膨らんだウーバーの評価額を抑制しようと試みている事実を踏まえると、ソフトバンクの影響下で、非公開企業のバリュエーションがすでに速度制限に違反しているとの不安を和らげるには、不十分かもしれない。

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